2012年9月30日日曜日

毎日がアルツハイマー(93分)

監督:関口祐加
ぼけないで若いまんまでぽっくり死
アルツハイマーばあちゃんの夢


自分の家族には、「アルツハイマーにだけはなりたくない&なられたくない」っていう暗黙の意識がありまして。実際のところはどうなんだろうっていうのが、気になって見に行きました。見終わっても、「やっぱ、できれば、なるべくなりたくない&なられたくない病気だな」考えはあんまり変わらず。でも、このアルツハイマーという病気に対して視野がひろがりました。
(ちなみにこの映画はYOUTUBEの動画がきっかけで作成されたもので、今後もここで続編がみれるみたいですhttp://www.youtube.com/user/nautilus325?feature=watch
軽度の認知症になり(本人は認めていないものの)、周りに迷惑をかける&恥をかくことを嫌がって外出を全くしなくなってしまった80歳の母親(しかし、自分の中では週1くらいでは自転車で出かけている気になっている)。そうしていくうちに足腰が弱くなって、身体的にも寝たきりになっていく。
それを見て、元来出不精な私は、自戒の気持ちに。その昔、高校3年の冬休みに受験勉強をいいことに、1歩も家の外に出なかったことあるし。しかも、外に出ないことをなんか誇らく思ってたし。外に出たら、負けだと思ってたし。結果、浪人したし。
やっぱり、人間あるていど外にでないとダメね。どこにもいかないのは経済的だし・自分にこもれる感じがして好きなんですけど、身体が動かなくなったり・受験で失敗したり、まずいこともあるから。まあ、頑固に出不精でいるのはやめようと思いました。
去年見た映画「エンディングノート」で監督の家族(主人公は監督の父親)がカメラを全然意識しない振る舞いをするのが不思議に思っていたのですが、この作品では主人公:おばあちゃんがカメラをちゃんと本気で嫌がっている様子がたくさん出てきます。おそらく「エンディングノート」では主人公:父親が昔からカメラが趣味だったのでその家族も撮られなれていたのでしょうが、やっぱり日常を勝手に撮られるのって抵抗あるよなあと感じました。

2012年9月26日水曜日

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(126分)

監督:本広克行
台場から大分へバスはしんどい
飛行機にしてマイルをためよ
「踊る大捜査線」テレビシリーズはちょこちょこ、映画はスピンオフ企画は見てないものの本シリーズは全部見てました。だから、私、「踊る大捜査線は分かるハズ」と思ってたんですが、正直わけわかんなかったです。怒りとかではなくどーでもよくなっていく感じのわけのわかんなさ。

もしかしたら、テレビとか携帯とかでやってるスピンオフ企画で話の補足をしてるのかもしれませんが、映画単体で楽しむのは難しい作品。いや、でも、私には分からなくてもファンサービスは充分出来てるんだと思います。
開始10分のからあげ屋に扮しての潜入操作とオープニングロールで、「コレはもしかしたら、おもしろいかも」と、実は期待してました。潜入操作終了とともに片付けられるからあげ屋に対しての織田裕二の台詞「こんな大げさなモノ作っちゃって」とか「撤収って、さみしいよね」にはこの作品の終了もオーバーラップさせられましたし、初期から現在までの各メンバーの顔がどんどん切り替わっていくオープニングロールには歴史を感じて期待が高まりました。しかし、あまりにも本筋の事件がわけわからなかった。
警察に失望した警察内部(小栗旬・小泉孝太郎・香取慎吾)の犯行って、動機はともかくとして、やることがおおげさすぎる。特に実行犯を担った香取慎吾は3人の中で一番遺恨が薄そうなのに、ユースケサンタマリアの息子まで殺そうとしてるし。こういうのもスピンオフとかで説明してんのかな。でも、そんなの見る情熱ないから、ワタシにはやっぱりわけわかんない。
 あと、ひどすぎて笑ったのは、昔の銃痕が原因で警察を辞めるスミレさん:深津絵里が、お台場から実家の大分まで深夜高速バスで帰るところ。
「身体の調子悪いのに、余計具合悪くなるよ!」と思ってたら、クライマックスにスミレさんの運転で犯行現場の倉庫にドーンとバスがクラッシュ!!!「な、なに!?スミレさん、バスジャックかよ!?」という展開。

エンドロールでこの展開への言い訳的な描写が出てくるんですが、そんなとこで後出しジャンケンしてくるところもひどい。ひどいけど、ひどすぎて笑えて、なぜかそんなに嫌いではないぜ。らららら・らぶさむばでぃーとぅないと!

2012年9月21日金曜日

バタリアン(91分)


 監督:ダン・オバノン
原題:The Return of the Living Dead
君の名はボクの国ではバタリアン
愛してるけど脳みそはダメ

カナザワ映画祭4本目として見てきました。私の中ではカナザワで最後の映画。今回はじめてみました。
バタリアンのゾンビは、電話をかけたり会話できたり知性があって、独特の味わいがありました。恋人だったゾンビが「愛してるなら脳みそ喰わせろ」とか、なかなか深い言葉を吐きます。「愛してるなら・・・」に続く、これ以上強力なパンチラインはなかなか思いつきません。
この映画何が好きって、オープニングが好き!地下室に永年保管していたタールマン入りの樽が出てきて、「あー、コレがどうにかこうにかなって開いちゃうんだろうな」と物語の順序を憶測していたら、先輩社員フランク「軍の作った樽だから大丈夫だよ!」大胆にキックをし、即座にガスがジャーーーともれてバーンとオープン!ちんたらした“どうにかこうにか”など、いっさいなし!思い切りのいいスタートにしびれます。最高!
そして、最後はこちらもニューヨークエンディング!ゾンビが増えまくって、「いったい、どう終わる!?」と思ってたら、社長が樽に書いてあった軍の番号に電話し、その連絡で即座に原爆が落とされ終了。イヤボーンの法則ならぬ、ボーンエンドの法則!ボーン アイデンティティ!カナザワ映画祭で見た映画4本のうち、3本がニューヨークエンディングで感動をおぼえましたYO

2012年9月19日水曜日

フリッツ・ザ・キャット(81分)

監督:ラルフ・バクシ
原題:Fritz the Cat
何、あなた?それじゃあ役にたたないわ
腕組みしても元気出ないよ

カナザワ映画祭4本目としてみてきました。日曜日の朝10時に動物アニメ鑑賞って、すごいほのぼのした感じ。いや、実際はアニメ映画で史上初めて成人指定になった作品というだけあって、セックスとドラッグまみれたニャンニャン映画でした。

オープニング、猫が電信柱からおしっこをするのですが、地表に落ちるまではシャンパンのようにキラキラ輝いていたおしっこが地面に着いた途端にバシャーンと汚く下にいる動物の頭に落ちるのが愉快でした。遠くにあって美しくみえるものが、近くにあって美しいとは限らないですもんね。
あと、黒人に擬人化されるカラスの1羽が警察に撃たれて死ぬ時の描写がかっこよかった。ビリヤードの球が落ちるリズムと鼓動のリズムが一緒になって、そして最後の球が落ちる時果てる。死に至るこの描写が気持ちよくて、ここはもう1回みたくなりました。(YOUTUBEにあったので貼っておきます。開始2分くらいのところ)
主人公:フリッツが反体制運動に突然かぶれて、それで最終的には発電所爆発というテロ(ニューヨークエンディング)をするのですが、今回のニューヨークエンディングには少しアウトロがついていました。爆発で瀕死になり入院したフリッツを見舞うガールフレンドたちと、最後に結局乱交をするというしょうもなさがよかったです。


あと、「にっぽんSEX旅行」と「フリッツ・ザ・キャット」で、男が不全だった時に取る女の反応<腕組み>が共通してたのが興味深かった。いや、実際は<腕組み>しちゃあダメですよね、きっと。

2012年9月18日火曜日

ポルノの女王 にっぽんSEX旅行(72分)


監督:中島貞夫
還暦を超えて今なおナイスバディ
カナザワ的な暮らしが秘訣

カナザワ映画祭2本目はコチラの作品を見ました。シネマテーブルの課題作品に設定されていたので、お仲間18人で“にっぽんSEX旅行”に臨むという素敵な体験を味わいました。
映画は前半強姦シーン(監禁・拘束・殺人未遂etc)が多く、結構きつい内容。そんな展開続く中、音と映像が変な感じになり「こういう演出なのかな?」と思っていたら、、、なんとフィルムが反転していたという上映トラブル。今まで、映画館で上映トラブルに遭遇したことはありましたがフィルム反転は初めての体験で、不謹慎ですがちょっとワクワクしてしまいました。約15分間の上映中断後、偶然なのかなんなのか、映画の展開が強姦から和姦になってました。
言葉の通じないクリスチナに、荒木一郎が思い込みでいろんなことをやるのがひどい。男と女の間にある深い川がより、浮き彫りになった感じ。荒木一郎が笑わせようとやる裸踊りで、ニコリともしないクリスチナの顔がよかったです。男の好意が的外れなところが、「さもありなん!」って感じでした。

エンディングが“爆弾が爆破して終了”という、ニューヨークエンディングスタイルだったことが興味深かった。というのも、カナザワ映画祭で見た残りの2本「フリッツザキャット」と「バタリアン」も、爆発で終わったので、「ニューヨークエンディングはエロス映画あるあるなのかしら」との仮説が頭をよぎって。今後気をつけて、ほかの映画も見てみよう。。。
上映後に、中島貞夫監督×クリスチナ・リンドバーグ×柳下毅一郎でティーチインがあったのですが、62歳になってもナイスバディのクリスチナさんにビックリ!
秘訣を聞いたら「野菜と魚を食べて、田舎的な楽しい生活を送る」とのこと。うーん、でもお肉も美味しいからやめられないYO

2012年9月17日月曜日

不良姐御伝 猪の鹿お蝶(88分)

監督:鈴木則文
本当に出来るんですか?岩倉さん
お股を開き生娘鑑定

カナザワ映画祭に、シネマテーブルの旅行イベントにて12日で行ってきました。
金沢観光(21世紀美術館・兼六園・近江町市場)もしたので、映画は控えめに4本「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」「フリッツ・ザ・キャット」「バタリアン」を鑑賞。この映画は自分の中では1本目に見ました。
何が良かったって、開始15分程からの池玲子・全裸大立ち回り!雪の中での肢体が美しい。全然強そうじゃないけど、どんどん男たちを倒してしまうところもよい。クライマックスの花札舞い散る絵もカッコよかった。サマーウォーズぶりに花札やってみたくなった。
SEX描写も、レズ・3PSM・生娘・熟女と贅沢てんこ盛り。
生娘喰いを嗜好する岩倉の「たしかにお前は生娘のようだ」っていう台詞がささって、それをその夜の飲み会で生の字2個分は連呼しちゃいました。男性に対して言うプレイが、オススメです! 
舞台挨拶でクリスチナ・リンドバーグさんがいらっしゃったんですが、「この映画の舞台は金沢なので40年ぶりの金沢です。が、撮影は京都だったので今回が初めての金沢です」と挨拶。それが、不思議な来日感があって面白かったです。小京都金沢⇔大金沢京都!



2012年9月13日木曜日

夢売るふたり(137分)


監督:西川美和
男子から売ってもらう夢はいらない
夢は女子から買わせてもらう

西川美和監督作品は「ゆれる」しか見たことがなかったのですが、「ゆれる」は結構好きで本も読んだくらいだったので今回も期待していました。
が、女を騙す似たり寄ったりの描写に映画後半すっかり飽きてしまいました。序盤はよかったんだけどなぁ。
大勢の女たちが騙されるんですが、ほかの世界とのつながりがみえるシーンが少なく群像劇としての面白さが感じにくかったです。嫁:松たか子の真意についても、なぜか全然興味がわいてこず。オナニーしたり、ナプキン交換したりと、なかなかシモ描写(好物)が多かったんですが…なんでこんなに興味がわかなかったんだろう。
自分の弱さ「店の火事→夫婦不仲」を語ることで次々と女を堕とす夫:阿部サダヲに、「オンナなんか心の琴線に触ってやれば簡単に落ちるんだよ」と言っていた大学の同級生男子を思い出しました。当時は「お前、何目線だよ!」と白目になって聞いていましたが、この映画よろしく自分の弱さを見せることで相手の心の琴線に触れるってのは有効な手口かも。おもてなし用の弱みを持ってると会話が安心みたいなところもあるし。あと、やっぱ方言は強いな。
ちなみにこの映画を見た帰りの電車で、「400万円当選しました」とかいうあやしいDMの返信欄に記入してるおばちゃんに遭遇してビックリ。「いや、おばちゃんそれ詐欺だから!」と思ったけど、なんか怖くて声を掛けられず。騙されている人を注意するのは、なんか恨まれそうでなかなか出来ないモノですね。

聴こえてる、ふりをしただけ(99分)

監督:今泉かおり
お母さん育休使って映画撮る
たまの休みを有効利用

あいち国際女性映画祭にて鑑賞。監督のテーチィンもあって、なかなか充実した催しでした。
最初、挨拶に出てこられた今泉かおり監督が胸に赤ん坊を抱えていてビックリ。
聞くと監督が、この映画を撮ることになった経緯がすごい。
映画に興味を持ったのは、看護士の勉強のために出てきた大阪にてミニシアターで映画をよく見るようになったのがきっかけ。で、映画への興味が膨らみ看護士を辞めて映画の専門学校に。でも、卒業後映画監督では食えないので看護士に再就職。働きながら書いたシナリオが、見事シネアスト・オーガニゼーション大阪の助成の対象になったものの、その時監督は妊娠していた。。。しかし、なんとその育休期間を使ってこの映画を撮ったという。いや、へんな無理はせず、夢をすくすく叶えている姿にパワーを感じました。「次回作は?」と聞かれ、「正直、今撮りたいテーマがないんですよー」と答えた正直な感じも素敵でした。

映画は音楽による演出が1部しかなく静寂のシーンが多かったのですが、そのせいかテンポが悪く尺が長く感じました。疾走→沈黙→号泣をワンカットで撮った監督のこだわりのシーンも、その長さのほうが引き立ってしまったように感じます。好みの問題だと思いますが、私にはちょっとしんどかったです。
子役の子が、みんなよかった。特に知恵遅れの少女のんちゃんの笑顔に癒されました。知恵遅れという設定ながら、とっても可愛い服を着ているところが親の愛がたっぷり注がれているんだろうなと想像出来てよかった。
あと、主人公:サチが家を掃除し、花を捨てるシーンで、やっぱり映画の掃除シーンは好きだなぁ」と再確認しました。

2012年9月12日水曜日

グッバイ・マイ・ファーストラヴ(110分)


原題:Un amour de jeunesse
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
初恋の彼と再会してみても
やっぱり昔と同じ結末

あいち国際女性映画祭で見てきました。上映後に「女性学生、恋愛と結婚を語る!なう」という女子大生5名に映画の感想やら恋愛観などを語らせるトークイベントがあり、それも一緒に見てきました。女子大生のうちひとりがものすごく恋愛に冷めててそれが面白かった。「恋愛って、めんどくさくないですか?」「お金もかかるし」とか、現役女子大生の発言だと思うとなかなか味わい深かったです。
映画自体は、大人向け少女漫画みたいな話でした。初恋の彼に、彼の長期旅行を機に手紙で振られて、主人公:カミーユは自殺未遂するほどに落ち込む。でも、バイトや建築の勉強に打ち込み約4年かけて立ち直り、立ち直りかけた時に親の歳ほど離れた学校の先生と恋仲に。しかし、ひさしぶりに再会した初恋の相手と再び恋におちていく。
初恋の相手には超依存恋愛&重たい女だった主人公が、年上の男と付き合うことでどんどん成長していく姿が頼もしかった。西原理恵子先生の持論「出来る男がいたら、寝とけ!」ってのを思い出しました。この映画での彼女の成長っぷりをみると、「ピロートークで、仕事のできる男からコツを盗む」という先生の理論はあながち嘘ではなさそう。


2012年9月9日日曜日

籠の中の乙女(96分)

監督:ヨルゴス・ランティモス
原題:Dogtooth
キラキラのカチューシャあげるそのかわり
私のプッシーお舐めなさいな

予告編のいびつ&エロい雰囲気に興味をそそられ、みてきました。
予告編で期待したモノとはちょっと違ったけど、面白かった。つーか、笑えた。マジキチ実写版「お父さんは心配性」っていう感じ。まず、お父さんを筆頭に頭のおかしい人しか出てきません。子供はともかく、母親をどう洗脳したのかわからないけど、父親以外は猫を恐れて外の世界に出ていかない。いざという時に猫と戦うために犬的な振る舞い<四つん這いになって吠える>の特訓をしているという徹底した猫のおそれっぷり。こいつらに、荻上映画「レンタネコ」を見せたら卒倒するんじゃなかろうか。
外部から息子の性処理要員として派遣されてくるクリスティーヌが息子に性関係を拒まれ、その欲求不満から長女に「私のカチューシャあげるから、ココ舐めて」とクンニさせたのにビックリ。「ブラック・スワン」ぶりに、女同士のクンニシーンを見ました。そのあと、長女と次女の間で空前の舐め舐めブームが発生するところも、この環境ならあるなって感じがしました。
外界から遮断されて娯楽がないせいか、「熱い湯に指をいれて我慢するゲーム」や「麻酔薬を吸って、どっちが先に起きるかゲーム」など変な遊びを発明してるのも興味深かった。
そして、クリスティーヌから借りたビデオで映画を見た時の長女の衝撃。「ジョーズ」と「ロッキー」を見たっぽい次女が、自分を「ブルース」と呼ばせたり、プールで鮫になりきったりと、外界を知らぬだけに映画があたえる影響がすごかった。ある意味映画の持つパワーを証明してた。外の世界への興味が止まらなくなった長女のクライマックスのダンスも凄かった。あのダンスを真顔で見れる家族は、やっぱりどうかしてる。。。
外に出るために、犬歯<この家族のルールでは犬歯が抜ける=外に行ける/ただし危険なので車で>を折ってもなお、徒歩では出ていけない洗脳されっぷりが哀しかったです。

2012年9月8日土曜日

プロメテウス(124分)



監督:リドリー・スコット
原題:Prometheus
おぉ、神よ!なぜ我々をおつくりに?
理由はないさ作れたからさ

アイマックス3Dで見てきました。アバターぶりに、「3Dじゃないと、面白さ半減」と言い切れる映画。地図作成ロボットやさまざまなホログラムなどなど、「未来キターーー!」感を楽しみました。
壮大なスケールで描きながらも、ストーリーのペラさがいい。じいさんが作った映画なのに、説教臭くないところも素敵。ほとんどの登場人物が単なる背景になってしまっている思い切りの良さもまたよし。まあまあ描かれている主人公:ノオミ・ラパスとアンドロイド役:マイケルファスベンダーも、情報不足で行動意図がよくわからない。でも、逆に想像力が湧いて面白かったです。

ラストシーンのあいつを見て、「あ、そういやこれエイリアンの前日談だったんだ」とようやく思い出しました。エイリアンシリーズよろしく、プロメテウスも女性がたくましかったですね。
堕胎施術→宇宙服で探索→超ダッシュで逃げ→エイリアンとバトル→ファスベンダー救出と、、、 ノオミ・ラパスの大立ち回りには「どんだけ~!」ってなりました。しかも、堕胎手術は、腹切って、巨大ピンセットで取り除き、傷口をホッチキスで止めるだけという超雑な代物だったし。ほんと、どんだけ~!
クライマックス、頭なでなでからのマイケルファスベンダーの頭ボキボキ&おじいちゃんの「すべて無駄だった」には笑いました。ここまではるばるやってきて、、、こんな徒労もなかなかない!古代語を得意げに話し頭なでなでしてもらってすぐに首をおられる、マイケルファスベンダーかわいくてよかった。こんなにかわいいくて、おちんちんも大きいん(映画「シェイム」のシルエット情報)だから、なんだかおそろしいなぁ。

2012年9月6日木曜日

テイク・ディス・ワルツ(116分)

監督:サラ・ポーリー
原題:TAKE THIS WALTZ
結婚もすこし物足りないくらい
腹八分目でちょうどいい

ゲスくないセス・ローゲンって、どんな感じか気になって見に行きました。
ちゃんと「ちょっと気がきかないけど、やさしいいい人」になってましたね。特に別れ話を切り出された時のセス・ローゲン表情百変化が、どれも頭をなでなでして慰めたくなるいい顔をしていました。
映画自体は、甘い夫婦破局モノって感じ。まー、好みのタイプの相手と偶然が連続で3回<観光地で遭遇・飛行機隣の席・家が向かい合わせ>も起こったら、恋にも落ちるでしょ。たとえ、今の結婚に不満がなくてもそうですよ。。。破局後の後日談もあったところが面白かった。アルコール中毒の義姉がぶちまかすところに、なんかスッキリしちゃいました。<なんか物足りない>感じをどうやって見過ごしていくかが、うまく人生をやりぬくためには大切なんだね。
ミシェル・ウィリアムズとセス・ローゲンの2人、問題なくいい感じだったんですけどね。背中合わせで料理を作るシーンとかあーゆーこと出来るカップル普通に憧れてしまいましたよ。「愛してるから・・・」と言ってから酷いことを続ける、そのカップル間だけで通用する独特のゲームもよかった。最後にセス・ローゲンが「キミの眼をスプーンでくりだして食べたい」を「愛してるから・・・」抜きでいうのも、変わらない所作の中に関係性の変化が見えてうまいことせつなかったです。
「ラジオスターの悲劇」をバックに激しくまわるケーブルカーが止まった瞬間、表情がいきなりしらふに戻る2人に、なぜかクラブでオールし店の外に出たら日が昇ってた時の気まずさを思い出しました。「あ、調子に乗ったけど、それはここじゃなきゃ有効じゃないのね」っていう、空間に酔ったことをちょっと恥ずかしく思う感じ。
そういや、ミッシェル・ウィリアムズ、トイレで用をたしたり、おしっこもらしたり、陰毛みせたり、無駄にシモをはってた!はー、なんか好感もてる。ご馳走様です。
ミッシェル・ウィリアムズのオトコが洗面台で歯を磨いたりしてるのにユニットバスのトイレで用を足すシーンに、つい最近同じようなことを姉にやったらめっちゃ嫌がられたことを思い出しました。映画の中のオトコたちは全然嫌がってなかったのにコレは、日本人とアメリカ人の感覚の違いかしら。それとも男と女と女同士との違いかしらん。

2012年9月3日月曜日

トガニ 幼き瞳の告発(125分)

原題:Do-ga-ni
監督:ファン・ドンヒョク
悪人がちゃんと成敗されるのは
エンドロール後こちらの世界

予告編の時点で「韓国映画でテーマがコレって、、、面白そうだけど、すげーしんどくなりそうだから見るのやめよ」と思ってたんですが、シネマハスラーに背中を押されて見てきました。 
純粋に、映画として面白かったことにまずビックリ。
聴覚障害者学校で実際に起きた性虐待事件の映画化なんて、そりゃしんどい話になるに決まってるじゃないですか。でも、コレ、話は重いですけど単純に“映画”としてもしっかり面白いんです。
双子の学園の校長と行政所長が“おいでおいで”するところや、子供をおいかけ襲うシーンにホラー映画的不気味さがあったり、裁判シーンの駆け引きに法廷サスペンス的ハラハラもあったり、<実話にもとづいた>という括弧書きを抜いても単純に映画として面白い。
クライマックス、機動隊の放水を受けながらも遺影を抱え叫ぶ主人公の姿は、絵的にもグッときました。エンドロール後のテロップで、実話として「スッキリ」させられてしまうところもすごい。こういう意味でスッキリしてしまっていいのだろうかと、少し戸惑いましたが、映画として面白いからこそ、多くの人の目に触れ心を動かし、エンドロール後の現実世界が動いたんでしょうね。
職員室で生徒をロッカーに叩きつけて暴力を振るっているのを見ても、何もしない先生たちが直接的な加害者ではないけどすごい怖かった。ここまで悲惨な事件につながらなくても、こういう「見ざる・言わざる・聞かざる」ってある。自分も日常的にやってると思う。先回タマフルにゲストで来られた大林宣彦監督の「ぼくたちはね、戦争中のこどもはね、正義ってものを信じてないんです。自分の正義を主張すると、必ず敵を作るんです。ぼくたちはね、何を信じるかっていうと、正気なんですよ。アートとは、正気を問うことなのよ。」という言葉が映画中思い出されました。正気を失わず行動に出ること。やっぱり、これが自分以外の誰かを踏みにじらない大切な方法なのだとあらためて感じました。