2012年2月26日日曜日

NINIFUNI(42分)

監督: 真利子哲也

「ももいろクローバー」がスクリーンでどう料理されるのか興味があってみてきました。

映画本体としては、「うーん」って感じでした。
前半は、とにかく国道脇を歩く男の後姿を追う映像ばかりで。
強盗犯の空しい逃走を追う絵なのでしょうが、、、しつこく同じ展開を繰り返すのがあまり好きになれませんでした。
で、後半で、ももいろクローバーが本人役でてくるわけですが、「まぁそういう対比で使いたいんだろうな」っていう予想通りの使われ方で驚きがあまりありませんでした。
つい最近、地方を描いた傑作「サウダーヂ」を見たばかりだったせいもあるのでしょうが、全体的にかなり物足りなかったです。


で、映画とは離れてももいろクローバーの話を。
この映画では「ピンキージョーンズ」と「ミライボール」の間の「ももいろクローバー」の未公開映像が見れるのですが、それを見て「やっぱり、早見あかりがいるももいろクローバーはいい!」と思ってしまいました。
大きい画面で「行くぜっ!怪盗少女」の早見あかりパート「狙った獲物は逃がさない そう神出鬼没の大泥棒」を見て、低音ボイスとなんともいえぬ異物感にあらためてゾクッときました。
ももいろクローバーZは現在でも他と比べ多様性に富むアイドルと思うのですが、早見あかりの存在で多様性が広がるとともに「これ、みていいのかな?」というドキドキ感をこちらに与えてくれていたなぁと思い出しました。
ちなみに、この映画のタイトル:NINIFUNI(ににふに)とは、2つであって2つではないことを意味する仏教の言葉。
脱退した早見あかりとももいろクローバーZも2つであって2つではない存在といえるかもしれません。

あ、映画館で、高城れにサイン入りパンフ争奪じゃんけん大会があったのですが、スタッフの方が「たかしろさん」と誤って発音していたのを見て、「ももいろクローバーZもまだまだとのびしろあるな!」と感じました。(ちなみに私はジャンケン1回戦で敗退)

2012年2月24日金曜日

サウダーヂ(167分)

監督:富田克也

ようやく「サウダーヂ」見れました!
TBSラジオ・ウィークエンドシャッフル内の名物コーナー「シネマハスラー」の課題作品中心に映画を見ている私にとっては、パーソナリティのライムスター:宇多丸さんが2011年ベスト1にあげたこの映画をみられなかったことは大変悔しいことでして・・・
いや、まず20122月にようやくシネマハスラーのランキングをコンプリート出来たことに感動しました。

で、映画本体ですが、ものすごい熱量にビックリしました。
ずいぶん昔に読んだので、ざっくりとした印象なのですが、村上龍「イン・ザ・ミソ・スープ」が思い浮かびました。その地方版といいますか、、、「納豆食って、日本人の心になれ!」とか食ワードに余計そう感じたのかもしれません。つうか、食の扱い方もよかったなぁ、この映画。田我流くんが帰宅してすぐ食べる、パンにマヨネーズつけただけの謎の料理があの部屋とあいまって荒んだ生活の説得力がものすごかったです。
知らないキャストばかりでありながら、「こんなヤツ、イルイル」感の説得力がはんぱなかったです。エステティシャンの嫁とかLOVEPIECEのまひろとか、あと田我流くんの完璧すぎるヘッズとしての佇まいがしびれます。「政治家が一番のギャングスターじゃねーか!」とハーコーラップ決めるとことか、どこかで見たことある気ような既視感を感じました。ひとりひとりが極端な行動をとっても、このキャストの説得力で「ある・ある」と納得させられてしまいます。

各自が自分の幸せや解決をココではないどこか<サウダーヂ>に求めてしまう救いのない姿に、絶望を感じながらもなぜかエンターテイメントとして笑えてくるところもすごい。
彼らが土木業で仕事をしている姿が、とてもイキイキとしていて楽しそうで好きでした。
この作品では「仕事をすること」が幸せや解決への筋道ではなかったのですが、やっぱりどうしようもない時はとりあえず仕事しようかなと勝手に思ってしまいました。

2012年2月23日木曜日

ALWAYS 三丁目の夕日’64(144分)

監督:山崎貴

ALWAYS 3丁目の夕日」は映画も漫画も見たことなく、今回初めての鑑賞。2D版で見ました。

まぁ、良くも悪くも特に刺さらないわりとどうでもいい映画。
映画の舞台の1964年って、まだ自分が産まれる前なのですが現代と地続き感強くて、いい塩梅のノスタルジィがうまれにくいように感じました。ノスタルジィの旨味こそ、この映画の醍醐味な気がするのでこれはちょっと時代設定がもったいなかったように思います。

話自体は、主要メンバーにどうにも感情移入しにくくて、、、
まず主人公の吉岡秀隆がイヤな奴過ぎる。仕事が上手くいかないことにくさくさくさくさして、義理の息子に「オレなんか、ヒモだぞ!」とか内面ぶちまけて。あんな義父に「東大行って、大企業に勤めろ!」とか言われたくないよ。「あんな家、出ていって正解!」と思ってしまいました。
あと、その嫁・小雪のミスキャストっぷりがいただけない。なんか、すげー大きくて怖くて、内助の功的な雰囲気を感じにくい。余計なお世話だけど、小雪さんがおうちにいる松山ケンイチはちゃんと落ち着いて暮らせているのかなと変な心配をしてしまいした。
で、今回からのニューキャスト森山未来くんも「実はイイ奴でした」オチが納得いかないイヤなキザっぷりで。観客をミスリードさせるためなんだろうけど、キザネタもスベってるし好きになれなかったです。

中盤の三浦友和の「一言だけ言わせてください!」からはじまる「上を目指すことだけが幸せでしょうか?つか、幸せって何?」話が、2012年のうちらに言われてもあんまり響かないよ。」としらけました。何かを台詞で言わせてしまうんなら、せめてこの時代に対していう必然性がほしかったです。

あ、よかったのは、鈴木オートの従業員:堀北真希・染谷将太のふたり。なまった演技がなんともかわいくて。
特に、染谷将太くんが、私も参加させてもらっているシネマテーブル(映画の話で集まる名古屋のサークル)の主催者のコにそっくりで。1本ネジの抜けたような純朴な表情の演技に、ニヤニヤしてしまいました。
ヒミズの時も「似てるなぁ」とは思っていましたが、主役だから気になっても特に問題なかったのですが、今回みたいに端役だと気になって画面のわりとどうでもいい場所を見てしまっていることが多々ありまして、、、
知人に似てる人がスクリーンにいると気になりすぎて、そればっかり見てしまって話に集中できなくて危険ですね。

2012年2月15日水曜日

DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る(121分)

監督:高橋栄樹

私は女性アイドルが好きです。
「まじスカ」や「BUBKA」で興味を持ち、関連グループ含め劇場公演・LIVE・握手会等々に何度か参加しているので、AKB自体も結構好きといっていいと思います。
そんな私が、「今回のAKBの映画、イイよ!」と言っても、「どうせ、お前はアイドルヲタだからな!」とあまり取り合ってもらえないでしょうが・・・この映画、本当におもしろいです!
前作のDOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」 は、「売れてるグループって、各メンバーにクローズし深みをもたせられるからいいわね」というくらいの感想でしたが、、、
今回の映画は、AKBが嫌いな人でも楽しめる素晴らしい映画だと思います。

「AKB・SKEはアイドルっていうより群像っていうジャンル」というコンバットRECさんの耳から鱗な言葉があるのですが、各メンバーを切り取るという側面が強かった前作と違い、今作では日頃のAKB以上に群像としてのカオスな部分が見れて、それがどうしようもなくおもしろい。

特に、西部ドーム2日目のバックステージの様子が壮絶。舞台裏での様子は、皆わけがわかってやっているとはとてもみえない。そして、過呼吸や熱中症で次々と倒れるメンバー。まるで、臨戦状態の兵隊キャンプのようです。わけもわからず瀕死の状態なのに、みんなどんどん出陣していく。。。
直前までステージ上でも過呼吸状態だった前田敦子が、「フライングゲット」でスポットライトがあたった瞬間、信じられないほど輝く姿はがとても美しくてとても怖い。「ブラックスワン」ナタリーポートマンの「It was perfect 」という台詞が聞こえてきそうでした。
また、前田敦子や大島優子とはまた違う意味でAKBを背負っている高橋みなみの存在の大きさにも気が付かされました。よく聞く「AKB48とは、高橋みなみのことである(秋元康)」という言葉を、今までは「なんのこっちゃい!」と思っていましたが、たしかにこのリーダーならそう言ってもいい。これからは、理想の上司欄に高橋みなみと書こう。

ただ、この映画鑑賞後に「…で、だからAKBって最高でしょ!」とはなりません。いや、そこがまた素晴らしい。
正直、アイドルという「存在」の持つ素晴らしいさをその外部の人にこれ以上に伝える映画は、今までなかったと感じます。
しかし、アイドルとしての「人生」に対する疑問符はより大きくなりました。
主要メンバーの舞台裏でみせる吹っ切れた凛凛しい表情と違い、まだうすぼんやりとした表情のチーム4のリーダーや311で被災した研究生を見ると、彼女達が「夢を追っている」とは思えないのです。正直、「自らに呪いをかけている」という言葉のほうがしっくりきてしまいます。
これは、決してAKBの販促映画ではなく、「彼女たちの人生はこれからどうなっていくんだろう?」そういう疑問をありのままに映し、こちらの地平までも揺るがす映画なのです。
それにしても、AKBは素材をオープン化して、外部の人に料理させるところが素晴らしい。
これからもアイドル発のこういうモノをみたいので、AKBにはもっともっと上へいってほしい!

2012年2月14日火曜日

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(129分)


原題:Extremely Loud and Incredibly Close
監督:スティーブン・ダルドリー

お友達から試写状をいただいて、公開前に見てまいりました。小説未読の状態で鑑賞。

鑑賞後に思ったのは、「「その街のこども」って、すごかったんだな」ということ。
若干強引ですが、この2作「理不尽な出来事で近親者をうばわれた者が、その街を歩くことを通じて心の交流と回復を得る」と共通点をまとめることが出来ると思うのです。
より短く小さいモチーフでありながら、より強く「その街のこども」に心に訴えかけられました。それは、まぁ私が日本人だからっていうのもあるかもしれないのですが…類似のテーマのものを見、「その街のこども」は思っていた以上にスゴイ作品だったんだなと再確認させられました。

「ものすごくうるさくて ありえないほど近い」は、原作で大きく広げられている風呂敷が映画でうまくたたみこむことが出来ていないのではないかという印象を受けました。いや、逆に原作への興味はそそられ、とても読みたくなりましたが。原作は、本ならではの仕掛けがあるともきくので、とても気になります。


しかし、試写会に行くのひさびさだったんですが、試写会の客ってものすごいマナーが悪いのね。
エンドロールのとたん、いっせいにたちあがり、大声で感想をしゃべるのにびびったよ。
せっかく、公開前に見る特権を得ているんだから、映画をもっと大切に見てあげてほしいなぁ。

2012年2月10日金曜日

劇場版「テンペスト3D」(149分)

監督:吉村芳之
原作未読、ドラマ未見、もちろん舞台も未見という、テンペスト処女状態で見てきました。
「これだけ各メディアで作品化されているのだから、もしかしたら面白いのかな…」とちょっと期待したのですが、残念ながら去年の「セカンドバージン」と同じく「NHK・税金でなにやっとんじゃい!」映画でした。
まぁ、鑑賞後にNHKドラマの公式サイトを見直したら、セカンドバージンと違って、完全にドラマの再編集版っぽいからお金はあんまり使ってないのかもしれないですが、それはそれで「映画にすんなよ!」って感じで腹立たしかったです。(「その街のこども」は素晴らしかったのになぁ)


乗れないところは色々ありますが、まずどうして3Dにしたのかが謎。
3D化ときて、冒頭が出産シーンだったので、「コレは、ものすごいものが3Dで見れるかも!奥行き系?飛び出す系?」とちょっと期待したのですが、外でへんな龍がうごめいているうちにもう赤ん坊産まれてた。。。つか、3Dにしたのって、龍を飛ばしたかったからだけなの???リアリティ寄りの歴史劇に龍とか別にいらないし。こんなんだと、鑑賞料金UPのための3D化と言わざるえないよ。。。
次に、上映時間が149分と超長いくせに、結局終盤テロップで話をまとめるという手癖の悪さも嫌い。「こうして、琉球は沖縄になった」って文字で説明すんなよ。映画見る人を舐め切ってる。片手間に楽しむTVだったら許せる演出も、映画だとしらけるものなんですよ。
あと、見せてほしいところを見せてくれないのも嫌。
謀反の罪で捕まる父親の断首シーン全カット、仲間由紀恵のおっぱいも謎の龍で見切れ、GACKTの強姦シーンの豪快なはしょり、高岡早紀の遊女シーンもカット。
もう、これ全部見せてくれたら、文句言わないに!


でも、撮り方次第ではこの作品、映画としておもしろくなりそうな気もします。
女なのに宦官と偽って宮入りし、周りの男がどんどん虜になっていく真鶴&孫寧温(仲間由紀恵)をもっとエロい感じでやるとか。仲間由紀恵では爽やか過ぎる。沖縄出身の女優で、、、っていったら、満島ひかりちゃんでやるとか。ひかり力で、全然違うテイストの作品になりそう。一気に見たくなってきました。
で、刃がしかけられた扇で人を殺しまくる神女:聞得大君(高岡早紀)と女を抱くために宦官になった清の役人:徐丁垓(GACKT)のエピソードをもっと毒毒しくやってほしかった。このキャスト、意外性があり、かつ、はまってるだけに、あれだけではもったいなかったです。血みどろになる高岡早紀と女を犯しまくるGACKTが見たかったです。
このテンペストだったら、愛せそう。でも、NHKでは流せなさそう…

2012年2月3日金曜日

J・エドガー(137分)

原題:J. Edgar 監督:クリント・イーストウッド


「ヒア アフター」に続き、またクリント・イーストウッドにしてやられた!
予告編から連想するイメージと全然違う映画じゃないか!? 
予告編だと「FBIを創始した実在の人物:ジョン・エドガーの社会派サスペンス」を想像していましたが…
配給会社の「こ・これ、どう売ったらいいのかしら・・・」という苦悩が透けてみえた気分に。といっても、コレはコレでおもしろい。ミスリード宣伝は案外笑えて好きです。
いや、正直想定外の展開にビックリしましたが、不思議と主要メンバー全員が幸せになってほしいなと思える映画でした。

「強い母親と無理やり矯正を受けた子供」、そして、「あるべき自分と本来の自分」、物語全体から「英国王のスピーチ」と「ブラック・スワン」をかけあわせたような印象を受けました。特に「女とダンスを踊りたくない」くだりから「女装した少年のエピソード」で、その2作品を強く想起しました。

この他にも「リンドバーグ愛児誘拐事件」があったり、青年期のエピソードは盛りだくさんなのですが、自分的にはこの映画の要は、老人期のトルソンくんにありました!
青年期のトルソンくんは常時憂いを込めたつぶらな瞳をしていて、「ソーシャルネットワーク」双子兄弟役と同じ人とは認めたくないほど。
が、そんな美青年が、立派によぼよぼで頼りない老人に!あんまり変貌のないJ・エドガーに対して、見事な変貌振っぷり!

老いた2人が在りし日のように競馬観戦をする姿をみて、「大切な人と一緒に齢を重ねること」にとても憧れました。
脳卒中でトルソンくんが障害をかかえてからも、「ちゃんとしゃべれ!」「威厳を持て!」といつまでもツンツンで素直になれないJ・エドガーに「誰の前で嘘をついてもいいんだ。ただ、僕の前では嘘をつかないでくれ」と心を叩き続け・支え続ける、けなげなトルソンくん。
ちょっと綺麗過ぎる展開かとも思いましたが、劇中のトルソンくんが「愛している」という言葉を最後に受け取れてよかったなぁと安心しましたよ。