2015年6月6日土曜日

駆込み女と駆出し男

監督:原田眞人
上映時間:143分
パンフレット:820円★★★★☆(はじめじょごでオファーがきたのに、お吟をやりたいと言った満島ひかりのエピソードに、彼女の強さを感じる)

男以上に人生をかえるもの

大泉洋と戸田恵梨香という主演の組み合わせからなんとなく「コメディ色が強いドタバタものかな?」と思い、そんなに期待してなかったんですが、描かれる時代をきちんと感じさせてくれる作品ですごい面白かったです。離縁のための女性駆け込み寺の存在自体知らなかったのですが、庶民の女性目線で描かれた色々な事情から離縁を望む女たちが強く生きる様子を見てたら元気が出てきました。
主演の戸田恵梨香演じるじょごの成長っぷりに、数年前に見た映画「プレシャス」の黒人少女を思い出しました。「プレシャス」の中でも読み書きもできなかった少女が、勉強することで自らが持つ事情はかわらないけど、言葉を持つことで自分自身がかわることが出来たというのが印象深かかったのですが、「駆け込み女と駆け出し男」のじょごも初めの内はどもり気味にしかしゃべれなかったのに、寺で勉学に励む中で、自分の考えを相手に伝えれる女性にかわっていきます。勉学というか教養によって人が救われることがあるんだなと感じさせてくれました。ただ、このじょごははじめから製鉄の技術に長けていたり、偶然出会った満島ひかり演じるお吟を必死に救ったりと、弱い立場でありながらもけっして弱き者ではありませんでした。そして、立場が弱いから弱いのでもひねるのでもなく、必死に真面目に生きる姿はやっぱり勇気づけられました。
大泉洋演じる信次郎の立石に水の如き話術が聴いていて気持ちよかったです。人を救うための口から出まかせが、大泉洋のキャラクターと卓越した話術で、とてもはまっていました。彼の出演作品を見ても「大泉洋ってキャラクターで得してるよな~」と思うことが多かったんですが、いや見くびってました、すみません。しゃべりで観客を気持ちよくさせるなんて、すごい才能の持ち主だと思います。あと、信次郎が男人禁制の寺で病人治療のため、無理やり目をそらしながら診察するシーンは、尼・法秀院の生真面目さもあいまって、すごいおかしかったです。信次郎が見ないようにさせながら、「法秀院が見ます!」と自分の目で誘導して浣腸させようとしたら、結局菊の門じゃないほうに信次郎の指を誘導してしまった法秀院カワユス。