2015年6月26日金曜日

マッドマックス 怒りのデス・ロード

脳髄が溶けるほどヒャッハーしたい

監督:ジョージ・ミラー
原題:Mad Max: Fury Road
上映時間:120分
パンフレット:900円★★★★★(映画では語られない設定がたくさん載ってる上に、旧作の解説や当時の貴重なイラストやマックスのファッションチェックまでたっぷりあってまじで充実)

マッドマックス公開前夜、109シネマズでパート1と2の連続上映(2本で1200円)、そして日が変わって午前0時から最速上映するという情報を見つけ、「この祭、乗っからなきゃ!」と思いサンダーストーム以外の3作を連続鑑賞しました。梅雨でムシムシする時期というのに、映画館には革ジャンを着たマッド・マックスコスプレの熱狂的ファンが数名いらっしゃって、とてもよい雰囲気で映画を鑑賞することが出来ました。正直パート2を見終わった後にはげしい眠気におそわれ、最新作の最速上映で居眠りしないか心配だったんですが、はじまってみたら全然心配なかった!眠気や思考や雑念いろんなものが吹っ飛とび、最終的にはギンギンになって自転車を飛ばして家に帰りました。丑三つ時に、このまま160日くらいは自転車漕ぎ続けられるんじゃないかというテンションになりました。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見て強く思ったことは、「私ももっと格好に気を使おう」ということ。この映画は細かい説明的描写はほとんどないのに、登場人物のコスチュームや乗り物や住処のデザインが過剰なまでに完璧なので語られない設定までもがどんどん毛穴からはいってくるんです!人は見た目じゃないとかいいますけど、完全に人も映画も見た目が肝心だと思い知らされた。見た目を完全に備えれば、なにも語らなくても伝わるし面白いんだって。砂漠、輸血袋、槍隊、ドラムワゴン、銀スプレー、母乳、、、ディストピアを彩るさまざまな文化が、説明じゃなくて素晴らしい描写でこちらを引き込んでくるのが本当素晴らしかった。パンフレットを読むと、「フィリサはかつて子産み女だったが、イモータンの逆鱗に触れ左腕を失う」等、映画では説明されてない設定がいくつか出てくるんだけど映画のことを思い出すと納得の設定の数々で、その設定を知ると再び映画を見たくなりました。同じ映画をなるべく2回見ないようにこころがけている私ですが、公開されている間にもう1回は見に行きたいなぁ。
ところで、マックスってなんなんでしょうね。その世界の弱者に対して若干敵対するトーンで巻き込まれつつ、そして終盤「なぜか」救いの手をのばし、そして最後はいなくなる男。私は、メル・ギブソン版の時からマックス自体はわりとどうでもよかったりするんですが、人によってはああゆう厭世的ハードボイルドな男に憧れたりするのかな。まあそれはともかく、マッドマックスの疾走感とキメキメのディストピアは全人類共通の憧れだと思う!このままずっと走り続けていってほしい。

2015年6月18日木曜日

トゥモローランド

明日は、年の差を気にしない

監督:ブラッド・バード
原題:Tomorrowland
上映時間:130分
パンフレット:720円★★☆☆☆(1964年のニューヨーク万博に出展されたアトラクションがイッツ・ア・スモールワールドだったりとディズニーの歴史豆知識的なことが書いてある)

物語の概要がなかなか掴みづらくて「どういう話なんだろ?」と謎を追うような気持ちで鑑賞していたのですが、見進めるにつれてだんだんと明らかになってくるストーリーの本筋部分はわりとどうでもよくなってきて、ジョージクルーニーが少女に対して熱視線を送っていることが気になってくる映画でした。序盤に主人公演じるブリット・ロバートソンが、偶然手に入れたバッチを触ると異世界:トゥモローランドに行ってしまうというくだりは急に別の世界に行ってしまう少女が主人公の「ラブリーボーン」を思い出して「もしかして、この人死んでるのかな?」と思ったりしました。実際は、主人公は最後まで元気に満ち溢れてて、ちょっとがさつさが気になる感じでした。
この映画「ファンタジーよりのSFかな?」と思って鑑賞していたのですが、トゥモローランドのリクルーター役を務めるアテナ演じるラフィー・キャシディが骨董品店で店員に扮していた敵をアクロバテックなアクションで倒すシーンを見て、「あ、これ実はキックアスだったのか!」と大人を打ちのめす強い少女に興奮しました。その後、車の運転をするアテナ、車にひかれるアテナ、質疑応答がめんどくさくなってシャットダウンするアテナと、彼女の魅力をみせつけられました。
そして、少年時代にアテナにリクルーティングされてたのちトゥモローランドを追放されたジョージ・クルーニーとアテナの再会。ジョージ・クルーニーが愛情と憎悪が入り混じる目線で、11歳の少女を見つめるシーンのなぞのキュンキュン感がたまらなかったです。子供相手でも、ちゃんと恋する視線をおくるところ、さすがクルーニー。車の中で、お互いに目線をあわせないまま交互に目配せしあうとことか、お互い気になっちゃってるのに素直になれない感じがの甘酸っぱかった。しかし、少年時代に恋した相手が50年後とかにも同じ姿であらわれたら、相手がロボットだと分かっていてもおかしな気持ちになるんだろうなぁ。絶対きつい体験だろうと思いながらも、ちょっと味わってみたい。

2015年6月12日金曜日

予告犯


監督:中村義洋
上映時間:119分
パンフレット:620円★★★★☆(映画のあらすじが新聞記事風にまとめてあったりしてて凝っている)

未来の戸田恵梨香は、今

「なんかこういうネットを使った匿名複数犯の犯罪モノって、昔「踊る大捜査線」でみたことあるよな~」と予告編を見た時にちらっと思ったんですが、映画見たら、力なき庶民の正義感の暴走vs権力のもとの正義による取締りっていう構図がやっぱりちょっと既視感ありました。この「予告犯」では正義感の暴走にみせかけて本当は他に別に目的があるっていうオチだったのですが、回想で登場するキャラクターが現在のシーンではまったく出てきていないため、最後のオチがなんとなく読める部分もあり、個人的には興味の持続があまり続かずあまり楽しめませんでした。

「もっと面白くなりそうなんだけどなぁ」と感じさせてくれるシーンはけっこうあったのですが、いまいち毒っけがなくってあっさりとしていて残念でした。戸田恵梨香が生田斗真を追いかけるシーンとか派遣労働される産業廃棄物処理場で雇い主を全員で殺すシーンとか、もっとダークなトーンで撮られていたら、けっこう好きな映画になっていたように感じます。戸田恵梨香が生田斗真を追いかけるシーンは、2人とも実際すごい走って撮影しているのにいまいちその息切れ感が伝わってこなくてもったいなかったです。また、雇い主を殺すシーンは、バックで感動的な音楽が流れていて、観客の感情の誘導があざとくてけっこう興ざめしました。この題材で韓国で取ってたら、けっこうグロくて面白い映画になっていた気がするんだよなぁ。

「エイプリルフールズ」「駆込み女と駆出し男」「予告犯」と続けて戸田恵梨香主演作品がムービーウォッチメンの課題作品になったこともあり、ここ3ヶ月の間に戸田恵梨香をスクリーンでと続けてみるのですが、作品自体にクオリティの差があるもののその映画に求められる役を担いきる戸田恵梨香の演技力と仕事への真摯な姿勢に頭がさがる思いがしました。あまり出来がよくない映画であってもひとつひとつの役柄を大事にすることで、いい作品の役も手に入れている戸田恵梨香を見て、AKB48総監督 高橋みなみが選挙の演説で言っていた「未来は今なんです!」って言葉を思い出しました。どんな場面でもがんばる人でないと、なかなかチャンスはつかめない。


2015年6月6日土曜日

駆込み女と駆出し男

監督:原田眞人
上映時間:143分
パンフレット:820円★★★★☆(はじめじょごでオファーがきたのに、お吟をやりたいと言った満島ひかりのエピソードに、彼女の強さを感じる)

男以上に人生をかえるもの

大泉洋と戸田恵梨香という主演の組み合わせからなんとなく「コメディ色が強いドタバタものかな?」と思い、そんなに期待してなかったんですが、描かれる時代をきちんと感じさせてくれる作品ですごい面白かったです。離縁のための女性駆け込み寺の存在自体知らなかったのですが、庶民の女性目線で描かれた色々な事情から離縁を望む女たちが強く生きる様子を見てたら元気が出てきました。
主演の戸田恵梨香演じるじょごの成長っぷりに、数年前に見た映画「プレシャス」の黒人少女を思い出しました。「プレシャス」の中でも読み書きもできなかった少女が、勉強することで自らが持つ事情はかわらないけど、言葉を持つことで自分自身がかわることが出来たというのが印象深かかったのですが、「駆け込み女と駆け出し男」のじょごも初めの内はどもり気味にしかしゃべれなかったのに、寺で勉学に励む中で、自分の考えを相手に伝えれる女性にかわっていきます。勉学というか教養によって人が救われることがあるんだなと感じさせてくれました。ただ、このじょごははじめから製鉄の技術に長けていたり、偶然出会った満島ひかり演じるお吟を必死に救ったりと、弱い立場でありながらもけっして弱き者ではありませんでした。そして、立場が弱いから弱いのでもひねるのでもなく、必死に真面目に生きる姿はやっぱり勇気づけられました。
大泉洋演じる信次郎の立石に水の如き話術が聴いていて気持ちよかったです。人を救うための口から出まかせが、大泉洋のキャラクターと卓越した話術で、とてもはまっていました。彼の出演作品を見ても「大泉洋ってキャラクターで得してるよな~」と思うことが多かったんですが、いや見くびってました、すみません。しゃべりで観客を気持ちよくさせるなんて、すごい才能の持ち主だと思います。あと、信次郎が男人禁制の寺で病人治療のため、無理やり目をそらしながら診察するシーンは、尼・法秀院の生真面目さもあいまって、すごいおかしかったです。信次郎が見ないようにさせながら、「法秀院が見ます!」と自分の目で誘導して浣腸させようとしたら、結局菊の門じゃないほうに信次郎の指を誘導してしまった法秀院カワユス。