2013年8月31日土曜日

ガッチャマン(113分)

監督:佐藤東弥
オレは映画をみないうちから駄作と決めつける考え方を否定する

つっこみどころ満載な映画であることは見る前から予想がつきましたが、「俺は一千万人を助ける為、一人の命を犠牲にするという考え方を否定する」という劇中の台詞よろしく「オレは映画をみないうちから駄作と決めつける考え方を否定する」という姿勢で、なるべくいいところを探そうと思って鑑賞しました。
潜伏操作から各々集合し、初回の任務で輪になってガッチャマンが空から登場するまでがクライマックスでした。フードをかぶった暗い雰囲気の綾野剛が後ろにたたずんでいるのもよかったです。各地から逃れてきた難民が東京に溢れかえっているという描写もあって、細かい設定もちゃんと描くのかなという期待もありました。。。が、その冒頭以降は・・・ごめんなさい、いいところがみつからないです。見たから言っていいよね、、、コレつまんないです。 

まず、なんといってもこの映画、アクションに魅力がない。ストーリーパートがアレでもアクションがよければとか、アクション全般はアレでも肉弾戦がよければとか、そういう満足感はあるだろうと期待してたんですが、どれもこれもアレな出来でした。
冒頭の東京市街地での任務は、昼間の明るい場面だからチープさが目立つのかなと思ったのですが、その後終盤までのっぺりしたアクションでガックリ。こっちも、アベンジャーズのような大規模なことは、日本では出来ないのは分かってるんです。が、予算がなくても仮面ライダーとか変態仮面とか魅力ある日本版特撮ヒーローの戦い方があることを知っているから、「仕方ないよね」っていうあきらめの目で優しく受け入れることも出来ないです。せめて、「オレはココを見せたい!」っていうポイントがあればよかったなぁ。 

爆弾解除・顔認証ハッキング・ミサイル起動ずらしとまったくドキドキしないタイムリミットチャレンジが繰り返されるのも、げんなりした。ガッチャマンたちにあまり緊張感が感じられないタイムリミットチャレンジで、こいつらは“適合者”ということをのぞいて、ガッチャマンにむいていないという気がしてくる。こんなガキたちに人類守らせちゃまずいと思います。 

エンドロール後、ベットでうずく綾野剛に「もー、ええわ!」と思わず声を出してしまいました。続編を匂わせる、、、こういうところはマーベルを取り入れたのかな。でも、続編見たくねーデガス。

2013年8月24日土曜日

ワールド・ウォー Z(116分)

監督:マーク・フォースター
原題:World War Z
世界を股にかけるZ!

世界を股にかけたゾンビパニックに大興奮しました!
もともとゾンビ映画の中でも「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28日後…」が特に好きだったんですが、今回ので「やっぱり私は爆走するゾンビが好きだ!」と再確認できました。
いままで見てきたゾンビ映画って、舞台になるのがひとつの街だったりとミクロに描かれたんですが、今回はアメリカ、韓国、イスラエル、イギリスとさまざまな国のゾンビパニックが見れて、楽しかったです。ゾンビの対策にお国柄が見えるのが、イイ!ゾンビ発生から24時間以内に国民全員の歯を抜いた北朝鮮、ゾンビの存在を予兆するメモから数年前から対策し高い壁を作っていたイスラエル。独裁色の強い国はこういう異常な有事に強いなー。頼もしい、けど怖い。原作も読んでみたくなりました。

個人的にツボだったのは、ゾンビ対抗への希望の星の学者さんが登場10分位で即効死んだ所。しかも、死に方が。。。足を滑らして、銃が暴発して当たるというマヌケさ。ついさっきまで、目をギンギンに光らせて、えらそうに講釈たれてたインテリがあっという間に死ぬのは愉快でした。
あと、イスラエルの壁越ゾンビのきっかけも笑ってしまった。壁の中で安全が確保された人々の大合唱によって、ゾンビが集って人垣ならぬゾンビ垣を作り壁を越えてくる。せっかく前もってゾンビ対策してきたのに、こんなことでパーになってしまうことが実にリアル感がありよかったです。

2013年8月17日土曜日

風立ちぬ(126分)

監督:宮崎駿
駿には、強い女が似合う

「崖の上のポニョ」や「ハウルの動く城」といったファンタジー色の強いここ最近の宮崎駿監督作品と比べると、今回の作品「風立ちぬ」は、かなりのみ込みやすかったです。
予告編を見た時には、311を受けて関東大震災やそこからの復興が描かれるこの題材が選ばれたのかなと思ってたんですが、製作に4年かかったとどこかのインタビューで目にしたので311とは関係なく映画化すると決められていたんでしょうね。うねる大地の描写、自然がもつ気持ち悪さがあってよかったです。あと、人間の声で表現された機械音に「この空の花」を思い出しました。

飛行機設計の夢に自分の人生を傾け、そして戦争という時代の波に意図せず大きくかかわっていく主人公:堀越二郎のストーリーは幻想的なイメージとともにけっこう楽しめたんですが。。。ヒロイン:里見菜穂子があまりに男に都合がいいキャラクターで、げんなりしてしまいました。
二郎が来ることを沼に願い、二郎からの手紙を読んだら速攻病院抜け出し、徹夜する二郎の手をつないで見守り、結核なのに同部屋で二郎の喫煙を許し、そして二郎がしばらく家をはずすと分かったら山の病院に黙って戻っていき、そして死んでしまう。彼女が「好き」とかいうタイミングにもゾゾッとしてしまった。幼少時代の菜穂子さんは、震災の中一生懸命かばんを運んだり結構快活さがあったのに。。。不治の病にかかると、逆に自分の命を誰かに尽くして一途になってしまうものなのかもしれませんが、宮崎駿アニメには心身ともに強い女のコのほうがよく似合う気がします。

2013年8月10日土曜日

2013年上半期シネマ・マイベスト10


2013年上半期に見た映画の感想を全部書き終えたので、個人的ランキングを書いておきます。
劇場で見たのは、40本。去年は上半期が終わった時点で44本見てたから少し減ったけど、思ったよりたくさんの本数見てました。

「いま見るべき!」って映画を見逃してしまっている感があるランキングでちょっと残念ですが、愛、アムール」とか「意外にこういうの好きなんだなぁ」という自分の嗜好のあらたなる発見があり、やっぱりふりかえって並べると面白いですね。
1位の「キャビン」は人がざくざく死んでるところでなんの迷いもなく大笑いできて、最高です。コレ、友達大勢で見たかったなー。
あと、「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦 アルティメイタム」が”全ての存在と友達になる男”仮面ライダー フォーゼ 主人公:如月弦太朗の人生の落としどころとして、すごい納得がいき、見た直後よりも好感が増しています。ここでスッーとできたおかげで、連続テレビ小説「あまちゃん」もすがすがしく楽しむことが出来てます!ありがとう、弦太朗先生!

イノセント・ガーデン(99分)

監督:パク・チャヌク
原題:Stoker
欲望に目覚める喜び

「「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督、ハリウッド初上陸」ということで、かなり期待していましたが予想外に上品な映画で、なんだか肩透かしな気分を味わいました。
毎月参加させていただいているシネマテーブルの課題作品としても扱われたのですが、同じテーブルになった女性が「かわいい庭が出てくる森ガール的な話かと思ったら、人がザクザク殺される映画でビックリした!」と言ってたのが印象的でした。
原題は家名を表す“Stoker”なのに、邦題はなぜか“イノセントガーデン”、、、うーん、これはわざとミスリードを狙っているのかな~。(ただ、庭においてある大きな玉や籐の椅子など、たしかに庭は素敵でした)
この映画のおじさんを見て、昔読んだ本に書いてあった「変態の悩みは自分が変態であることではなく、パートナーが見つからないこと」というフレーズを思い出しました。たしかに、おじさんは18年かけてパートナーとなりうる姪を育てあげウハウハになっていたように感じます。
でも、姪は「自分の欲望に気づいた喜び」でウハウハしていて、別におじさんを必要としていない。結末から振り返ると、ちょっとおじさんが気の毒でした。
「男目線過ぎる!」と非難の声も多かった姪のシャワールームの人を殺してきて、興奮オナニー
ーン、私は普通に「お前、そっちだったかーーー!」とビックリさせていただきました。
あと、ニコール・キッドマンが演じる母は娘が自分の元を去った後、ケロッと元気に暮らしていそうな気がします。肉親の情にとらわれないわがままな女の強さを感じて、彼女のことはけっこう好きです。

2013年8月9日金曜日

ローン・レンジャー(150分)

監督:ゴア・バービンスキー
原題:The Lone Ranger
そして、キモサベが残った

150分の上映時間がとても苦痛に感じました。せめて、2時間ちょっとくらいの映画だったらよかったのに。終盤の派手な蒸気機関車アクションも、「もう、どーでもいいから早く終わってくれ~」と思いながら見てしまいました。今年、西部劇なら「ジャンゴ」、原住民と開拓者の闘争なら「セデック・バレ」といった超傑作を見ているだけに、物足りなさを感じました。 

何がそんなにダメだったのかというと、、、ジョニー・デップのキャラ感溢れる演技にもうすっかり飽きていたんです。なんだか、もう見ていて胸ヤケを感じてしまって。
「チャーリーとチョコレート工場」までは楽しんで見ていた記憶があるんですが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のパート2あたりから天然中年かわゆす男子っぷり(?)に笑えなくなってきました。最近、ゆいいつキャラ感のないジョニーデップを見たのは「ツーリスト」でしたし、なんだかジョニー・デップ映画に苦手意識が芽生えてしまいました。 


あと、色々な事柄のプロセスが抜け落ちているのも気になりました。
トントはどうやって牢を抜け出したのか、ジョンはどうやってあの高い塔から降りたのか、2人はどうやって洞窟で待ち伏せできたのか。この「どうやって」の数々が描かれておらず、スッと展開していくのが気持ち悪かったです。「そのくらい察してよ~」というノリなのかもしれませんが、ちょっと観客の読解力を信頼しすぎな気がします。 
色々と乗れない映画でしたが、ただジョニー・デップがアーミー・ハマーを呼ぶ愛称「キモサベ」の響きは、大変気に入りました。メールなど文の締めくくりなどに、多用させていただいておりキモサベ。

2013年8月4日日曜日

ベルリンファイル(120分)

監督:リュ・スンワン
原題:Bereurlin
他人の国でシバラマ祭
金正日没後の北朝鮮といった最近の政治ネタを織り込んだサスペンスアクションとそれが韓国本土で700万人を動員したという事実から、「さすが「アジョシ」が興行成績年間1位とった国、韓国!」と、またまた韓国の民度の高さを思い知らされました。
ただ、韓国・北朝鮮・アラブ・アメリカと様々な国による政治サスペンスを見て、国際政治モノにあんまり興味がもてない自分に気がついてしまいました。現実世界でどの国がどういう立場か疎いため、私には事実を映画に取り込んだビビットな面白さがあまり理解できていない気がします。
投げ飛ばしたところに必ず背中を打つ鉄や石があったり、ワイヤーに絡まりまくりながら飛び降りる痛そうなアクションシーンは純粋に楽しめました。悪役のリュ・スンボムの下品な面構えもよかったな。
映画の舞台となるドイツ・ベルリンと人の国で、北朝鮮と韓国が入り乱れて「シバラマ!シバラマ!」とののしりあうところが、愉快でした。いままで見た韓国映画でつかわれた様々な「シバラマ」を聞いてきたおかげで、海外ロケでも遠慮なくやってる感が伝わってきました。あんなにシバラマれたらドイツ人もたまったもんじゃないでしょう。