はやぶさ 遥かなる帰還(136分)監督:瀧本智行
おかえり、はやぶさ(114分)監督:本木克英
はやぶさ HAYABUSA(140分)監督:堤幸彦
リアルタイムでは「はやぶさ」に全然興味がなかった私ですが、この数日間3部作を見たことでかなり詳しくなりました。
当たり前ですが、3作品全て大きな筋書きは一緒。「NASAの10分の1と予算の少ない日本の宇宙研究所が、イオンエンジン搭載の「はやぶさ」を小惑星イトカワまでとばし、さまざまな苦難を乗り越えながら惑星のサンプル入手に成功する」という話。
私は、「はやぶさ 遥かなる帰還」「おかえり、はやぶさ」「はやぶさ/HAYABUSA」の順で見、好みも見た順と同じでした。
「はやぶさ 遥かなる帰還」は、映画の体裁をちゃんと保っていてまあ好感がもてる、
「おかえり、はやぶさ」は、割り切った教材映像っぷりになんか好感がもてる、
「はやぶさ/HAYABUSA」は、よかったところが特にないという感じ。
おそらく3作とも監督が撮りたくて扱ったわけではなく職業監督として請け負ったものなのだろうけど、かなり個体差があって興味深かったです。
一番好みの「はやぶさ 遥かなる帰還」は好きなシーンが結構ありました。特に途中の江口洋介VS吉岡秀隆のイオンエンジンクロス運転是非バトルがよかったです。
「ぼ・・・ぼくは、はじめから反対だったなんだーーー!く・苦し紛れにクロス運転をしたエンジンを誰が買いますか!ぼくは、メーカーの人間なんですよっ!」っていう台詞が吉岡秀隆にはまりすぎてて良かった。やっぱり、彼にはいじけた姿がよく似合います。
その後、江口洋介の「オレの部屋で、ビンテージのワイン飲まないか?」「お前と2-3日話さないなんて耐えられないんだ!」という言葉に、尻尾を振ってくっついていく吉岡秀隆もよかった。お互いリスペクトしあう男同士って、、、もはや恋する者同士と同じ空気感だな。。。
あと、渡辺謙のたたずまいも好き。「ボロをまとったマリリンモンローから連絡があったんです!」という時の涙目笑顔には、キュンときました。きっと、NASAの黒人男性も「このラストサムライは抱ける!」と思ったに違いない。リュック姿も、かわいかったです。
エンドロールで実際のプロジェクトチームの写真を映した、「さっきまでのコレ、本当の話です」演出も好きでした。
「おかえり、はやぶさ」は、「科学館の学習映像か!?」と思うほど解説が充実していたので、子供に見せるならコレがいいかも。
ストーリーパートも、失敗した火星探査機「のぞみ」の責任者の父(三浦友和)と「はやぶさ」のエンジン担当者の息子(藤原竜也)の和解の親子劇だし、家族連れなら、この1本がオススメです。
3作品とも、独自性を出すためにつけたとみられるエピソードが余分に感じました。
「はやぶさ 遥かなる帰還」だと朝日新聞記者のエピソード、「おかえり、はやぶさ」だと肝臓移植のくだりと宇宙計画反対者の投げっぱなし発言エピソードは個人的にはなかったほうがよかったです。
ただ、「はやぶさ/HAYABUSA」にくらべれば、この2作品はかなりまし。
「はやぶさ/HAYABUSA」に関しては、話の中心になる水沢恵(竹内結子)の存在が思いっきり余分。宇宙科学研究所の室長が講演会で会った女性:水沢恵をスカウトして、チームに誘いいれるとか。。。「そんな簡単なプロジェクトなのか、コレ???」って、思っちゃいました。
はやぶさがしゃべるという謎は、「学習施設で子供にわかりやすく解説する工夫の中で水沢恵がはじめた」ということで解けたっちゃ解けたけど、それ以降調子にのって何から何まで彼女のナレーションで説明しはじめるし。。。
あと、はやぶさを応援する宇宙オタクの描写とかもひどい。「はやぶさも頑張ったんや!オレも明日ハローワークいこ!」とか、7年間のそいつの人生、ちゃんと考えてんのか?オタク、舐めんなっ!面白いと思ってやってるとしたら、面白くないし、不快。今まで以上に、堤幸彦監督に不信感を持ってしまいました。実は、堤監督は同じ中学の先輩なので、同郷のモノとして出来れば応援したいんですけどねぇ。。。お願いしますよ、先輩---。「はやぶさくん」よろしく、どうか道を示してくださいな。