2014年3月15日土曜日

それでも夜は明ける(134分)

監督:スティーブ・マックイーン
原題:12 Years a Slave
生きるため繰り返す、見て見ぬふり

スティーブ・マックイーン監督は前作SHAMEから2作目の鑑賞でした。
原題が“12 Years a Slave”だと知っていたし、劇場予告も見ていたので「奴隷生活を描いた映画なんだろうな」と重いテーマでありながら自分自身とは遠い話だととらえていました。しかし、実際は映画で描かれている出来事は「自分にはふりかかったことのない遠いこと」でありながら、場面場面の登場人物たちの心情は身に覚えのあるものだと感じました。 
特に身に覚えのある感情を感じたのは、主人公:ソロモン・ノーサップが初めに奴隷として仕えたフォード家の大工に逆らったことによりうけたリンチのエピソード。首を木にくくられ、あわや死ぬ寸前だったところを監督官が大工たちを追い払いソロモンは命を取り留めます。しかし、ソロモンはギリギリ足がつくところでそのまま木に首をくくられたまま放置され、周りにいる白人の使用人も黒人の奴隷もソロモンを見て見ぬふりして「自分の仕事」をします。引きの絵で長尺で撮られるこのシーンに、自分のサラリーマン生活を重ねてみてしました。人事異動や解雇も、自分にふりかからなければ「自分の仕事」をするだけ。「我関せず」が、その場では一番生きやすい。奴隷もサラリーマンも、生きるためにする選択はとても似ていると感じました。 
今回の映画「それでも夜は明ける」で、製作者に名を連ね出資に大きく協力したブラッド・ピットが超好感度のあがる役を演じたことに、ついつい「おい、お前!ズルイ!」って思ってしまいました。
同じく黒人奴隷を描いた映画「ジャンゴ」で超下衆野郎を演じたディカプリオが、今年また「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(こちらも下衆野郎を好演)でオスカーを逃したことも思い浮かび、「それでも、下衆野郎(を演じる)ディカプリオが好きだ!」とディカプリオ愛が映画終盤に突如盛り上がりました。レオ様、らぶ。