2014年3月29日土曜日

アナと雪の女王(102分)

監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
原題:Frozen

出会って1日で婚約するスキル

字幕・3Dで鑑賞しました。途中までは定番のおとぎ話的ストーリーテリングを裏切ったとんがった話かなと思ったのですが、終盤色々都合良くうまくいきすぎてなんだかまるくおさまった印象を持ちました。
「これは普通のおとぎ話とは違うのかな」と思ったのは、まず姉エルサの力が「何者か」によってもたらされたモノではなく生まれつきの才能であったこと。特別な才能がとらえようによっては呪いにもなるということがひしひしと伝わってきました。そして、それまでその能力をおさえようと努力してきたエルザが「let it go」の歌とともに力を解き放つシーンには、才能を思うがままに発現させる行為自体に内包される喜びを感じました。
また、アナと婚約する王子の裏切りも、「これは普通のおとぎ話ではないよ」という意地悪さを感じてよかったです。王子に怪しさを感じつつも、凍る心臓を溶かすためキスを求めるアナに「恋する相手が他にいないとはかわいそうだね」とキスを断るのは、序盤の出会いの歌唱シーンから考えると「まさか!」という感じでした。「シンデレラ」や「白雪姫」などのおとぎ話に異を唱えているようにも見える「出会って1日しかたってない相手との結婚は危険」という帰結は、現代的に感じました。ただ、王子は「愛に飢えていたキミをおとすのは簡単だった」っていうけど、あまりにも長く愛に飢えてると愛にうたぐり深くなってさすがに出会って1日では落とせない気もします。アナはまだ若いから、人を信じやすいんだね。
アナの呪いが異性愛ではなく姉妹愛によって解かれるのはボーイミーツガールよりも重要な関係性を感じてよかったのですが、エルサがこれまでコントロール出来てなかった雪の力を「そうよ、愛よ!」といいながら自由自在に操れるようになるのは「急にうまくいきすぎ」てしらけてしまいました。
雪だるま:オラフの夏に憧れる歌唱シーンには、ディズニー映画「プリンセスと魔法とキス」のホタルの哀しくも美しい最期を思い出し「願いが叶ったら、死ぬヤツや!」とうっすら期待してたのですが、万能化したエルサの手によって憧れの夏になっても都合よく彼にだけ雪雲が。。。最後うまくいきすぎで、なんだか物足りない気分になってしまいました。
短編映画「ミッキーのミニー救出大作戦」は、3Dである必然性があって楽しかったのですが、映画というよりディズニーランドのアトラクションみたいで「まぁ、コレは別に映画館で見なくてもいいか」と思ってしまいました。「トイストーリー3」についていた短編「DAY&NIGHT」のようなうまい3Dの使いと映画的感動がある短編をまた是非みたいし、期待してます!