2016年2月29日月曜日

2016年2月に見た映画

劇場で1本しか映画を見なかった1月の反動か2月はけっこう映画館に行きました。(計6本)
ブログに感想を書いた「劇場版 501」「ハッピーアワー」「オデッセイ」「イット・フォローズ」と「キャロル」(これから書くかも?)の新作5本。あと、シネマスコーレの食人肉映画祭企画で「食人族」を初めて見ました。

「食人族」は「イーライロス好き必見!」という宣伝文句に惹かれて見に行ったんですが、食人族に殺されるジャーナリストたちがなかなかの下衆具合で面白かったです。動物を実際に殺してるシーンが問題になってアマゾンでの販売が停止しているということでしたが、本物を殺しているだけあって迫力ありましたね。亀を剥くとあんな柔らかい肉が出てくるんだなぁ。映画の後に行われた浅尾典彦さんのしっかりとしたパワーポイントのプレゼンも面白かったです。この映画以降「動物を殺していません」というテロップが出るようになったとか、食人族ジャンルはゾンビにうつりかわったという話とか色々聞けて楽しかった!

あと、「イット・フォローズ」は映画そのものはまぁまぁくらいの面白さだったんですが、後日掟ポルシェさんのDJで女の子をしつこく追い回す様子を見て「あ、これ、イット・フォローズみたい!」って映画を思い返してちょっと愉快な気分になれました。色んなものを例えやすい映画なので、なかなかおすすめかも。

2016年2月25日木曜日

劇場版 501


コンビニよりも、顔射でしょ

監督:ビーバップみのる
上映時間:約125分

名古屋シネマスコーレで3日間限定上映された「劇場版 501」見に行ってきました。
2年近く前、ツイッター上でビーバップみのるさんが色々な人員募集ツイートやエモい動画などをあげていて、その当時この「501」にすごい興味をそそられていました。ですが、顔射コンテストが行われたくらいからツイートが減ってきて、「そいえば、あの「501」ってどうなったんだっけ?」とテレキャノ関連のイベントが近くで行われた時とか折にふれ気にしてました。そんな「501」がついに完成し名古屋でも上映するということで見に行きました。

この映画は、一昨年の「テレクラキャノンボール2013」のヒットのご褒美的な感じで、カンパニー松尾さんが功労者のビーバックみのるさんに「好きなの撮っていいよ」と言ったところからはじまった企画なのですが、「テレクラキャノンボール2013」の疾走感とかバディ感とか大人の青春感は全くなく、見終わった後に鬱鬱もやもやする作品でした。自分的には見た後のもやもや感と主人公が自ら挑む戦いに気乗りしてない葛藤に「なんかエヴァンゲリオンみたいだな~」と思いました。といっても、私は「エヴァンゲリオン」をテレビシリーズと劇場版2本をDVDで1度見たくらいのライトな知識しかないのですが・・・(「エヴァンゲリオンみたい」と思ってるうちに、ビーバップみのる≒碇シンジ的な認識にだんだんなってくるけど、2人の共通点はあんまり見つからない)
みのるさんが501撮影中ツイートしまくっていた時期、私もみのるさんのツイートをリツイートしたり関連ツイートをした記憶があるのですが、映画本編の映像には私の知り合いのツイッターアイコンが映ったり、果てには顔射大会会場にいる知り合いの姿が映ったりしてました。それを見て、なんか自分が映画に映りこんじゃったような感覚がしてドキドキしました。しかも、映画をを見ていると実は「みのるさん本人は顔射大会等々をかなり冷笑的に見ていた」ことが伝わり、テレキャノの余韻の中で興味を持ってみのるさんに振り回されていた私たちは、実はみのるさん自身が興味のない事柄に振り回されていたということが分かってくる。これって、皮肉だけどすごい面白いなと思いました。
あと、なんといっても、最後に出てくる未来のるなちゃんことなつこさんがナンパを成功させるところに勇気づけられました。数分歩いたら膝が痛くなってしまっていた64歳のなつこさん、無理やりギャル風のメイクをしているせいもあって、失礼ながら「化け物」という言葉がピッタリな見た目で、路上ナンパしたって絶対誰も捕まらないと思ってました。どっこい、それが、ちゃんと男捕まえた!何人もの男に素通りされても、声掛けを止めないめげない力!足をとめてくれた男の「この後コンビニ行くから・・・」っていう言葉に対して、「コンビニは24時間やってるから私と遊ぼう!」と返すクロージング力!私もなつこさんを見習って、ナンパしてみたくなりました。いや、ナンパじゃなくても、なにか躊躇してできないことをやってみようとわりと真面目に思わされました!

2016年2月20日土曜日

ハッピーアワー


友達は最高!(と言っておく)

監督:濱口竜介
上映時間:317分
パンフレット:700円(★★☆☆☆:「友だちと一緒に旅行して数日間一緒にいると、途中で相手のいやなところが見えてきて無理だと思うけれど、それを超えたら受け入れられる、(中略)それを映画で経験できるのは貴重でした」という辛酸なめ子さんの文章にうなづきました)

今年は去年までに比べて映画を見に行く本数がグッと減って、この「ハッピーアワー」が4本目の鑑賞になりました。「ハッピーアワー」は上映時間5時間17分と通常なら映画2~3本見れる尺だったのですが、大須にあるシアターカフェの「映画コンパ!略して映コン!2015年マイベスト10を語ろう編」というイベントに参加した際、年間500本オーバー映画館鑑賞の猛者が2015年のベストとして「ハッピーアワー」おすすめしていて、すごい気になって見に行きました。
映画館に向かう直前にあらすじを見たら、登場人物の女性たちが37歳と個人的にタイムリーな設定で「これは刺さりすぎてやばい気分になるかも」とちょっと不安な気持ちになりましたが。。。まぁ、映画は面白かったんですが、残念ながら私にはそこまでは刺さりませんでした。同年代とはいえ、ここに出てくるのはみな結婚した(orしたことのある)女性たちだったからかな。結婚経験のある30代後半の女性が見たら、私より刺さるかもしれません。
で、映画の感想ですが、映画がドラマ的に動く「居酒屋での不倫告白」とか「離婚法廷」とか「中学生の息子が彼女を妊娠させた」とかそういうシーンよりも、ドラマ的にはあまり動いてないシーン(けど尺は長い)のほうがずっと印象に残って面白かったな~と感じました。特に印象に残ってるいるのは第1部の「「重心」に聞くこと」セミナーの「これ、なんじゃ?」という気まずい空気。後々の打ち上げで「実は身内しか参加者がいなかった」と判明するものの、セミナー実施中はみんな興味があるような面をして「やめるわけにもいかないし・・・」という感じでワークに参加してるのが、「あ~、あるあるこういう逃げられない場の気まずい空気」って思い当りました。でも、参加者同士背中をくっつけて立ち上がったり、お腹の音を聞いたり、額をくっつけ合ったりと、やっていくうちにみんなが楽しくなっていってる様子も含めて「あるある!」って感じました。こういうなんでもないシーンが面白いところに「なんでもないようなことが、幸せだったと思う~」と、虎舞竜の「ロード」を口ずさみたくなりました。
しかし、講師をした鵜飼さんにセミナーの感想を聞かれて「化けの皮がはがれそう」と文句を言った女、劇中のあかりと同じく私も完全に元カノだとミスリードしてました。「大人になってから距離の近すぎる兄妹は、傍からみると元カレ元カノの見えるんだな」という発見がありました。

2016年2月17日水曜日

オデッセイ


なんとかするポジティブマインド

監督:リドリー・スコット
上映時間:142分
原題:The Martian
パンフレット:720円(★★☆☆☆:脚本を務め監督もする予定だったドリュー・ゴダードが他作品の監督をやることになり、ちょうど予定が空いていたリドリー・スコットが監督をすることになったミラクルな経緯が分かる)

映画館でマッド・デイモンが宇宙服を着て「宇宙で独りぼっち」的なポスターを初めて見てから、わりと最近までずっと「インターステラー」で一人惑星に取り残されていたマン博士の前日談が続編公開されるだと思い込んでました。今年になってから、映画に詳しい友達に「「インターステラー」の続編、評判いいみたいだね」と言ったら、「は?」と返され「オデッセイ」は「インターステラー」の続編ではないことに気が付きました。わりとずっと「インターステラー」の続編として楽しみにしてたので、続編でないのはは正直ちょっと残念でした。でも、この勘違いのおかげで「オデッセイ」見たい欲が高まっていたので、映画館に足を運びました。「オデッセイ」の主人公のマークは、「インターステラー」のマン博士のような陰湿な性格の悪さはありませんでしたが、けっして性格がいいとは言い切れない人物で「一人で生きていくには、性格の悪さも必要だな!」と思いました。
この映画、開始10分足らずで主人公マークが火星にひとりぼっち状態になるんですが、気絶状態から目を覚まして「こりゃ、やべ~な」って感情はあらわすものの、全く絶望に暮れず序盤からトライ&エラーで色々試すところがマジですごいなと思いました。絶望的状況をユーモアセンスでもってポジティブに捉えれる面を探し、そこからやれることを徹底的にひとつひとつつぶしていく主人公のマーク。頭がよかったり体力があったりもそうですが、こういう精神力の強い人じゃないと宇宙飛行士にはなれないんだなと納得感がありました。うんこで育てたじゃがいもが芽吹いたシーンには、私にもなにかやれるはずと勇気付けられました!「まぁ、なんとかなるだろ」と捉えてなにもしない無責任なポジティブマインドじゃなくて、行動を取るための障害をなくすようなポジティブマインドを、私も持ちたいものだなぁと憧れました。主人公以外もボヤボヤしている登場人物が一人もいなくて、「NASAの人材の質、まじすげ~!」ってなりました。
あと、偶然か世の中の流行なのか、「オデッセイ」の宇宙服のオレンジ色を基調にしたデザインが「スターウォーズ」のBB-8に似ていたのが気になりました。ちょうど今、私はモーニング娘。'16でメンバーカラーがオレンジ色の工藤遥さんを推しているので「今年はオレンジがキテルな!」と思いました。

2016年2月12日金曜日

イット・フォローズ

逃げるには徒歩より自動車

監督:デビッド・ロバート・ミッチェル
上映時間:100分
原題:It Follows
パンフレット:720円(★★☆☆☆:監督が子供時代に見た、形を変えるモンスターがずっとついてくる夢を着想にしたことが分かります)

今年になってムービーウォッチメンの投稿をやめてから嘘みたいに映画を見なくなってしまったんですが、ネット上に流れてくる『イット・フォローズ』の「セックス、ホラー、ついてくる」というような評判が気になって、ひさびさに映画館に行きました。ホラー映画にセックスはつきもの(セックスを興じている者がいの一番に殺されるなど)ですが、セックスが恐怖の源と関わっているというのはありそうで意外とないような。恐怖の原因もセックス、恐怖から逃れる手段もセックスというのが面白かったです。そして、必ず徒歩でつきまとってくるソレの不気味さがよかった!あと、私はペーパードライバーで毎年毎年「今年こそ運転できるようになる」と目標をかがげては挫折してるのですが、この映画は「運転出来なきゃ命が危ない」と思わせてくれたので、見てよかったです。今年こそ運転の練習をしよう・・・
ずっとヒロインのジェイに思いを寄せている童貞の幼馴染ポールが、クライマックスでジェイのためにソレと戦ってから、ジェイとついにセックスした後の描写がなんともいえない味がありました。セックス後、「どうともない?」「どうともないよ」と確認しあう2人。ずっと好きだった人とセックスした後の感想を聞かれて「どうともない」と答えるの新鮮だなと思いました。
この映画を見た感想を知人に伝えるのに「愛知県美術館に所蔵されているデルヴォーの『こだま』っていう絵を連想した」と言ったら、たいそう感心されました。「映画の感想を絵で表現すると、すげ~知的な人と見られる」という知恵がつきました。いや、でも、実際、『こだま』で描かれる女性みたいに表情を変えずに一直線に向かってくる感じが、この映画のソレと印象が似ているので、この映画を見た方が愛知県美術館に行くことがあれば是非見てみてほしいです。