2014年3月7日金曜日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(115分)

監督:アレクサンダー・ペイン
原題:Nebraska
親孝行はつらいよ、でもやるんだよ。

映画内での「100万ドル当選しました!」という懸賞詐欺の手紙を信じてなにがなんでもワシントンに行こうとする父と「父ちゃんの気がすむなら・・・」と経営するオーディオショップを休んで父に付き添う息子の姿に、最近の自分と母親がかぶってしまいました。
というのも、私つい2週間前に会社からもらったリフレッシュ休暇を利用し「この機会に親孝行でも」と母とスペイン旅行に行ったのです。いや~、親孝行とはいいつつ、海外に浮かれまくる母が手にあまり、めちゃくちゃイライラしてしまいました。
ガウディ建築:カサ・ミラ邸内で「日本人いませんか~!」と突然呼びかけたり、他の日本人観光客も休憩しているお土産店のソファへ「よっこい庄一!」の掛け声とともに腰掛けて失笑を買ったり、外国人ガイドの日本語の訛りを本人の前で真似して笑いをとろうとしたりと、天真爛漫(?)な母。そんなお母さんを「恥ずかしい」と思う自分の心の狭さも嫌気がさし、親孝行の難しさを知りました。
しかし、この映画を見たら、程度の違いはあれど、どこの家族も老いた親が手にあまるのは同じなんだなと安心しました。映画の中で見られる「私の話聞いてた?」というやりとりの繰り返し、「入れ歯」など妙な忘れ物をする親に感じる老い、「やれない」ことを「やれる」と言い張る親の意地、身に覚えのあることばかりでした。
そして、“Prize Winner”の帽子をかぶり「トラック」と「空気圧縮機」を手に入れたブルース・ダーンのなんともいえない喜びの表情を見たら、手にあまるとはいえ親を喜ばせようとその願いを叶えようとすることは悪いことじゃないんだなと思いました。母が望むのであれば、私も母に“Prize Winner”の帽子をかぶせて故郷をドライブさせてあげよう。次の旅行があれば、そういう寛容さを持って母を見守れますように。