2015年12月25日金曜日

リトルプリンス 星の王子さまと私

オトナになるって難しい!!!

監督:マーク・オズボーン
原題:The Little Prince
上映時間:107分
パンフレット:720円(★★★☆☆:2ページの漫画で「星の王子さま」の内容が解説されていて分かりやすい。マーク・オズボーンに「星の王子さま」を送った彼女が”今の嫁”であるという良いエピソード付き。)

2週間程前に光文社古典新約文庫版で野崎歓訳の「ちいさな王子」を読んだばっかりだったので、タイミリーなタイミングで映画を見ました。この映画は2種類のアニメショーンの表現方法で描かれていたのですが、ストップモーション・アニメーションで表現した原作小説のイメージは、あたたかみとせつなさがあり原作そのままの印象があってとてもよかったです。女の子と老夫婦が住む”現実の世界”をCGアニメーションという別表現を使ったのも世界の違いが分かりやすかったですし、原作小説の世界との切り替えの違和感もなかったです。
表現方法について文句はないのですが、ストーリーにおいて大人になった星の王子様が出てくるというのが個人的には好きではなかったです。自分的には原作小説の中で王子は砂漠で蛇にかまれ、「死」と取れる形で「星への帰還」を果たしたこと哀しいハッピーエンドがこの物語をいつまでも心に残るものにしている一因でもあると感じており、この映画で大人になってすべて忘れてしまった王子が出てくることが原作の良さを損なっていて気持ち悪く感じました。「王子の言うことなんて子供だから言えることなんだ」という大人の諦めに似た感想が、実際に大人になった王子が仕事の出来ない掃除夫になったのを見てると「ほんとうに大切なものは目に見えないとか言ってる場合じゃないじゃん」という気にさえなってきてしまいます。普及の名作の続編を作るというのは、かなり志の高いチャレンジだとは思うんですが、いろいろ配慮してやってもやっぱり難しいんだなぁと感じました。
あと、女の子がトランクを持って飛行士のところにおしかけるシーンを見て、「恋人たち」で光石研をトランクを持っておしかけた成嶋瞳子を思い出しました。おしかけた後に男の言動で興ざめして家に戻るところまで一緒!女がトランク持って男の元におしかけたら、興ざめさせて帰させるのが映画のセオリーなのかもしれませんね。しかし、思い返すと光石研が成嶋瞳子の網タイツを脱がしてシャブを打ったシーンは笑えるし哀しいし名シーンだったな。

2015年12月19日土曜日

スター・ウォーズ/フォースの覚醒


「あんた誰?」と思った時、「お前誰だよ!」と思われてる

監督:J・J・エイブラムス
原題:Star Wars: The Force Awakens
上映時間:136分
パンフレット:1,000円(★★★★☆:ノーマル版。およそ14ページにわたり写真付きで映画のあらすじが書いてあり、内容を振り返りやすい。旧シリーズのあらすじと当時の観客の反応も書いてあってためになる)

スターウォーズに関しては、3年前に3D化して再上映された「STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス」とジョージ・ルーカス監督とスターウォーズファンを描いた「ピープルVSジョージ・ルーカス」しか見てませんでした。が、ムービーウォッチメンの課題作品になったので公開初日に見てきました。いまさら中途半端に予習するよりも、持ってる知識だけで見たほうがいいかなと思って、ノーガード戦法で鑑賞してきました。最速上映の1時間10分後の19時40分からの2D字幕版で鑑賞したんですが、映画館は満席で外国人の方も多く、お祭りの空気感が味わえて楽しかったです。自分が予習不十分なので楽しみきれませんでしたが、旧シリーズを見たくなる程度には楽しかったです。往年のファンにとっては感涙ものなんだろうなと思いました。上映後には拍手も起きていました。
映画館で一番沸いたのは「Chewie....We're Home.」という台詞とともにハン・ソロ演じるハリソン・フォードが登場するシーン。感嘆をもらすだけでなく、拍手するお客さんもいました。エピソード6の30年後の世界を描いている今作では、ハリソン・フォードのように旧シリーズのキャストがそのまま続投されていて、その登場シーンにお客さんが「おぉ!」ってなってたんですが、私はエピソード4~6は全く見ていないので「おばあちゃん?」「おじいちゃん?」「あんた誰?」という言葉が頭をよぎりました。(つーか、私、途中までハリソン・フォードのことルーク・スカイウォーカーだと勘違いしてました)しかし、スターウォーズの世界にとっては、私こそ「お前こそ誰だよ!」っていう感じなんだろうな。結婚して初めて相手家族の親戚の集まりに行った時とか、こういう気分になるんだろうな。相手に覚えがない時には自分が知られていないと思ったほうがいいなと謎の反省をしました。
ヒロインのレイは無名の人からキャスティングしたということですが、勇敢さと繊細さを兼ね備えた面持ちでよくもこんなイイコを探せるもんだな~とプロのお仕事に関心しました。フィンに手を握られて本気で嫌がってたレイが、だんだんと彼に心を許していくのが、ベタな演出だけど見てて楽しかったです。フィンは殺すのが嫌でストームトルーパーを脱走したのかと思いきや、脱走後は元仲間のストームトルーパーをがんがん殺すところが「そこに葛藤はないのか!」とちょっとつっこみたくなりました。あと、BB-8の丸だけで構成されるフォルムがめっちゃかわいかった。人間的なわけではないのに、あたたかみがあるロボットデザインが魅力的だな~と思いました。

2015年12月11日金曜日

007 スペクター

当惑のおもてなし

監督:サム・メンデス
原題:Spectre
上映時間:148分
パンフレット:720円(★★★☆☆:ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドや歴代スペクターの説明が掲載されていてためになります)

007シリーズは、前作「スカイフォール」を含めて合計2本しか見たことがなく、今回が3本目でした。冒頭のメキシコの「死者の日」のフェスティバルをバックにしたアクションからローマ・オーストラリア・モロッコ、そして彼のお膝元イギリスへとトムフォードを身にまとい世界を股にかけて活躍するジェームズ・ボンド。上唇は薄いのに下唇は厚いダニエル・グレイグの色気を感じつつ、楽しんで鑑賞することができました。でも、前作「スカイフォール」のほうが格段に面白かったな。「老い」と「死」を描いていた点において「スカイフォール」は特別に好きでした。今回の「スペクター」は、クリストフ・ヴァルツにはとどめをささず娘くらいの年に見えるレア・セドゥと手をつないで去るエンディングに、「若さ」とか「生」に惹かれるボンドを見た感じがします。
今回の映画で好きなシーンは、ローマでボンドが潜入したスペクターの集会の場面。椅子に座ってさまざまな決議を通していく幹部メンバーたちを2階から見守る構成員たち。目線の動きで「彼」が来たことが分かる感じとその「彼」がそのシーンでは後光で誰かが分からない気持ち悪さがデビィット・リンチみたいで好きでした。その後、死者の後釜選びのために、デイヴ・バウティスタが突然別ン後釜候補の目潰しするのもリンチっぽさを感じました。
あと、モロッコのスペクターの本拠地で、ボンドとマドレーヌが通された隔離された部屋に隕石が飾ってあり、それを見て2人がどう反応したらいいかわからず「感心しろってこと???」とこぼしたところが、あとからじわじわくる面白さだった。こういう、どう反応したらいいかわからないおもてなしってありますよね~

2015年12月4日金曜日

ガールズ&パンツァー 劇場版


戦車で自宅を破壊される幸福

監督:水島努
上映時間:119分
パンフレット:864円★★★★☆(登場する戦車や学校や登場人物の紹介がしっかり乗っていて、とても初見では消化しきれない情報量の多さ)

「ガールズ&パンツァー」、ムービーウォッチメンで課題映画に選ばれるまでは、作品の名前も知りませんでした。リスナー推薦の「和製マッド・マックス」という煽り文句とポスターイメージからなんとなく「「エンジェル・ウォーズ」みたいな話なのかな?」と思ってましたが、女子だけで戦うという意味では「エンジェル・ウォーズ」と似ていましたが、「エンジェル・ウォーズ」よりはもっと健康的に明るく狂ってる作品でした。女子高生たちが乗り込む戦車での人の死なない戦車による武道。とても明るい世界観で戦車という世界を楽しむことが出来るこの作品は、個人的にはとても新鮮で「日本のアニメ、やべぇ!」ってなりました。
冒頭3分間作品の簡単な紹介で「戦車道」に関する知識はある程度理解出来たのですが、テレビシリーズを一切みていないので、各登場人物のキャラクターや物語性はまったく分かりませんでした。でも、戦車道の世界がきっちり完成されているせいか、すごい楽しんで見ることができました。このよく分からないけど楽しいっていうのが、今年1月にチケットが余ったため急遽ハロプロのコンサートを連番することになった友達がライブが終わった後、メンバーの顔も名前も分からないのに「楽しい!最高!楽しい!最高!」ってその世界に圧倒されて一瞬のうちにファンになっていたことを思い出しました。この友人はこの感動を残すために、ブログ(激ヤバ鬼マスト帳)を開設までしてくれました。この「ガールズ&パンツァー」で、未知の世界に圧倒されるのってある種快感だなぁと再確認できました。
作中の戦車道、戦い始めは森林や野原みたいな所を中心に行われるんですが、後半になると街に繰り出して市街戦になっていくのが新鮮な絵で興奮しました。しかも、街を壊さないように戦うのではなく、バンバン破壊する景気のよさ!戦闘をライブビューイング的に観戦しているおじいちゃんが、自分の経営している旅館が破壊されて「やったーーー!」と喜んでいる様を見て、「あ~、楽しそうな世界!」って幸せな気持ちになりました。他のおじいちゃんたちも「お前ばっかり、せこい!」とすごいうらやましそうにしてたのもよかったです。

2015年11月27日金曜日

ラスト・ナイツ


最近年末は、欧米の忠臣蔵

監督:紀里谷和明
原題:Last Knights
上映時間:115分
パンフレット:820円★★☆☆☆(見開きに「今、日本の心が世界に羽ばたく。」と大きく載っているのにちょっとクスリとくる)

紀里谷監督作品、今回はじめて見ました。過去の作品であまり良い評判を聞いたことがなかったので心配だったんですが、良くも悪くも普通でした。なんとなくもっとアクの強い作風の監督のイメージをもってましたが、同じく忠臣蔵をテーマにした昨年の「47 RONIN」にくらべると、独特の味みたいなのがなくてわざわざ忠臣蔵を海外キャストでやる必要も感じられず、珍作の「47 RONIN」のほうが個人的には好きでした。
領土没収から1年、主人公のライデン(クライヴ・オーウェン)がダメ人間になったフリをしつつ、敵を油断させ虎視眈々と復讐の機会を狙っているんですが、せっかく敵を油断させることに成功し仲間の騎士団と合流出来たのに、敵となるギザ・モットの城に侵入したらわりと早い段階で敵に見つかってしまっていたのがもったいなかったです。1年間かけて相手をあざむいた甲斐が感じられず、あんまり溜飲を下げることが出来なかったです。
あと、複雑な話でもないのに、なんか分かりにくいところがあるのが不思議でした。特に、最後、結局ライデンは死んだのか、それとも処刑されずに奥さんのところに帰れたのかが、私にはよく分からなかったです。わざと時系列逆に撮っているようにも見えるし、奥さんのところに行ってから処刑されに行ったようにも見える。話的には処刑されてなかったら興ざめなんですが、なんか分かりにくいんだよなぁ。

2015年11月20日金曜日

恋人たち

人の痛みにやさしくするのって、難しい

監督:橋口亮輔
上映時間:140分
パンフレット:850円★★★★☆(この映画が、ワークショップからキャスティングを決め、あてがきで脚本を書いた特別な作品であることがよくわかります)

橋口亮輔監督作品は「二十歳の微熱」をずっと前にレンタルビデオで見たことあったようなおぼえがあります。が、どんな作品だったかあまり記憶がないので、ほぼ今回が初鑑賞な感触でした。
この「恋人たち」は、自分にとっては正直感想を書くのに窮する作品でした。家に帰って、パンフレットを読んで「あぁ、そういうことだったのか」とようやくちょっと腑に落ちた感じ。自分の痛みを、生きる糧にする人、気付かないようにする人、抑える人、そういう3人が味わう絶望と生きていくこと自体への希望を描いたような作品です。
メインキャスト3人の中では、田舎で夫とその母と暮らす瞳子のエピソードが一番見ていて面白かったです。皇族オタクで暇さえあれば自分が雅子様を見に行った時のビデオを見ている彼女、「雅子様に会える(というか生でちょこっと見れるだけ)」ことでテンションあがった若い頃の自分をタバコをくゆらせながら少しだけ顔をゆるませてみている彼女の、今の彼女にはこれしか楽しみがないのか・・・という行き詰まり感は自分にもよく理解できるものでした。
姑が製品についていた粘着力の弱いラップを壁に貼り付けて再利用している様とか、旦那が肩をたたくと夜のお役目をしなきゃならない合図とか、すごいひどいことが起きてるわけじゃないのにどこにも行けないという深い絶望を感じる風景でした。そんな彼女が三石研扮する藤田とニワトリを追いかけた時にみせた、興奮した表情の乙女な感じ。腐った日常の中で、ささいな興奮がもたらされると、ああいう顔してしまうこともあるかもと納得感ありました。笑える部分も瞳子のエピソードが一番多かったです。このエピソードがなかったら、ちょっと作品として見ているのがつらすぎたかもしれません。
この作品は登場人物ほぼすべてが自分の痛みを持っているのですが、ほとんどみな他者の痛みには無関心でした。んな中、アツシの同僚で、「片腕がない」という目で見て周りが見てすぐ分かる痛みを持っている黒田の他者へのまなざしはとても優しかったです。アツシからの「なぜ、片腕ないんですか?」という質問に「ロケットで吹っ飛ばしちゃった」と答え、その答えに笑ったアツシに「笑うのはいいんだよ。腹いっぱい食べて笑ったら、人間なんとかなるからさ」と応じる黒田。自分の過去そして現在も存在する痛みを笑われても、それが相手の元気になるんならと差し出せる強さがかっこよかったです。だからといって彼のようになりたいかというと、彼のようになりたくもなかったりもします。だれかの痛みを積極的に減らそうと働きかけるのは、自分には荷が大き過ぎて。。。
離婚調停しにきたアナウンサーが相談相手の弁護士が泣いたと勘違いして、勝手に心が楽になっていたエピソードを見て、他人が自分の痛みに共感してくれたと思うだけで、人って救われたりするんだなと感じました。だから、せめて相手の話を聞いて「うん、うん」ってうなづいてはおこうと思いました。

2015年11月12日木曜日

WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT

一緒に「WE ARE Perfume」と言わせて

監督:佐渡岳利
上映時間:120分
パンフレット:884円(★★★☆☆:各公演のセットリストが乗っていて、数々のダメ出し会議を経てベストセットリストを模索したことが感じられます)

Perfumeのドキュメンタリー映画、同じくPerfumeファンの姉と一緒に見てきました。私も姉も、かれこれ8年半Perfumeファンでしてファン歴がそこそこ長いので、Perfumeを語るというのが、ほぼ自分語りになりそうで、映画の感想にならなそうな気がします。が、そんなPerfumeのことをわり長い間見てきた私にとっても、この映画ではいままで知らなかったPerfumeが見れて、より一層彼女たちの奇跡は彼女たちの不断の努力が源泉になっているんだという思いが確信になりました。
私がPerufmeを好きになったのは、2007年3月22日名古屋ナディアパークヤマギワソフトのDVD「FAN SERVICE BITTER」のリリースイベントです。それまでも、申し訳ないとで宇多丸さんや掟さんのDJでPerufmeの曲を耳にしたことはあったのですが、その日初めて生で彼女たちを見たらその瞬間に大好きになってしまいました。ちょうどその時、私は仕事を辞めて実家に戻ってきたばかりで、時間があるけど周りに遊べる友達もいなく暇でした。なので、「よし、これに自分の時間を出来るだけ使お!」と速攻決意しました。毎日毎日繰り返し「FAN SERVICE BITTER」を見て、そして実家でそんな私の様子を見ていた姉も「一人でライブ行くのもさみしいだろうし、一緒に付き合ってあげる」と次の現場(おそらくハレパンさんの対バンイベント)についてきて、一度見て速攻ファンになってました。2人で現場へ足を運ぶたびにどんどんPerfumeが売れていき、ある種社会現象に自ら加わったような不思議な感覚を味わいました。Perfumeを通じて、毎日毎日どんどん世界がひろがっていくのを肌で感じました。この映画を見ていて、はじめてPerfumeを見た時はお客さん50人位だったのに、今では3度に渡って世界ツアーもしているグループになり、そして彼女たちはいまでも世界を広げ続けているんだなぁと、あらためて彼女たちのファンであることを誇りに思いました。
私がこの映画ではじめて知ったPerfumeの出来事は、メンバー発信でライブギリギリのタイミングでセットリストを変更していたということ。Perufmeが人一倍努力していることは知っていましたが、内容にかかわるところはスタッフが決めたとおりにやっているのかなと思っていました。でも、LA公演でお客さんとのグリーティングイベント直後にあ~ちゃんがファンの人にもらったリボンをつけたまま「気になるところがあるんだけど、、、「いじわるなハロー」でお客さんのテンションが落ちるから「ワンルームディスコ」にかえれないか」と真剣な面持ちで提案し、そしてそれを傍で聞いてたmikiko先生が「とりあえず、ギリギリまで調整しよう!」と試す。そして、本番ではよりよいステージなっている。ギリギリまで妥協を許さない難しい調整がメンバー発信で行われていて、「そりゃ、Perfumeのライブは最高なわけだ」と思いました。
「3人あわせて、Perfumeです!」を英語にすると「We are Perfume!」になるというのもうれしい発見でした。かしゆか、あ~ちゃん、のっちだけでなく、PerfumeにかかわるスタッフそしてファンすべてがPerfumeなんだという広がりを感じられました。
あ、あと、映画終盤に出てきた所属事務所・アミューズの大里会長の酔っ払いっぷりが面白かった。せっかくメンバーがいい話をしているのに、乾杯したくてしょうがなく飲みたくてしょうがなさそうなおじさん!そんな、彼も含めて「We are Perfume!」です!

2015年11月7日土曜日

ヴィジット


孫のためなら、えんやこら

監督:M・ナイト・シャマラン
原題:The Visit
上映時間:94分
パンフレット:700円(映画論客3人のシャマラン復活を喜ぶ座談会が面白い)

シャマラン監督作品は、「シックス・センス」「ヴィレッジ」と一昨年の「アフター・アース」を鑑賞していました。「最後にどんでん返しのお土産」をくれる監督というイメージだったのが、一昨年の「アフター・アース」を見て「あれれ?お土産ないのーーー!?」ってちょっと残念に思ってました。そして、この「ヴィジット」。ちゃんとお土産がある上に、めちゃくちゃ怖くて、そして面白い!「シャマラン監督なんて、どーぜ最後のどんでん返しネタ一発がウリなんでしょ」とかちょっと思ってて、ごめんなさい!これ1本でまだ未見のシャマラン映画が見たくなりました。
この映画振り返って考えると、怖い&仕掛けにビックリするだけでなく、映画内で姉弟が撮り続けるドキュメンタリー映画としてちゃんと成り立っているし、姉弟の成長物語としてもしっかりしていて、あらためてすごいと思います。何かを創作することで癒せる物事があるということが、姉制作の映画や弟のラップからよく伝わってきます。エンドロールの弟のラップは笑えるというよりも、あの訪問がこのコのトラウマになってなくてよかったな~って安心出来ました。姉弟が自分たちの父親が家を出て行ったことがきっかけで身についてしまった心の癖みたいなものが、この恐怖体験で強引に乗り越えられたというのもサッと描かれているけど救いがあるとともに子供の心の強さへの信頼があっていいなぁと思いました。
ちょっと悲しかったのは、最終日のボードゲームが流れ解散(?)になって、てんわやんわした際に祖父母ともに姉弟に「お前のことなんて嫌いだ!」って言い放つところ。祖父母の属性や心理状態はどうあれ、個人的には姉弟のことは真面目に愛していた可能性を残す含みを持たせてほしかったなぁ。この7日間が「孫がいる人生を体験してみたい」というそういうモチベーションだけで保たれていたとすると、ちょっと虚しく思えます。でも、まあそういう愛の含みがないからこそ姉弟の二人が祖父母に歯向かえたということかもしれないですね。ちょっと愛を感じてたら、冷蔵庫のドアあんなにパカンパカンできないと思うもん。

2015年10月30日金曜日

ジョン・ウィック


殺し屋たるもの、充電は切らさない

監督:チャド・スタエルスキ
原題:John Wick
上映時間:103分
パンフレット:720円★★★☆☆(ガンフーや銃器やマッスルカーの解説など、映画の見どころポイント豆知識がまとめてあって興味深い)

「ついに、あの男が帰ってきた!」感をあおる予告編に、「いやいや、キアヌ、去年「47RONIN」にも出てたし!天狗に育てられてたしっ!」と”キアヌ is back.”なアジテーションに乗れず本作あまり期待していませんでした。が、「犬を殺された男が復讐で、マフィア皆殺し」という信じられないようなプロットを説得力をもって演じ切るキアヌの、スマートでかっこいいのに何故かちょっと抜けみえる感じに新たな魅力発見出来ました。見た目は切れ者の殺し屋にはとても見えない。でも、何かの異常者には見える感じ。
殺し屋がつかの間の休息を求めるために泊まる謎のコインが流通するホテル、コンチネンタル・ホテルが面白かったです。このホテルに滞在している間は、殺し屋は「仕事」をしてはいけない。キアヌが戦闘から血だらけになって帰ってきて、フロント係に「クリーニングを頼む」と伝えても、「その汚れは落ちないと思いますが」と真顔でジョークをかましてくる動じない感じが素晴らしい。傷だらけの殺し屋にバーボンをすすめたり、死体処理の隠語が「ディナーをご用意します」というのもなんだかリアルさを感じます。こういうしっかりとしたホテルの掟を破る女殺し屋に、きっちりとした制裁がもたらされるのもよいです。あそこ一般客も泊まれるのかなぁ。泊まってみたいな~。
あと、この映画、キアヌが亡き嫁との思い出の動画をたびたび見て、それにより自分の戦意や生きる意欲を吹き返させるのですが、最後の戦闘が終わった後、車からよたよたと落ちたキアヌが再び例の動画を再生したシーンに「おい、まだそのスマホ、充電残ってとったんかい!」って思った。映画の中でスマホを充電するシーンとかなかったけど、見たいものをいつでも見れるようにするためにちゃんと充電を怠っていなかったキアヌ、かわゆい。やっぱりスマートフォンの充電は切らせてはいけないなって、当たり前のことを再認識させてくれるシーンでした。そして、ラストの動物病院で殺された犬・ビーグルとは全然違う種類の犬を家に連れてかえる、「犬ならなんでもよかったんかい!」と突っ込みたくなるわりとこだわりのないキアヌもかわゆい。

2015年10月21日水曜日

バクマン。


読者のためより、自分のために

監督:大根仁
上映時間:120分
パンフレット:720円★★★★★(ジャンプコミックスを模したカバー帯風デザインは見事!監督・キャストにとどまらず、原作者から編集者までいろんな方のインタビューが乗っていて読み応えたっぷり)

原作を読んだことがなく、「「バクマン。」って「漫才を組む話なのかな~」と思っていたんですが、それは勘違いだったことに映画の予告編を見て気付きました。漫画(特にジャンプ掲載作品)を描くメタ漫画ってすごい面白そうで、原作も読みたくなりました。大根仁監督ということで「モテキ」の時の背景演出を思い出し、「今回もきっとサブカル小道具による背景演出バッチリなんだろうな」と思ってましたが漫画執筆部屋・編集部・着ているTシャツ等こだわりを想像以上に感じれました。(ただ「モテキ」のほうが主人公1人の人生を深堀して想像出来るっていう点で、背景演出の面白見をより感じれたように思います)
この映画、青春メイクドリームの疾走感が気持ちよかったです。特に序盤でシュージン・神木隆之介とサイコー・佐藤健が原作と作画でコンビを組み、はじめて漫画執筆をし、はじめて出版社持ち込みをし、編集の山田孝之に「え、はじめての作品なの?」と驚かれ名刺を渡され、そこからどんどんトライ&エラーで漫画の腕と評価をあげていくのがすごい楽しいかった。そして、実際に書かれた漫画が、ちゃんとしてるしたくさんあって、「これだけのオリジナル原稿どうやって用意したんだろう」ってすごい疑問に思いました。出版社の協力があったとしても、あの量はすごい。
自分的にはサイコーとシュージンの連載が決まって、高校生漫画家バトルがはじまる直前までが特に楽しくて、そこからは少しトーンダウンする感じでした。個人的には、ペンを剣に見立て白バックでサイコー・シュージンがエイジとバトルするシーンよりも、実際に机に向かって漫画描いているシーンのほうが面白かったです。
映画を見てて、サイコーかシュージンどっちかの親が「うちの子をそそのかさないで!」ってそのうちしゃしゃりでてくるだろうと思っていたんですが、叔父役の宮藤官九郎がわりと出番多いのに対して、両者の親は映画が終わるまで一切出てこなくてびっくりしました。サイコーとシュージンお互いの自宅描写さえない潔さ。フィクションにおいて、語る上で邪魔になるものは中途半端に映すより、一切描かないという選択肢もあるんだなと思いました。
あと、この映画のヒロイン小松菜奈が佐藤健に対して「先に行くから」と言って別れたのに対して、映画のラストシーンを飾る「この世は金と知恵」で彼女を模したヒロインが最終カットで「ずっと待ってる」と言って締めるところに、者が自分の作り出すフィクションによって少しだけ自分の現実を救う様が見れたのがよかったです。打ち切りの憂き目にあったんだし、最後は自分のために描いたっていい!許す!

2015年10月17日土曜日

アントマン


持つべきものは友達と

監督:ペイトン・リード
原題:Ant-Man
上映時間:117分
パンフレット:720円★★★★★(マーベルシリーズにおけるアントマンの立ち位置(「アイアマン3」から始まったフェーズ2の最後が本作。次のフェーズ3は「キャプテン・アメリカ/シビルウォー」からはじまる)が解説されてて興味深い。前作「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」もそうだったけど、マーベルのパンフレットは内容が充実してて買って損なし。)

予告編の「列車にひかれた!」と思いきやひきで見るとおもちゃのレールセットのトーマスがカタリと落ちるだけの絵が、リアルさがあるゆえなんとも言えないクスリ感があって「面白そうだな~」と思っていましたが、この「アントマン」本編はもっと面白かったです!
今、予告編を見直したんですが、大きな見せ場のアリをコントロールするシーンが予告編で一切使われてないのはすごいと思いました。予告編であつかわれてなかったので、「アントマン」の最も楽しい部分といっても過言ではないアリを駆使しての潜入や戦闘シーンを予備知識ゼロで存分に楽しむことが出来ました!本国版の予告編も確認してみたけどそっちはめっちゃアリでてくるから、あれだけ美味しい特殊能力を本編のお楽しみを残してくれた日本版予告編制作スタッフに感謝です!もしかしたら、「(アリの大群を見て)グロい映画かな?」ととらえられてしまう恐れがあるからアリの映像使わなかったのかもしれないけど、ヒーローの特殊能力に本編を見てから知るお楽しみがあるのはうれしいものです。
マーベルシリーズの直近の前作「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」で、弓がうまいことを除いては普通のおじさんに過ぎないフォークアイにスポットがあてられたのも新鮮でしたが、今回の「アントマン」では盗みを働き懲役くらい釈放後も養育費が払えないため娘に会えない負け犬といってよいおじさんが主人公だというさらなる新鮮さがありました。また、主人公スコットを取り囲む友達たちのどうしようもなさも最高。スコットが釈放されるのを車で迎えにくるルイスのエピソード語りに無駄がありまくる感じが愉快です。あの語りの再現シーンは巻き戻してもう1回みたいです。あと、映画冒頭、そのルイスが「俺は嫁も失ったし、全部失った!」「けど、この車がある!ガハハ!」と能天気に笑っていたんですが、その唯一手元にある車がこの映画を通してどんどん改造されいろんな任務に役立つ姿が見れるのが思い返すとけっこうジーンときます。ルイスはすげ~馬鹿だと思うけど、なくしたものを悔やむより、手元にあるものに感謝する姿にはかっこよさすら感じます。こんな下衆くて良い友達がいるのもアントマンの魅力です!

2015年10月10日土曜日

心が叫びたがってるんだ。


奇跡を引き寄せるなら、ミュージカルできまり
監督:長井龍雪
上映時間:119分
パンフレット:900円(製作者・キャストインタビューともに充実しています。声優の女性の写真、みんなかわいくてびっくりする。)

映画館で予告編を見た記憶もなく、タイトルとアニメ作品だということを知ってるくらいで、特になんの予備知識もなく見に行きました。作画が美しくて、登場キャラクターが多いのにすごい分かりやすい作品で面白かったです。ちょうど今、自分がハロープロジェクトのメンバーで上演される演劇女子部ミュージカルにはまっているので、映画の中のイベント「地域ふれあい交流会」で登場人物の高校生たちが「めんどくさい」「はずかしい」と初めは拒否反応を示しながらも、一生懸命なクラスメイトの姿に引っ張られてオリジナルミュージカルを熱中して準備し演じる様子が個人的にタイムリーで面白かったです。
「古今東西ミュージカルってのは、たいてい奇跡が起きるもんなんだよ」という作中の担任である音楽教師の台詞がありますが、これはよく分かるな~と思いました。私も昔は作中で突然登場人物たちが歌い始めるミュージカルを馬鹿にした気持ちでみていたんですが、いまは歌の力で強引に話が吸引されるのをとても気持ちよく感じるし、そこにおける奇跡は全然受け入れられたりします。歌と踊りで話が展開するのって快感だし、そこで奇跡が起きてもなんの不思議もないなという感じがします。
ただ、この「心が叫びたがってるんだ。」、あまり納得がいかないエピソードがストーリーの根幹のところにあって、全体としては面白いと思うけどちょっとノレなかったです。
私が納得いかなかったエピソードは、主人公の順が幼少期に離婚する父親が家を出ていく際に順に対し「全部、お前のせいじゃないか」と言われるところ。その前段の、順が本物の城だと勘違いしていたラブホテルから父親が母親以外の女性と出てくるのを目撃し、それを喜々として母親にしゃべるところまでは、「子供が知らないコトがあることが原因で、こういうことが起こるのは面白いな~」と思ったし、それがきっかけで離婚に至るのも理解出来るんですが、それをうけての父親の反応があまりにもひどすぎる。子供のおしゃべりが原因で離婚したんじゃなくて、自分の不倫と性格の悪さが原因で離婚したにすぎないと思う。ああいう大人の八つ当たりでしゃべれなくなるほどのトラウマを子供がおってしまうことが理不尽で、話が終盤にさしかかってもあの父親のことを思い出して腹がたった。っていうか、ああいう物事の原因を弱者のせいにするような男とは、別れて正解だと思う!
あと、冒頭のエピソードは「順ってそんなにおしゃべりかな?」とか「夜食弁当を用意する仕事ってなんだったんだろう?」とか個人的に色々気になった。昼間に不倫相手とラブホテルに行っておいて(おそらく仕事だと偽って)、妻が用意した夜食を食べて仕事をスーツでやる仕事ってなんだろう???テレホンオペレーターのスーパーバイザーとかかな。

2015年10月2日金曜日

キングスマン


ワインにはマクド、はめるならアナル
監督:マシュー・ボーン
原題:Kingsman: The Secret Service
上映時間:129分
パンフレット:720円(★★★☆☆:小型サイズの装丁にコミックっぽい構成ページがあるのがかわいい。)

映画友達に「最近見た映画で面白かったの何?」と聞いたら、2人から「キングスマンが面白かった!あれは、絶対映画館で見るべき!」との回答が返ってきたため「これは見なきゃ!」と思っていました。ちょうど、Perfumeメジャーデビュー10周年記念ライブのために東京に行った時に、空き時間を過ごすのに困っていたのでその時間で鑑賞しました。(10年ぶりくらいにヴァージンシネマズ六本木に行ったけど、六本木ヒルズも開業当初に比べたらかなり落ち着いた雰囲気になってて歩いてて楽しかったです。映画館の中はそうでもなかったけど、映画館周辺は可処分所得多そうな人が多かったな。)
スーツでかっこよくキメたスパイ物といったら「007」が思い浮かぶんですが、この「キングスマン」もスーツでキメたコリン・ファースがめちゃくちゃかっこよかったです!しかも、そのかっこいいスーツが防弾仕様というオドロキ。そして、武器が仕込まれた傘や万年筆や靴といった秘密道具の数々。そのクールな容姿と遊びゴコロの多さのギャップがよかった。また、登場人物が全員わりと俗物的なところも素敵です。特に、敵役のサミュエル・L・ジャクソンのスポーツカジュアルを着たIT長者の俗っぽさがよかった。「これが、ワインに合うんだ!」って言って、ディナーに出てきたのがマクドナルドのセットだった時の「金持ちも極まると、逆にそーゆーのもありなのか!」って俗っぽさ。あと、エグジーがちゃんとプリンセスのお尻にハメに行くところとか、最後までお高くとまらぬ俗っぽさがあってそれが癖になっちゃいます。
クライマックスで頭がボーンって爆発するくだり、私がその年のベストにしていた2013年公開映画「キャビン」のモンスターが次々とエレベーターから降りてきて人々を虐殺していくクライマックスシーンを思い出して愉快でした。すごい残酷なことが起きているのに、すげー笑えるという話のうまさ。あと、コリン・ファースがあっけなく死んでしまったのを悲しんでる暇もなく物語が推進していくバランスもすごかったな。続編が出来るとの噂があるとのことですが、楽しくてずっと見ていられる作品なので、「キングスマン」是非シリーズ化してほしいです。