2015年2月14日土曜日

ANNIE アニー

照れたミュージカルって、しらける

監督:ウィル・グラック
原題:Annie
上映時間:118分
パンフレット:★★★☆☆(720円/キャストのインタビューがたくさんはいってて読みごたえがある。キャメロンディアスの歌が上手いかどうかは評価が分かれるところ)

いままでミュージカルのアニーも見たことなかったのですが、「孤児の赤毛の少女が、トゥモロートゥモローと歌う話」というぼんやりとした印象を持ってました。実際に映画を見てみたら、ほとんどそのままのあらすじでビックリ。ただ、アニーは2人いると思いこんでたけど、実際はひとりだった。(ちょっとググったら、ミュージカルのヤツは子役を働かせすぎないようにわざとダブルキャストにしてるらしい)
で、映画版ですけど・・・曲がいいのは認めます。そりゃあ、ミュージカル映画ですから。ですが、ミュージカルシーンやミュージカルに遷移するシーンに限らず、通常のシーンでも不自然な会話が多くて、なんか話が頭にはいってきずらかった。ストーリーラインが単純だから、話は理解は出来るけど、なんでアニー(クワベンジャネ・ウォレス)がウィル(ジェイミー・フォックス)やグレー(ローズ・バーン)と打ち解けたかいまいちピンときませんでした。一番違和感を感じた会話は、アニーとグレースのはじめての会話。「ラジオがどうのこうの」とか「友達がいるだかいないだか」グレースが言ってるけど、こいつが何をいいたいか全く理解出来なかった。でも、絵面だけみてたら、ほぼすぐに意気投合してて「えっ!今の会話でなにがおきた!」ってなりました。
あと、作り手側がミュージカルに関して照れがあるのかいまいち信じきれていないのか、ちょっとミュージカルに対するエクスキューズめいたシーンがあるのが、残念でした。せっかくやるなら、もっとやりきってほしかった。ハニガン(キャメロン・ディアス)がアニーの親オーディションをするシーンで、「なんで、歌と踊りがいるんだ?」と聞かれ、「だって、みんな好きじゃない!それがあれば、盛り上がれるし」的なことを言うのは、ミュージカルを信じきれてない照れを感じました。(そのシーンに限らず、キャメロン・ディアスはミュージカルをメタ視点化するような台詞が多かった)同監督作品の「ステイ・フレンズ」では、ラストシーンのフラッシュモブでむかえる大団円があり、あれを見ているとウィル・グラック監督は歌や踊りの力を信じてる人な気がするのですが、直球でミュージカル映画をするというとちょっと照れてしまうのかなと感じました。
いま、トマ・ピケティの「21世紀の資本」って本を読んでいるのですが、それによると現代ではもともと貧乏な人が才能で超金持ちになるというアメリカンドリームを叶えるのは相当難しいという資本格差を超える難しさが書いてあり、ウィルが貧乏の出目でありながら、携帯会社で成功し旧ワールドトレードセンター跡地にある高層マンションに住んでいるという設定に説得力を感じられませんでした。そもそも、貧乏の出目なのに、あんなに潔癖症でハッシュポテトも食べれないってなんでなんだろ。あと、ハゲ設定はなんの伏線にもなってないし、完全に蛇足だと思う。ついでに言うと、あのスマートハウスの壁面液晶の映像は超ださいから、住みたくない。

2015年2月7日土曜日

薄氷の殺人

馬に、スイカに、わけわかんないけど好きでいっぱい

監督:ディアオ・イーナン
原題:白日烟火 Black Coal, Thin Ice
上映時間:106分
パンフレット:★★★☆☆(700円/出資者の要望でフィルムノワールものにしたものの、カット数とか撮影季節とかの出資者要望はことごとくはねのけているイーナン監督インタビューに漢気を感じた)

好きなシーンがいっぱいで、ずっと見ていたくなる映画でした。好きだけど、うまく言葉で説明できないたぐいの好きで、ディアオ・イーナン監督、この名前はおぼえておかなきゃなと思いました。
のちのちのなんの伏線にもなっていない唐突な絵(代表例:突如あらわれるアパートの1階で住人が飼っている馬)が、ぎりぎりあざとさを感じないレベルのくすぐり演出で、目や心に気持ちよかったです。特に好きなのは、序盤の殺人で、なぜか警察がスイカを食べながら捜査会議をしているシーン。捜査に使っている地図とかに、スイカの汁がおちまくってて、「え、なんでスイカ食べてる!?スイカ邪魔じゃ・・・」って気になるけど、いっさいその説明はない。そんな「なんで」を説明しないところが、なんだか気持ちよかったです。
ラストで打ち上がる白昼の花火、その花火を見上げるヒロインのウーの泣き顔とも笑顔ともつかない表情に、去年の「そこのみにて光り輝く」のラストシーンの池脇千鶴の表情を思い出しました。どちらのヒロインも状況だけみたら救われたとは言い難く映画のはじまりよりもどん底に落ちているように見える。でも、彼女たちの心はこのストーリーの中でどこか救われていることを感じさせらる。この花火のシーンはカメラがぐーっとせりあがって、花火を見る人の顔と花火がワンカットで撮られているのも美しかった。悲惨さも美しさも救済も転落もひとつの世界にあるという、すべてが映っているという感じがしました。
ちなみに、終盤で主人公ジャンが社交ダンスの練習場でラテンの曲をかけて踊り狂うシーンがありますが、社交ダンス経験10年の私から見ても、そのバックでタンゴの団体レッスンをしてる方々のダンスはけっこううまかったです。立ち姿もホールド(男性と女性の手の組手)もすっとしてて、ステップもピッとしてました。ジャンの踊りは型破りでしたが。だが、その対比がまたよかった。あと、サウナや氷で人の足元がすべるシーンがやたら多いのも好きだったな。

2015年1月31日土曜日

2015年1月に見たいくつかの映画

1月はブログに感想を書いた映画4本以外に、新作映画2本「百円の恋」「私の恋活ダイアリー」を見ました。(合計6本鑑賞)

ブログに感想を書いた以外の2本はどちらも元旦にスネマスコーレで鑑賞しました。シネマスコーレさんのご好意で、特別にふるまわれたおしるこがとても美味しかった!おもちにはいってた焼き目のカリっとした歯ごたえがあってとてもよかったです。元旦は映画の日でもあるので安く映画が見れるし、お正月暇な場合は元旦映画はいい選択だなと思いました。(映画を見た順は、「百円の恋」→「私の恋活ダイアリー」)

「百円の恋」は、今年の映画はじめになりました。「モラトリアムたまこ」見たいな実家女子のモラトリアムモノかと思いきや、実は「ロッキー」だった驚き。これを見たら、安藤さくらを好きにならざるえない。だらしない身体が、トレーニングを積んでひきしまっていくのを見るのはなんだか快感を感じました。いい映画で今年をはじめられたので、2015年いい年になりそうです。

「私の恋活ダイアリー」は、同じ映画館で連続して見れるし、「高齢者の恋活ドキュメンタリーってどんなんだろ?」っていう興味もあったので見ました。還暦女子が、出会い系サイト使いまくってて、「出会い系って、出会えるんだなぁ」って素朴な感想をもった。あと、見栄えをよくするためにおでこに注射うったり、サイト用に見栄えのいい写真を撮り直したりとやっぱりルックスって大事なんだなと思いました。「(子供もいるし、仕事もあるし)別に人生に悔いはないけど、まだ愛し愛されたい」っていう嘆きの台詞は、身につまされる痛さがありました。

百円の恋
監督:武正晴
上映時間:113分
勝てる何かよりも、戦える何かがあれば

私の恋活ダイアリー
原題:Sixty and the City
上映時間:70分
還暦もぞする出会い系サイト

2015年1月30日金曜日

ビッグ・アイズ

ある意味ではオレの作品だし

監督:ティム・バートン
原題:Big Eyes
上映時間:106分
パンフレット:★★★★☆(720円/美術スタッフの手で2ヶ月の間に絵300枚、スケッチ数百枚用意されたというエピソードに驚く。全部マーガレット本人が書いた絵かと思ってたよ・・・)

ティムバートンの監督映画は有名どころを何作か見たことがあるのですが、なんか自分と趣味があわないなぁという印象を持っていた(特に主演がジョニー・デップの映画に中のギャグにいや~な鳥肌が立つ)ので、この新作「ビッグ・アイズ」も私には合わないんだろうなと勝手に思っていました。が、いやこれが寒気がするところはぜんぜんなく普通に面白かった。夫婦物としても、現代芸術物としても、コメディとしても、面白かったです。今回「ビッグ・アイズ」は、ティムバートンの映画の中では低予算だということなのですが、これくらいの規模の映画のほうが、ティムバートン印っぽい個性が薄くて個人的には楽しめるのかもしれません。
この映画はなんといっても、ウォルター・キーン演じるクリストフ・ヴァルツが最低で最高でした!ヒロインであり、ビッグ・アイズの描き手であるマーガレット・キーン(エイミー・アダムス)に、ウォルター・キーンが「オレが絵を描いてることにしたほうが売れるから!」と言いくるめるのですが、かなりひどいことしてるのに最後まで憎めないんですよね。法廷での「被告人、オレ!弁護人、オレ!証人、オレ!」の大茶番とかあまりにも往生際が悪くて逆にかわいく思えてきました。パンフレットのプロダクションノートに、「彼女(マーガレット)は今でもウォルターを信頼していて、「彼がいなかったら私の作品は誰にも発見してもらえなかったはず」と言ってるんだ」と書いてあって、やっぱり実際のウォルター・キーンも口八丁でどうしようもない男ですが、騙されたと分かっても憎みきれない男だったのかなと思いました。劇中でも、はじめからマーガレットを騙そうとしていたというよりも、その場しのぎの嘘がどんどん大きくなっていったように見えました。
あと、この映画、元旦那の元から娘と一緒に逃げ出すマーガレットのシーンからはじまり、そして、終盤大きくストーリーが転換するのもウォルター・キーンの元から娘と一緒に逃げ出すマーガレットのシーンになっています。新旧どっちの旦那から逃げるのにも、マーガレットは決まって車を運転して逃げてるんですよね。最近、映画を見てて、車の運転ができないと、ゾンビの恐怖にも宇宙人の襲来にも横暴な旦那からも逃げられないから、かなりサバイブ能力が低くなるのではないかと危機意識を持つようになりました。今年こそ、ペーパードライバー卒業したい。そして、いざという時には、何かから逃げたい。

2015年1月24日土曜日

96時間 レクイエム

当然、死んでいない

監督:オリビエ・メガトン
原題:Taken 3
上映時間:109分
パンフレット:なし(「製作上の都合により誠に残念ながら発行を見合わせることになりました」とのこと。メジャー作品でもこうゆうことあるんですねえ。)

96時間シリーズは、シネマハスラーの課題作品になったのがきっかけで前作「96時間 リベンジ」を見たのがはじめてでした。1作目の評判がよかったわりに、2作目はいまいち面白くなかったです。が、その後たまたまテレビでシリーズ1作目がやっていたのを見たらすごい面白かった!娘:キムの走り方が馬鹿まるだしで超かわいくて、「そりゃ、ブライアン・メルズ演じるニーソンも娘のピンチに気が狂うわ!」って納得行きました。(私の2作目の感想)
1作目と2作目の面白さに落差があったので、今回3作目微妙なテンションで見に行きました。が、残念ながら3作目は2作目よりさらにダメになっていたように感じました。(2作目はキムが父ちゃんに無茶させられるとことか、シラット拳法の達人とのガチンコバトルとかあってそこは面白かった記憶)つーか、この作品IMAXでやる意味はあんまりないような。時間の都合でIMAXで鑑賞したのですが、ニーソンのおでこのしわが鮮明に見えました。よせるさざ波を感じました。
シリーズを通して、ニーソンの何をやっても死なない無茶キャラは面白いんですが、爆発などのピンチからどうやって助かったかの仕組み解明がないので、次のシーンでなんで生きているかがまったくわかりませんでした。ピンチがピンチになってない不思議。途中、「なんで、生きてる!?」と敵役に言われて、フラッシュバック映像が流れるくだりもあったのですが、観客的には「で!?なんで、助かった!?」とさらにつっこみをいれたくなる説得力にかけるフラッシュバックで。だから、むしろ生きている理由は「オレだから」「ニーソンだから」しかない。あと、娘とトイレで逢引するために、コンビニとヨーグルトに下剤をいれてるエピソードとか、切れ者なのかなんかのかわからんすぎるテックニックとか、映画はいまいちでもやっぱニーソンは狂ってておもしろい。
2作目の時も感じたんですが、ニーソンのキレっぷりに対して敵が迂闊すぎて物足りないんですよね。ロシアマフィアはビジュアルからも小者感はんぱなかったし、裏で手を引いているレノーアの旦那も終盤セスナが墜落してからキムのアタックきっかけで簡単に倒されるし、そして、ニーソンを追いかける警察も無能すぎる。さんざん、ニーソンを犯人として追っていたのに、最後「あったかいベーグルが殺害現場にあった時から、ボクは君が犯人じゃないってわかってたよ(テヘペロ)」ってよくわからん台詞で謎のオレデキルヤツ感だしてくる。。。いや、その台詞かわいくて、嫌いじゃないけどネ。

2015年1月14日水曜日

ベイマックス


 
大丈夫っていうまで、抱きしめるから

監督:ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
原題:Big Hero 6
上映時間:102分
パンフレット:★★★☆☆(720円/プロダクションノートが充実している。浜口京子のコラムは蛇足感が。)

2014年に映画おさめで見たのが、この「ベイマックス」でした。
「もしもディズニーがアメコミを作ったら」っていうのが見れる作品。想像以上に上手くて、楽しくみれました。が、鑑賞後2週間くらいたった今、あらためて映画を思い出すと、そつのない上手さで心に引っかかりがないし、アメコミや日本アニメのオマージュ的演出が多くオリジナル性を感じづらく、とりたてて感想を書く事がないことに気がつきました。アベンジャーズみたいな駄目なおっさんがたくさん出てくるアメコミのほうが歪みがあって、書くことがたくさんあるな。。。
主人公が自ら開発したメカガジェットを装着するとことか、アメコミの中でもアイアンマンに一番似てるように感じました。ベイマックスの戦闘用スーツも赤いのも、アイアンマンのイメージに似てたし。あと、仲間みんなが戦闘スーツを着るところは、コミカルなスーツのフォルムも含めてガッチャマンに似たものも感じました。エンドロール中に、次の映画につながるようなお楽しみ映像がついているとこまで、アメコミを似せています。そんななか、なにがこの映画のオリジナル要素なんだろうと考えたんですが、やっぱりそれは、話の中心にいるぷにぷにのロボットベイマックスなのです。ロボットがやわらか素材でぷにぷにでできているのって、いままで見たことなかったように思います。フォルムはドラえもんに似てるけど、ドラえもんはあくまで金属的な固さがあるし。この抱きしめられたくなるベイマックスというロボットが、この作品の一番の発明な気がします。
そんなこの映画の偉大な発明ベイマックスが、終盤に異次元世界から帰ってこれなくなる展開があり、「こんないいキャラクターを1作品で消滅させるなんて、ディズニーの思い切りすげえ!」と潔さを感じました。が、最後までみるとちゃんとベイマックスが”I'll be back.”してて、やっぱりこんなイイキャラを1作品で殺すなんて、そんなビジネスはないんだなと思いました。


ちなみに、冒頭についている短編映画「愛犬とごちそう」は、犬が美味しそうにご飯食べているのがかわいいかったです。

2015年1月3日土曜日

毛皮のヴィーナス

そんなに分かってくれてるのになんで

監督:ロマン・ポランスキー

原題:La Venus a la fourrure
上映時間:96分
パンフレット:★★☆☆☆(720円/用語解説とかあって、勉強になる)


ポランスキー監督作品は前作の「おとなのけんか」が、上映時間79分登場人物4人とタイトながらすごい面白くて、2012年のマイシネマランキングの4位にしてました。今回の「毛皮のヴィーナス」も、場面が基本1箇所&登場人物2人とタイトな演出だったんで同様の面白さを期待しましが、正直そんなでもなかったです。
「おとなのけんか」は、最も身近な他人である夫婦の表にはなかなか現さない不満が他の夫婦と喧嘩するところで表出するところが普遍性がありヒリヒリ・ゾクゾクして面白かったんですが、「毛皮のヴィーナス」は演出家と役者のからみはともかく、最後超越した存在が出てくるのが普遍性がある話にみえずあまり好みではなかったです。
とはいえ、「毛皮のヴィーナス」のかけあいも「監督も役者も流石一流だな!」という上手さでした。特に、演出家に見下されれ、オーディションを懇願して受ける役者が、演出家の意図以上に演じ驚きを与えるも、演じた後に「これって、女性差別だよね!」と文句を言うあたりが面白かった。演技から批判まで、隔たりないテンポで演じてるのに、女優側の発言も演出家側の驚きと怒りが分かるのに演技が上手いなぁって思いました。誰よりも自分の意図を汲んで表現してくれる存在から、その表現内容について否定的な意見をぶつけられたら、この映画の演出家みたいに歓喜と憎悪で感情が自らの意思でコントロールできなくなってしまうのもわかる気がしました。他人をコントロールするのって、感情を右へ左に揺り動かして「素」を出させて受容してあげるってことが要なのかもしれません。