監督:原恵一
木下恵介監督作品も原恵一監督作品もいままで見たことなかったのですが、この映画とても心温まりました。“生誕100周年記念”とかいうそういう冠付け映画って、たいてい面白くないことが多いのですが、数日間というものすごいミクロな部分を切り取りかつ映画愛・監督愛にあふれていてとてもよかったです。
終盤の監督作品群のダイジェストはちょっと長く映画の本筋がぼやけたようにも思えましたが、カレーライスを号泣しながら食べる「破れ太鼓」とか鮮やかなカラー絵で女たちが踊る「カルメン、故郷に帰る」とか見てみたいと思える映画がたくさんありました。映画としては冗長的になってだめかもしれないけど、木下恵介監督生誕100周年記念作品と考えれば、私のような門外漢が監督に興味を持つきっかけになってよかったなと感じました。
第二次世界大戦下、病気のせいでバスに乗れない母を便利屋を雇い兄と一緒にリアカーに乗せ疎開した、たった3日間の出来事が木下恵介監督を励まし、一度は断念した映画監督に戻らせます。名も知らぬ者と過ごしたほんの数日の出来事が人生の中でこれだけの大きな意味を持つことを見て、人生とはどこまでもかけがえのないものなのだと感じました。「1日1日を丁寧に生きよう!」という気持ちにさせられました。