2011年11月29日火曜日

その街のこども 劇場版(83分)

自らのものとして地震を体験した人々の姿をおしつけがましくなくつたえてくるこの映画には本当に驚きました。

偶然会った2人が一緒に一晩歩く。ただそれだけのことで、2人が分かり合って成長していくのがわかる。
映画化してはじめてこの作品を見ましたが、テレビでもこんな真摯な作品が作れるのか。テレビをなめてましたよ、私。

びっくりしたのは、終盤に御影山手の祖母宅に荷物を置き、東遊園地をめざし歩きはじめた道中の長い台詞劇。
「ルールのない不幸」や「それに対応するためのKUFU」について、語る佐藤江梨子。

通常だったら、長台詞にうんざりしてしまうところですが、
たくさん歩いては、少し語る・たくさん歩いては、少し語る、、、そうしていくうちに、こちらにまでかよいはじめるものがあり、長い台詞劇がすーっとはいってきました。


超いけすかない女だった佐藤江梨子が、別れ際最高にかわいくみえるのもスゴイよかったです。最後の佐藤江梨子に、みんな恋してしまったハズ!

2011年11月23日水曜日

マネーボール(133分)

予告編を見て「野球門外漢の男」が主人公の物語かと思っていましたが、
「野球に人生をとらえられた男」の話だったことにまずビックリ。
「試合はみない主義だ!」っていう予告の台詞に完全に騙されてました。

映画本編は人物群像劇としてはおもしろかったんですけど、肝心なところがちょっと物足りなかった。
マネーボール理論「評価は低いが出塁率が高い選手を起用することで勝利する画期的な野球戦略」は理解できるし、イェール大学出身のぽっちゃりとの出会いでそれに説得し行動を変えていくブラット・ピットにもうなずけるのですが、マネーボール理論がうまくまわりはじめるところが物足りない。
選手をトレードすることで、監督を無理やりマネーボール理論にそわせたところまではいいのですが、そこから理論がうまくからんで連勝しはじめるエピソードが足りなくてせっかくの逆転成功劇にもカタルシスがあんまり得られない。理論が既成概念を凌駕していく、パズルが解けるような快感もありませんでした。
ロッカールームやオフィスのシーンだけじゃなく、試合そのものももう少し描いてほしかったなぁ。
「オレのやっていることはあっているのか!」っていう葛藤がうまく描けていただけにもったいなかったです。
「まわれ、まわれ、オレのマネーボール!」 (ミライボールの替え歌で)の気持ちがいい絵がもう少し欲しかった!

あ、楽器屋で照れながらパパのために歌う娘のシーンがめっちゃよかったです。
自分のためだけに照れながら歌う異性ってこんなにイイモノなのか!
あんなコンサートに私も招待されたいナ!(真顔で)

2011年11月16日水曜日

スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪(70分)

「プリキュア」は小2の姪っ子が泊まりにきた時に数回みたことありますが、
「スイートプリキュア」シリーズは一度もみたことなくほぼ知識ゼロ状態で映画館へ。

ストーリーうんぬんよりも、仕掛けが超せめててビックリ!
これは、和製「ロッキーホラーショー」と言っていいのではないでしょうか!
なんたって、ピンチに陥ったプリキュアを、音符型の公式ペンライトで応援出来るのです!
その応援を受けて、スクリーンの中で力を取り戻すプリキュア!
「プリキュア、がんばれ!」と叫びだす子供もいて、超たのしい。
エンドロールにはプリキュアの呼びかけで、席を立ち上がってのダンスも出来る!
ただし、これらが許されているのは残念ながら子供のみ。
大人には公式ペンライトは渡されないし、「大人が立つとみえなくなるから」という理由でダンスも許されていない。
コレ、大人限定のナイター上映やってくれないかなーーー。
それで、ペンライトもダンスもやりまくりたい!
そしたら、この祭りに備えて毎週プリキュア見るのにナ。コスプレして映画館行くのにナ。
まぁ、それが許されないのなら、私はいつものようにアイドルのコンサートでペンライトを振ろう!
劇場版プリキュアは、ステージと観客の関係がアイドルのライブともよく似ていました。(ペンライト&フリコピによる応援と自己同一化)


ストーリーは、しつこいくらいに父&娘の愛情を描いたモノでビックリしました。
「親の愛、なめんじゃねーぞ!」と娘を助ける父、「どんなパパでも好きだから!」と父を守る娘。父娘のデートムービーにピッタリです。
ラスト、王(パパ)のもとを離れ地球に戻るプリンセス(娘)を「お前ならそうすると思った」とこころよく送り、娘がいなくなった後号泣する父親の姿もすがすがしい。
プリキュア見て浮かれる娘に、かたわらにいる父親の愛に気付かせる。
「また、娘とプリキュア見に行こう!」と劇場のお父さんは心を決めたはず。
ちゃんとお財布を握っている人間の心を掴んでくるあたり、戦略がうまいなぁと感心しました。

2011年11月12日土曜日

BECK(144分)

いやー、さすが堤監督、期待を裏切らない!!!今回もベックらこきました!

テレビで放映された「20世紀少年」を見ていた母が、
「唐沢寿明の歌で、なんでみんなこんな感動するの?全然よくないよね。」
と言ったのを思い出しました。
堤監督はきっとそんな観客の不満を汲んで、今回このBECKを撮ったんですね。
「役者に歌わせても、観客はしらけるだけ。ならばいっそ、、、」
と物語の中心的になる奇跡の美声が全く聞こえてこないという演出!
きこえなければ、観客がしらける心配はありません!なんという逆転のアイデア!

最終的には、TBSラジオのキャッチフレーズ「聞けば、見えてくる」の上をいく
「聴こえなくても、見えてくる(字幕が)」の展開!これには、ベックらこきました!

あと、笑ったのは、BECKメンバーが一緒に見た白昼夢を唯一見れていなかった桐谷くんに対して、
佐藤健が「夢の話なんだから気にしなくていいよ」となぐさめたこと。
インセプションの夢泥棒野郎Bチームに聞かせてやりたい!
(まぁ、「夢の話なんだから気にしなくていいよ」といいつつ、BECKも夢の話こそ重要という展開でしたが・・・)

2011年11月10日木曜日

ステキな金縛り(142分)

いままで見たことのある、三谷幸喜作品(「王様のレストラン」「任三郎」「ラジオの時間」「THE 有頂天ホテル」「マジックアワー」)はわりと楽しく見た記憶があるのですが、、、「ステキな金縛り」は何がやりたいのかわけわからなくてつらかったです。はっきりいって、苦手!今まで平気だったのは、TVでしかみてなかったからかな...

落ち武者の幽霊が出るということにはじまり、フィクションラインがかなり高い話なので、「そんなのありかっ!」っていうツッコミはグッとこらえたいところなんですが、、、
リアリティラインを飛び越してくるナンセンスが、特になんの伏線にもなっておらず、その場面でのくすぐりにしかなっていないことが多くて、映画としてツライです。
特に、それを強く感じたのが、中井喜一演じる判事のマジックシーン。あれだけマジックをやって、その後に何も活かしてないのってどうなんでしょう???
THE END」からエンドロールの流れもひどかった。「THE END」で「オープニングでちょっと期待してしまった、遠い記憶」を思い出してしまっただけに、急にこっちに話かけてきての「完」にゾクっと寒気がしてしまいました。
それに、やたらモノワカリのイイ人しか出てこないので、事件を解決しても何のカタルシスも感じません。だって、みんな深津絵里に歩み寄る気まんまんなんだもん。
つーか、深津絵里が超キュートだから許せちゃってるけど、この女すげーいやなヤツじゃないですか!?飼い犬の死につけこんで人に認めたくないこと認めさせるし、同棲相手が傷つくことをわざと言うし、上司の死まで自分のやりたいことに使うし。みんな、カワイイコにはやさしいんだなぁ。
せめて、終盤、判事・中井喜一が犯人を指すところで、裏切ってKANを指して欲しかった。そしたら「それでもボクはやってない」的現実の厳しさを感じて、個人的には熱くなれた気がします。

2011年11月6日日曜日

悪人(139分)

「本気で誰かに出会いたくて!」
本気で出会い系にメールを送ったら妻夫木聡や深津 絵里レベルのシャンがくるらしいぜ!というミスリードでファンタジーを楽しみました。

深津絵里演じる光代にもうちょっと感情移入できたら、物語全体をもっと自分に引き寄せて面白くみれた気がします。
私なら出会い系きっかけで知り合い、会ってすぐホテルにいって、初SEXがバックで、
終わった後お金渡すような男に、その後どう転んでも本気になれない。自分の底値まで安くみられた気がして、2度と会いたくありません。
だから、その後の純愛展開もしっくりこず…。
いや、もしかすると満島ひかりちゃんが言ってたように、妻夫木くんは「SEXが上手い」
ということで、そこらへんチャラに出来るスキルがあったのか?
劇中かいまみえるシーンでは、SEX上手そうにみえなかったけど。

個人的には、樹木希林がインチキ商法に騙されるシーンが「ぐっ」ときました。
というのも、私のおばあちゃんもちょっと前に、類似の催眠商法に騙されて
樹木希林以上にお金使ってしまったんですよね、、、
映画的には、「このエピソードいるか?」って感じでしたが、おめかして出かける樹木希林に、うちのおばあちゃんの「その時」を見た気がして…
真面目に生きてきた老人のお金をまきあげる詐欺師は、最悪の「悪人」!ゆるせん!

あっ、「悪人」と「アウトレイジ」のトレイラーを続けてみるのがオススメです!
「誰が本当の悪人なのか」→「全員、悪人」
あと、「悪人」続編として「冷たい熱帯魚」を見るのもオススメです!!!
でんでん「人間にできることじゃないですよねー」→オマエモナーーー!

2011年11月2日水曜日

ワラライフ!!(94分)

名古屋では、シネマハスラー当日の2月12日(土)が公開初日。

せっかくなので、舞台挨拶の回に行きましたが、まず観客席の客層にびっくり!

女子&中高生ばかり、、、中には、うちわをもって、しずる村上純さんを応援する女子も。

その女子に対して、「うちわをもってきた方までいらしゃって、ありがとうございます。

でも、映画中のぼくには、うちわふらないでくださいね。後ろの人がみえなくなりますし、、、」

と優しく諭す村上さんには好感がわきました。



で、映画本編ですが、、、あまりに退屈な映画でびっくり。

といっても、怒りがわくとかそういう感じではなく、積み重ねられるエピソードに

「え、何・何?何がしたい?んんん?」という感じ。

犬がいなくなってどうなったの?3桁錠があいてどうなったの?投稿はがきはどうしたの?、、、ぶつ切りのエピソードがただただ通り過ぎていく。

高校生時代と現在の村上純さんの見た目の差が少ないため、どっちのエピソードが展開しているのか判別しにくくて、見づらかった。

あと、地味なお母さんという設定のYOUのミスキャストもツライ。息子の学校帰りを待ちうけて、ねずみを殺すYOUが地味なわけないっすよね、、、



ラストの無理やりな写真劇も、何がやりたいか理解に苦しみます。

そして、そのラストの写真劇で笑いをこぼす周りの客にも、びっくり。

何かのファンになるっていうのは、何かを得ると同時に何かを失うということなのかもしれないと、ちょっとこわくなりました。

あ、村上純さんと香椎由宇イチャイチャっぷりは、結構よかったです。ふつうにうらやましい絵!

あと、散歩を嫌がる犬の演技がナチュラルで素晴らしかったっす。