監督:山下敦弘
上映時間:103分
パンフレット:★★★★☆(720円/舞台となったカスミの家のレイアウトやポチ男ノートの抜粋等細かい設定資料がのってます。監督と彼との対談で、渋谷すばるの歌が中心にすえられた映画であることがよく分かります)
山下敦弘監督は「苦役列車」「もらとりあむタマ子」と好きな作品が続いていたし、味園ユニバースも先日そこで行われたアイドルグループEspeciaのリリースパーティイベントの様子をSNSで見てすごい興味が沸いていたので、この作品もかなり期待して見にいきました。
上映時間:103分
パンフレット:★★★★☆(720円/舞台となったカスミの家のレイアウトやポチ男ノートの抜粋等細かい設定資料がのってます。監督と彼との対談で、渋谷すばるの歌が中心にすえられた映画であることがよく分かります)
山下敦弘監督は「苦役列車」「もらとりあむタマ子」と好きな作品が続いていたし、味園ユニバースも先日そこで行われたアイドルグループEspeciaのリリースパーティイベントの様子をSNSで見てすごい興味が沸いていたので、この作品もかなり期待して見にいきました。
しかし、あることが気になってあまり楽しめなかったです。そのあることとは、「いったい「いつ」が舞台の映画なのか」ということ。この映画、主人公を演じる渋谷すばるが刑務所を出所するシーンからはじまるのですが、彼を迎えに来る昔のツレ、そして記憶喪失になった彼を囲むライブ打ち上げ中のバンド赤犬メンバーと、序盤、携帯を使うシーンがまったくないのです。「不特定多数の人がだべるシーンで携帯がないのは不自然だし、これは20年以上前の話なんだろうな~」と思ってみてました。途中、カラオケシーンでスピッツ「チェリー」が歌われたので、「つーことは1990年代後半なのかな?」と思ってたら、映画が1時間以上経過してから、カレンダーを指して「あれから2年たつけど、時が止まったまま…」とかいうくだりで明確に時が判明。って、カレンダー2012年だから、2014年舞台の映画じゃないかよ!それ、去年のことだよ。。。
映画後半になって、ちょこちょこガラケーは出てくるんですけど、スマホ所有者ゼロの2014年。。。おそらく、味園周辺のレトロな雰囲気を守るために、現代的ガジェットの絵は控えたんでしょうが、そんなんなら、後半になって急に日時を明確に述べるのはやめたらよかったのに。カレンダーで示された今現在感が薄いことがノイズになって、「なんかこの映画、変!居心地悪い!」っていう気持ちがとまんなかったです。2014年の話だったら、渋谷すばるがマイクを奪って「古い日記」を熱唱した時点で観客がスマホで撮影して、SNSで拡散の世の中だと思う。とにかく、あれは2014年じゃなかった。なぜ、2014年ということにしたのか謎でならない。1997年くらいの話ならまだ納得できるのだけど。最後、ヒロイン役の二階堂ふみの「しょうもなっ!」っていう言葉で映画が締められるのですが、居心地の悪さに私もエンドロール後「しょうもなっ!」って声に出してつぶやいてしまいました。(感想書き終わった後、予告編見たら、予告編冒頭で”2014年大阪”って出てきてた。。。本編でもそれ出してほしかったわ)
各シーンの絵は非常に美しい映画だけに、小さなことにひっかかってしまったのが残念でした。役者さんの演技も、生ライブシーンの迫力も、あたたかい食事シーンも、とてもよかったと思います。記憶喪失の男が、アルツハイマーの老人と共同生活をするとか、自分の息子に会いに行ったら自分が父親であることが忘れられているとか、さまざまな記憶に関する欠損が描かれていることとかも興味深かったです。最後、記憶を取り戻した渋谷すばるがステージで歌うシーンは、「腐ったような過去や自分しかいなくても、やれる!」というメッセージも受け取れました。