2015年1月3日土曜日

毛皮のヴィーナス

そんなに分かってくれてるのになんで

監督:ロマン・ポランスキー

原題:La Venus a la fourrure
上映時間:96分
パンフレット:★★☆☆☆(720円/用語解説とかあって、勉強になる)


ポランスキー監督作品は前作の「おとなのけんか」が、上映時間79分登場人物4人とタイトながらすごい面白くて、2012年のマイシネマランキングの4位にしてました。今回の「毛皮のヴィーナス」も、場面が基本1箇所&登場人物2人とタイトな演出だったんで同様の面白さを期待しましが、正直そんなでもなかったです。
「おとなのけんか」は、最も身近な他人である夫婦の表にはなかなか現さない不満が他の夫婦と喧嘩するところで表出するところが普遍性がありヒリヒリ・ゾクゾクして面白かったんですが、「毛皮のヴィーナス」は演出家と役者のからみはともかく、最後超越した存在が出てくるのが普遍性がある話にみえずあまり好みではなかったです。
とはいえ、「毛皮のヴィーナス」のかけあいも「監督も役者も流石一流だな!」という上手さでした。特に、演出家に見下されれ、オーディションを懇願して受ける役者が、演出家の意図以上に演じ驚きを与えるも、演じた後に「これって、女性差別だよね!」と文句を言うあたりが面白かった。演技から批判まで、隔たりないテンポで演じてるのに、女優側の発言も演出家側の驚きと怒りが分かるのに演技が上手いなぁって思いました。誰よりも自分の意図を汲んで表現してくれる存在から、その表現内容について否定的な意見をぶつけられたら、この映画の演出家みたいに歓喜と憎悪で感情が自らの意思でコントロールできなくなってしまうのもわかる気がしました。他人をコントロールするのって、感情を右へ左に揺り動かして「素」を出させて受容してあげるってことが要なのかもしれません。