2013年4月27日土曜日

HK 変態仮面(105分)

監督:福田雄一

変態キターーーーッッ!!!

いまさらの映画化って「安い笑い狙いの色物映画かな」とかうがってたんですが、陰と陽どちらも描く素晴らしいヒーロー映画でした。
まず、何がすごいって主役の変態仮面を演じた鈴木亮平さんの身体説得力。
この役のために1年以上かけて15キロ増量し身体を鍛えなおしたっていうだけあって、パンツを肩にかけて食い込ませたスタイルがめちゃくちゃかっこよくキマっていた!あの身体説得力があってこそ、変態仮面の「それは私のおいなりさんだ!」「キミのパンティをくれないか!」という台詞が彼自身としては大真面目に言っていることだと感じ取れ、その哀しいおかしみ出ててよかったです。
そして、ヒロインの愛子を仮面ライダーフォーゼで城島ユウヒを演じた清水富美加さんが演じていたのに、めっちゃテンションあがりました。
宇宙を好きで好きでたまらなかった仮面ライダーフォーゼのユウヒよろしく愛子も変態仮面を好きで好きでしょうがなくなるという明るくかわいい女の子の異常な執着心に、「宇宙キターーーーッ!!!」よろしく「変態キターーーーッ!!!」と興奮しました。
ストーリー的には、偽変態仮面と変態仮面の「どっちが本当の変態対決」が個人的なハイライトでした。
偽変態仮面が、パンツの接触面をわざと外側にかぶり「女体の匂いをかぎたくてもかげない」という凌辱を味わうことや、股間をわざとよわよわしくみせて「あの人あんな格好しているけど、おちんちんちっちゃい」と思われているのではないかと辱めを感じることで、より興奮するという驚きのロジック。いや、あんた戦いには負けたけど、変態と変態の勝負の上では確実に勝ってるわ!「より変態のほうが強い」というわけではないけど、何か狭き道の求道にはこういう気概があってほしいものですね。

2013年4月20日土曜日

ヒッチコック(99分)

監督:サーシャ・ガバシ
原題:Hitchcock
「私を誰の妻だと思ってるの!」自分の夫にキレれる幸せ

ヒッチコックの映画は、「鳥」しか見ておらず、知識不足で彼自身を描いた伝記映画は楽しめないかもと不安に思っていましたが、案外普通に楽しめました。
ただ「映画界最重要人物の1人ヒッチコックを扱った映画が、こんな普通の人間ドラマじゃもったいなくないかな・・・」という宝の持ち腐れ的な印象は受けましたが。
ヒッチコックの作品や彼の生涯に明るくない私としては、「愛・アムール」や「ハーブ&ドロシー」等のような老夫婦モノとして楽しみました。
お互いインテリジェンスに富み、それぞれの立場を尊重し合ってきた夫婦が、いまだにヤキモチをやきあっているのがなんとも微笑ましいかったです。
“仕事のため”という大義名分があるとはいえ、ブロンド美女に目を奪われるヒッチコックに、二枚目脚本家と週末海辺の別荘で執筆活動にいそしむ妻アルマ。特に、執筆が海辺の別荘で行われていると知ったヒッチコックが妻アルマをなじった時の、アルマのキレっぷりがよかった。「口出ししないでちょうだい!」「私は偉大なる監督ヒッチコックの妻なのよ!」とキレながらも、相手を持ち上げる技。
最近見た映画「ザ・マスター」牢獄シーンでの、「キミは誰に好かれている?私以外に。」「キミのことを好きなのはボクだけだ!」というなじりに見せかけた愛の告白も素晴らしかったですが、身内間の喧嘩はこういう殺し文句をもって行いたいものですね。

2013年4月17日水曜日

ザ・マスター(138分)

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
原題:The Master
ぼくのマスターは、かわいいくまちゃん

登場人物の心情が理解がしづらく「誰か、補助線引いてくれないかなー」って思っている間に、鑑賞後2週間もたってました。 
なんでこんなに難しく感じてしまうか、、、ホワキン・フェニックス演じるフレディ・クエルとフィリップ・シーモア・ホフマン演じるランカスター・ドッドがどうしてあそこまで惹かれあったのかがよく分からないことが原因のひとつな気がします。
船内のカウンセリングでフレディが自分の過去を生々しく思い出し、それに救われる思いがしそこからランカスターに惹かれたというのは分かるんですが、なんでランカスターもあんなにフレディを手元に置きたがったんだろう。正直それがよく分からないです。
あと、フレディのかかえている問題が幅広くくっきりとはみえないことも物事の単純化を阻んでいる気がしました。第二次世界大戦の退役軍人、自らいかがわしいオリジナルカクテルを作るほどのアル中、頭の中はSEXのことだらけ、近親相姦の去有、母親は精神病患者、かつて両思いだった少女を思い続ける、、、とフレディには悩みの要素がありすぎ、そしてホワキンの演技もうますぎて、惜しみなくその複雑性が表現されています。こういう鑑賞後もずっしり残り、ずっと考え続けてしまうのがこの映画の魅力なんだと思いますが、誰かに「こう見たらいいよ!」っていうのを教えてもらって、すっきりしたかったりもします。ギブミー補助線!
フレディとランカスターの関係をブロマンスととると、今年公開された「テッド」とすごい似てる気がしてきました。イリーガルなモノに興じ、なじりあいなぐりあいをし、オンナをちょっと邪魔っけにし、心の奥底では男同士2人で一生イチャイチャしたいと思っている。。。そして、フィリップ・シーモア・ホフマンがテディベア級に超もふもふでかわいい!しかも、役名がドッド!
あと老若さまざまなおっぱいが一同に介して見れるのも、よかった。年を取ると手拍子した時おっぱいって、あんな風に揺れるんだなぁ。

2013年4月15日月曜日

So long !(64分)



監督:大林宣彦
アイドルはボクだ

2012年ベスト映画が大林宣彦監督「この空の花」で、かつ女子アイドル好きな私にとって、まさかの俺得PVSo long !」。
今年のAKBの卒業ソング大林宣彦監督が撮るとはきいていたけど、AKBがキャストで「この空の花」の続編をやるとは、、、こんなのまったく予想してなかった!好きなものがふえるのって、それだけ驚きもたくさんあって楽しいですね。 
AKBのメンバーたちが地元の学生として映画「この空の花」にエキストラとして出演したという設定なのですが、福島県南相馬から被災してきた転校生 未来演じる松井珠理菜がひときわ輝いてて、ファンとしてほこらしかったです。
エンディングでひとりひとり自己紹介するシーンで「南相馬にも来てくれました!嬉しかったよ、松井珠理奈です!」と現実と虚構のはざまの存在のまま、教室に飛び込んでくる珠理奈ちゃんが個人的なクライマックスでした。
大林宣彦監督といえば「時をかける少女」で、尾道の街のさまざまなシーンで原田知世に主題歌を歌わせ、映画の物語を越えて少女の魅力をいっぱいに伝えたエンドロールが有名ですが、このPVもエンドロールにてあるアイドルの魅力が爆裂します。そう、それは大林宣彦監督自身!
エンドロールでのほんわかナレーションやちらっと映るメイキングで水着の渡辺麻友・松井珠理奈にハグするとことか、見習うべき老人力と監督のアイドル性が炸裂しています。なんたる、かわゆす!これは、まさしく正しいアイドル映画といえるでしょう。

2013年4月9日火曜日

シュガー・ラッシュ(101分)

監督:リッチ・ムーア
原題:Wreck-It Ralph
ゴールドメダルとは、立ち位置ゼロのことである

「完璧なピクサーが戻ってきた!」と思ったら、ピクサー看板ではなくディズニー看板のみの映画でした。“ピクサー”“ディズニー”2枚看板でなくても、これほどまでに隙がなく面白い映画を作ってしまうとはすごいなぁ、こわいなぁ。 

この映画で一番感心したのは、映画の舞台となるゲームセンターのゲーム内世界のルールが説明的ではなく物語がすすむことによって徐々に紐解かれるところ。
唯一、「自分の所属するゲーム以外で死ぬと蘇れない」というルールはソニックザヘッドによって公共広告的に説明されるのですが、それ以外のことは物語で楽しく語られていく。ターボやサイ・バグ、ゲームキャラの死とゲーム機の撤去の関係性、オープン時間までにゲームのキャラクターが戻らなかった時の表現、ゲームの中から外の人間世界がどう見えるかなど、複雑な設定をここまで楽しく物語らせるのはすごいと思いました。 
「ヒーローになれるのは各ゲーム1人だけ…だけど残りの人が自分の立ち位置で精一杯役割を果たすことでそのチームが輝く」ともとれるストーリーラインに、今年のAKBドキュメンタリー「DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」のセンター論を思い出しました。
みんながセンターを目指すが、センターに立てるのはたった1人だけ。ゲームの世界ではプログラムに逆らえないけど、現実世界ではあらかじめ決められたプログラムなどない。だから、センターと自分の差を埋めるために、ラルフのように大勢が必死にもがく。だけど、センターにならずとも高橋みなみや篠田麻里子のようにチームの中で重要な役割を果たし続けることでセンター以上にかけがえのない存在になることもある。自分の役割を見つけ、それを全力で果たし続けることとは、とても尊い行為だなと両作品で感じました。
と思ってたら、エンディングテーマをAKB担当しててちょっとビックリ。
あ、短編「紙ひこうき」は、「お前、ちゃんと働け!」と思っちゃって、私にはダメなヤツでした。つーか、書類を紙ひこうきで使い切っても、次のをまた詰めばOKなあの仕事なんだろ。

2013年4月6日土曜日

NO シネマハスラー、NO ライフ。


先週の土曜2013330日、シネマハスラーが終了しました。
5年間続いてきたこのコーナー、私は33ヶ月放送にあわせて映画を見、投稿をしてきました。

投稿をはじめる前は、年34回しか映画館に行ってませんでしたし、DVD等いれても年間20本も映画を見ていませんでした。
そんな映画好きでもなかった私が、なぜシネマハスラーをはじめようと思ったかというと、年間ランキング発表でわちゃわちゃ盛り上がるタマフルクルーが楽しそうでうらやましくて。「私もコレやりたい!来年やろう!」と思ったのが2009年の年の暮れのこと。
シネマハスラーのために見たはじめての映画は「カールじいさんの空飛ぶ家」。お正月ひとりで映画を見に行くというシチュエーションに、ちょっと背徳感を感じてドキドキしたのが今でも思い出されます。
1年目のシネマハスラーを思い返すと、「食堂かたつむり」「矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ」「さらば愛しの大統領」と途中本当につらくなりました。クラブイベントでお会いした古川さんにシネマハスラーのしんどさを愚痴ったり、映画館のロビーで溜息ついたりと、ちょっとノイローゼっぽくもなってました。
でも、ランキングまで行きついたら自分のいろんなことが見えてきて新たな面白さがあり、ものすごい達成感があって、結局現在まで2年、3年と続けてしまいました。

毎週毎週、映画を見・感想を書き・宇多丸さんの評を聴くというサイクルを繰り返すうちに、映画全般のことがだんだん分かってくる感じも楽しかったです。映画がどんどん好きになりました。
あと、自分は「ちゃんと続けられる人間なんだ」とちょっと自信も付きました。 

シネマハスラーがなければ、このブログも開設してませんでしたし、出会えてなかった友人もたくさんいます。
いや、シネマハスラーで人生が変わったといっても過言ではないでしょう。いまの私がいるのは、シネマハスラーのおかげ。

5年間おつかれさま、シネマハスラー!ありがとう、シネマハスラー!さようなら、シネマハスラー!

2013年4月3日水曜日

キャビン(96分)

監督:ドリュー・ゴダード
原題:The Cabin in the Woods
半漁人に3000点!

シネマテーブルで薦められて、見に行ってきました。めっちゃ面白かった!オススメありがとう!
いやー、こういうホラー映画を映画館で見られるなんて・・・とても幸せを感じました。イーライロス監督「キャビン・フィーバー」も好きでして、タイトルに“キャビン”とついたらハズレなしな予感がしています。 
オクテちゃん、ヤリマンちゃん、筋肉くん、ガリ勉くん、ヤクチュウくんの大学生5人がいとこの別荘に行き、ヤリマンちゃんから順にモンスターの手により殺されていくというよくあるアメリカンホラームービー。
そのおなじみのプロットをうまく使った裏設定“世界を守る生贄提供会社”が可笑しい。モンスターにおびえる別荘地とお役所仕事的うんざり感あふれるオフィス。殺されていく大学生に、ひと仕事終えたとテキーラで盛り上がるオフィスワーカー。この対比をずっとみているせいで、エレベータからモンスター襲来してくるクライマックス、大殺戮が行われているにもかかわらず、大笑いしてしまう。なんとうまい脚本!見終わってから、脚本にアベンジャーズの監督・脚本に抜擢されたジョス・ウェドンとの監督との共同脚本だと気が付き、「さすがやで!」とうなりました。 
B級感ある題材だけど、賭けたモンスターを書き出したホワイトボード・次々にエレベーターから出てくるモンスター・惨殺されていくオフィスワーカーをうつす監視カメラの映像など、細かい美術も手抜きがないところも素晴らしかった。スロー再生で色々チェックしながら、DVDでまた見たい。最後、ニューヨークエンディングなところも最高!大・大・大好きな映画です。