2014年5月31日土曜日

2014年5月に見たいくつかの映画

今月はブログに感想書いた映画5本、プラス2本。合計7本鑑賞しました。
ブログに感想を書いた以外は、シネマテーブル関連の映画でした。シネマテーブル定例会で「ブルージャスミン」、特別上映企画「劇場版 テレクラキャノンボール2013」。

「ブルージャスミン」は、いままで数本見てきたウッディアレン作品の中で一番好きかも。成長しない主人公に自分がかさなり、自己反省してしまいました。男の人は「これは、自分の話だ」とは思わないみたいで、男女の感想がわれたのも印象的でした。

「劇場版 テレクラキャノンボール2013」は、東京で見た人の興奮した感想をたびたび目にしていたのでようやく見れてうれしかったです。男同士の真剣勝負とそれを彩る一癖も二癖もある女たちに、笑ったり心が痛くなったり。ホテルより自宅のSEXのほうがその人の情報量が多くて、色々考えさせられちゃいますね。AVはほとんど見ないのですが、10時間版も見てみたいな。

ブルージャスミン

プライドを守るためなら堕ちたっていい

監督:ウッディアレン
原題:Blue Jasmine

劇場版テレクラキャノンボール

勝つための、けじめをつけるための「食」

監督:カンパニー松尾

2014年5月29日木曜日

野のなななのか(171分)

監督:大林宣彦
死んだヤツほどよくしゃべる

大林宣彦監督の前作「この空の花 長岡花火物語」は2012年年間マイベスト映画でもあり、大林監督自身がその姉妹作にあたると語るこの「野のなななのか」もとても楽しみにしていました。
今回も枠にとらわれない、そして新しい表現にチャレンジしていく大林宣彦監督の世界を楽しめましたが、正直前作「この空の花 長岡花火物語」で感じたような「見たことないものをみた驚き」や「映画館に異世界の扉が開いたような衝撃」を感じることはできませんでした。
「この空の花 長岡花火物語」では映画を半分くらいみたところから、意味もわからない涙が流れっぱなしだったのですが、残念ながら「野のなななのか」ではそういうわけのわからない情動に揺り動かされる衝撃はなかったです。だからこそ、「この空の花 長岡花火物語」はすごかったんだなとあらためて思いました。
「野のなななのか」では冒頭15分で死んでしまう品川徹が、死んだ後にしゃべくりたおします。なななのか(49日)が終わるまで、ずっとしゃべってる死人のおかげで死と生のはざまが曖昧になってくる。しまいにゃ、実はもともと死んでた人まで出現する。死んだヤツほど、よくしゃべるっていうのがなんとも新発想で面白かったです。
映画のポスターを飾る常盤貴子と安達祐実どちらも16歳の少女を演じるのですが、どちらも違和感なく美しくてびっくりしました。特に安達祐実の妖艶な美少女オーラがすごかった。外見が成長しないことにより女優としての幅が狭まっているかのように思える安達祐実ですが、逆に学生役を演じさせるととんでもない存在感を醸し出すんだなぁと思いました。そーゆー、あだちもっとみたいぜ!

2014年5月24日土曜日

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常(116分)

監督:矢口史靖
あなたとマムシ酒が飲みたい

めったに仕事で残業しないのですが、この映画は資料作成が終わらず残業した日に見に行きました。なんだか最近、仕事で自信がもてなくてくさくさしていたので、職業体験映画を一種励まされる思いでみてしました。「パンフの表紙に載っているあの子(長澤まさみ)に会いたい」といった動機から、林業体験プログラムに参加する染谷将太。そんな一種純粋とも思える不純な動機動機からでも、だんだんと森や村に馴染み、そこを愛するようになる姿に、ほんの少しだけだけど「私も今の仕事がんばるか」と思わされました。「仕込んだ仕事の成果が、2代後にしか分からない」といった林業の特異な性質も知れて興味深かったです。

この映画、なんといっても伊藤英明がよかった。「海猿」「悪の教典」と彼の映画を見るたびに、どんどん右肩あがりで伊藤英明が好きになってしまいます。今回の野性的で短期で粗雑で性欲あふれる英明もまたよかった。「悪の教典」とはまた違う、染谷将太とのカップリングが見れたのもうれしかったです。祭の打ち合わせで伊藤英明が「こいつはちゃんと森の男です!」と染谷将太をかばうシーンのジュンとくる感じ、ごちそうさまでした。
クライマックスの祭とか「いくらなんでも、ちょっとそれは都合よすぎ」と感じたのですが、画面に映り込む伊藤英明の胸板とお尻とあの軽薄そうで凛々しい表情を見ていたら、細かいことはどうでもよくなってしまいました。あんまり他の俳優さんにこういう感情は持たないのですが、「一度でいいから一緒にお酒を飲んでみたいなー」と彼にはそういう妄想をもってしまいます。実際の伊藤英明も映画の演じられるキャラクターも自分とは絶対話があわなさそうなのに、不思議です。なんだか話のあわなささえ、楽しめる気がしています。映画よろしく、一緒に鹿の刺し盛りとまむし酒を飲みたい!
あと、あの村と村人たちも「ちょっとめんどくさいけど、あこがれの田舎感」あってよかったです。朝から野外麻雀をするおばあちゃん、SEXするのにラブホを使う伊藤英明&優香の夫婦、長澤まさみに「そんなんだから嫁にいけないんだよ」とDISる小学生。ファンタジーなのかリアルなのかは分からないけど、都会とは違う空気をさらっと感じさせてくれました。

2014年5月17日土曜日

アメイジング・スパイダーマン2(143分)

監督:マーク・ウェブ
原題:The Amazing Spider-Man 2
不憫で、なぜ悪い

先日複数のアイドルが出演するフェスに行った直後に、「アメージングスパイダーマン2」を見てきました。というのも、ライブ中にアイドルファンが自分が応援してる以外のアイドルやそのファンの陰口を言ってるのを耳にして無性にイライラしてしまいまして。「このイライラを誰かにぶつけたい!」と思った時、「よし、ピーター・パーカーにぶつけよう!」と思いついたのです。前作「アメージングスパイダーマン」での主人公:ピーターパーカーの調子こきっぷりに「あー、早く事件の大部分が自分のせいだと気がついて絶望の果て、全てを失わないかな」とブログに書いたほど彼に腹が立っていたので、安心してイライラをぶつけられると思っていたのですが・・・意外と今回は序盤からダウナーなピーターパーカーくんで、イライラをぶつける的役としては期待はずれでした。でも、映画は面白かった。
今回から出演のデーンデハーンくんの影のある美少年っぷりに「デハーンに、はーん!」となりました。(デハーンくん、「ターミネーター2」の頃のエドワード・ファーロングを思いおこさせる色気だけど、大人になるとどうなるんだろう。不安ではーん!)
アメコミ大作でこういう感想を持つのも不思議なんですが、今回ニューヨークの街がとても魅力的に見えたのがよかったです。スパイダーマンが駆け巡るビル街、橋、車などそういうものがただの背景にならずに街の生々しい息遣いを感じさせるものになっているのがすごい。街中でのエレクトロンとの戦闘シーンでも、街の人たちがたんなるモブではなくちゃんと様々な表情で動いているのも本当おこっていることのようなリアル感がありました。また、クライマックスで街が停電した時に空港や病院で、ニューヨーク市民が自分の持てる力でその苦難を戦うところもよかった。劇場版「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」で、仮面ライダーだけでなく風都の街の人々も力をあわせたくだりと似た感動を思い出しました。街の苦難の時、ヒーローだけじゃなくて、街の人々にもそれぞれの戦いがあるのです。
ちなみに、ムービーウォッチメンで「スパイダーマン」が選ばれたいい機会なので、ずっと未見だったサムライミ版「スパイダーマン」も全3作見ました。サムライミ版のさえないピーター・パーカー、とてもよかったです。面白かった。「アメージングスパイダーマン」とサムライミ版を連続して見て、「スパイダーマン」の魅力のひとつに「敵が不憫」っていうのがあるなと思いました。「アメージングスパイダーマン2」の敵役:エレクトロンも、普通の人間だった時に他人からないがしろにされる中、偶然街で救われたスパイダーマンに自分の名前を呼んでもらった感激からスパイダーマンフリークになり、誕生日には自分用のケーキをスパイダーマンが用意したという体で自分で用意して、一人芝居をうつという不憫キャラでした。ただ、「アメージングスパイダーマン」では、敵役が力を得たあとに不憫さが消えてしまうんですよね。サムライミ版は力を得て敵になったキャラが、また終盤不憫さを覗かせるところがなんとも哀しくてそこがよいです。なんやかんやいって、かわいそうはエンターテインメントだなと思いました。

2014年5月8日木曜日

そこのみにて光輝く(120分)

監督:呉美保
どうしようもなく重く、かけがえのない存在

映画の中の綾乃剛よろしく、重い重い家族の様子を間あたりにしながらもなぜか家族がほしくなった映画でした。水際のバラック小屋に暮らす家族の様子に「ヒミズ」を思い出しました。あの家も外に洗濯機があったなぁ。

脳梗塞で寝たきりになっている父親の性処理を担当していた母がそれを放棄し、かわりに姉・池脇千鶴が泣きそうな表情で父をしごいて抜いてあげていたシーンに、苦労を危ういバランスで支えあっている家族のさまざまなことを白濁と飲み込んでしまう哀しさを感じました。終盤家族の問題を飲み込みきれなくなって父の首を締め、それを綾乃剛に静止された後に「千夏」と父に自分の名前を呼ばれるところで号泣する池脇千鶴からなんともいえない感情が伝わってきました。家族って、哀しいけどどうしようもなくかけがいのない。池脇千鶴の不倫相手を演じた高橋和也の「(家族を)大切にしてるから、おかしくなるんじゃ!」っていう台詞にも妙に納得しまいました。
綾乃剛と池脇千鶴の激しいラブシーンが見所のひとつの今作ですが、その出会いのシーンもとてもよかった。パチンコ屋であった弟・菅田将暉に「なにか食わせてやる」と家に連れてこられた綾乃剛。「ねーちゃん、なんか作って!」とよばれ、奥の部屋から出てきて客人がいると知り胸のボタンを上まで止める池脇千鶴。フライパンでチャーハンを作り、「暑いっしょ」と内輪を手渡したり、そういうやりとりがすげーよかった。フライパンのまま出てくるチャーハンとそれをうまそうに食べる弟とか、そういう家族の関係性もその場面だけでみてとれました。
前科者の弟を好演した菅田将暉もよかった。山へ行く口ききをしてくれることになったあとのはしゃぎっぷりは、本当にかわいかった。高橋和也を刺して、「もう山に行けない」「母ちゃんに、姉ちゃんにらくさせたかったのに、、、」とこぼすシーンには泣きました。あとで調べたら、仮面ライダーWのフィリップ役の子でだいぶイメージがちがってびっくりしました。数年みないうちに、男子もだいぶ印象かわるんだなぁ。

2014年5月3日土曜日

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(97分)

監督:高橋渉
泣けるうんこを見られる日もきっと近い

GW期間中に表示「ウリキレ」になっている中、ダメ元でチケットカウンターで「どんな席でもいいんで1枚ありませんか?」とトライしてみたら、「一番後ろのはしっこなら1枚あります」とチケット買えました。ウリキレ表示出ててチケット買ったのは「パラノーマルアクティビティ」以来2回目。おひとりさまならわりとなんとかチケットとれるというライフハックを再確認しました。
クレヨンしんちゃんは、映画はいままで1本も見たことがありませんでしたし、テレビも数回しかみたことがありませんが、、、おもしろかったし号泣メーンしてしまいました。客も親子連ればっかりかなと予想していましたが、20代くらいのカップルのお客さんも多かったです。
ロボとーちゃんのがんばっている姿に心打たれて泣けてしまうストーリーなのですが、特に好きなのはロボとーちゃんがしんのすけにピーマンを食べさせるシーン。ひろしの感情を消されたロボとーちゃんが「しんのすけが最も苦しむ方法をつかって苦しめろ」と命ぜられ、しんのすけの苦手なピーマンだけを炒めてしんのすけに食べさせるのですが、その拷問自体がしんのすけのことを分かっていないと出来ない愛ある拷問でよかったです。そして、その後、ロボとーちゃんの感情を取り戻そうと、しんのすけが必死になってピーマンを食べるくだりに号泣メーンしてしまいました。実際には、ピーマンを食べているだけの絵なのに・・・こういう、その時出ている絵とは必ずしも一致しない感情を呼び起こされる作りって、すごい好きなんですよね。昨年の映画「キャビン」で大量虐殺が起きるシーンで大笑いしてしまうとことか、それまでの話がうまく運んでいないとおこりえない現象だと思います。
ちなみに、今回の映画を見た後ずっと気になっていた「モーレツ! オトナ帝国の逆襲」も見ました。これも「臭い靴の匂いを嗅ぐ」というシーンがいちばん泣けるというおどろきがありました。こうなってくると泣けるおならとか、泣けるうんことか、泣けるちんことかもこの先可能性あるな。。。と考えてたら、泣けるちんこは「ふがいない僕は空を見た」ですでに見ていたことを思い出しました。あれも、すごい好きな映画。