2015年4月30日木曜日

2015年4月に見たいくつかの映画

4月はブログに感想を書いた映画4本以外に、新作映画2本「フォックスキャッチャー」「チョコリエッタ」を見ました。(合計6本鑑賞)

思い返すと、アイドルDD会というクラブイベントでハロプロ賛歌ラップを新作としてやったため、その練習で月の前半はとても忙しかったです。でも、本番では息が切れまくって、不完全燃焼でちょっと残念だった。ラップしながら、踊ると息が切れるという発見。(下記暗くてまったく目視できないラップ動画)

「フォックスキャッチャー」は、ムービーウォッチメンの見逃し作品。友達に車に乗せてもらって一緒に見にいったら、めちゃくちゃ渋滞していて映画の上映時間に遅れかけ、駐車場から映画館まで今年イチのダッシュを決めることになりました。
デュポンの御曹司とシュルツ弟が一度は利害関係と心情が噛み合っていただけに、シュルツ兄がチームに呼ばれた後に関係性が崩れていく描写がひりひりした。この作品を今年の暫定一位とうたう、宇多丸さんの評「正しさが人を救わない時もある」という表現が印象的でした。
「チョコリエッタ」は、シネマテーブルで原作者と監督を呼ぶというわりと珍しいイベントが開催されたため、それに参加するために鑑賞。原作にはない要素として「2011年の震災をまたがった世界にした」という部分を、原作者と監督がいるイベントのなかでお話がきけたのが面白かった。大きな喪失感をもった主人公に、社会の喪失を沿わして描いたことで青春映画として主人公の心情の味わいが薄れたように個人的には感じましたが、でも、何か取り込みたい要素のために映画監督が頑張るというケースがあるんだなというのが作り手の声を生で聴くことで生々しく感じられました。

フォックスキャッチャー
監督:ベネット・ミラー
原題:Foxcatcher
上映時間:135分
ぼく、ブラコン。おれ、マザコン。

チョコリエッタ
監督:風間志織
上映時間:159分
原作にないがある理由

2015年4月23日木曜日

セッション


鬼コーチじゃないよ、鬼だよ

監督:デイミアン・チャゼル
上映時間:107分
原題:Whiplash
パンフレット:720円★★★☆☆(監督インタビューを読むと、自らの体験をベースにした映画だということがよく分かる)

WOWOWでアカデミー賞受賞式のまとめ番組みたいなのを見ていたので、助演男優賞を受賞しているこの作品も「すげー怖い先生の音楽映画」という情報くらいは知った状態で見にいきました。映画を見終わったあと、身体がこわばり大変な疲労感を感じました。この疲労感、最近だと「アメリカン・スナイパー」を見た時の感覚に似てました。この映画、まるで戦争映画のような緊張感がありました。
私は女性アイドルが好きなのですが、その特典映像とかドキュメンタリー映画とかでたまに見られる「アイドルがレッスンで先生にしごかれる」というシチュエーションが見ててハラハラし、そしてすごい好きだったりします。今年上映された「アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48」での「牧野アンナ先生による「ピノキオ軍」のレッスンの際、松井怜奈が途中で倒れるも他のメンバーがまったく声をかけない」シーンとか、常軌を逸したがんばりにヒヤヒヤしつつ「やっぱり、常人の届かないところに手を伸ばす&伸ばさせる閉じた世界すげえ」と胸がドキドキして目が離せなくなります。この「セッション」もそういう異常なしごきと頑張りが見られて、個人的嗜好が満たされました。一番お気に入りのしごきシーンは1・2・3・4カウントでビンタを張って、テンポを取らせるところ。他人事だから「そりゃねぇわ」って笑い事のようにも思えるけど、これ我が身に振りかかってきたら映画の自殺エピソードよろしく鬱病になってしょうがないと思う。
ニーマンが学校を退学になりフレッチャー先生が先生を辞めた後、2人がジャズバーでばったり会いフレッチャーがチャーリー・パーカーのエピソードを語り、しごきも「至高のステージを目指すには、必要悪なのかも」と思わせたあとで、フレッチャーがニーマンを自分のバンドに誘い、そしていよいよ本番の演奏でフレッチャーが「学校にチクったのお前だろ!」と言ってニーマンに提示してたのとは違う曲を演奏するという、「鬼コーチが、たんなる鬼というか人非人」だったという真実が提示されるところに、くらくらきたしいままで見えてなかったものが見えた思いがしました。夢が叶うかもしれないという人参をぶら下げられることにより、師に妄信するのって危険。つーか、やっぱり何かを疑いなく妄信するのは危ない。しかし、妄信によって異常に頑張れるというのもまた事実。終盤のクライマックス、舞台の上でもってフレッチャーとニーマンの関係性がかわっていくところも面白かった。この後の2人の未来が明るいようには思えないけど、あの瞬間には2人の間に快感をもって通じ合うものがあったように感じました。

2015年4月18日土曜日

エイプリルフールズ

監督:石川淳一
上映時間:120分
パンフレット:720円(★★★★☆各ストーリーが漫画風に写真解説されてて分かりやすい。製作者インタビューを犯人探しのような目で読んでしまう)

SEX依存症なら、ちゃんと避妊しよう

ポスター・宣伝・製作スタッフ情報を見て、「この映画はヤバそうだ(悪い意味で)」という予感はあったのですが、ムービーウォッチメンの課題映画になったので泣く泣く鑑賞。残念ながら、予想通りのつまらなさで「ジュピター」に続きやっぱり悪い予感がする映画はたいていつまらないんだなぁって再確認してしまった。宇多丸さんが1万円払って回避したウッディ・アレン監督「マジック・イン・ムーンライト」見てないけど、そっちのが絶対面白かったろうなぁ。1万円もったいないし、つまんないし、なんかすげー世の不条理を感じました。
古沢良太のオリジナル脚本がこの映画の売りのようでして、その「エイプリルフールの日に様々な嘘を元に起こる群像劇」というアイデアはたしかに面白いと思います。ですが、個々の話が多少重なるという描かれ方はしてたんですが、1つ1つの話が最後にひとつの大きな話に帰結していくというダイナミズムがなくて群像コメディとしては残念でした。
あと、同脚本作品「キサラギ」でも感じた悪いところをこの作品でも感じて、古沢良太脚本作品ってそういう手癖の悪さがあるんだなって思いました。その手癖の悪さは、おおきく2つあって、1つは後出しジャンケン的伏線回収。そして、もう1つが温かい視線なしで無神経にマイノリティを笑いにするところです。
今回の後出しジャンケン的伏線回収は、寺島進が持っていた拳銃が戸田恵梨香の手に渡っていたというもの。終盤に回想シーンが挿入され、寺島進・戸田恵梨香の2人が同じラーメン屋で食事をしており、たまたま同じカバンだったため、カバンが第三者の手で意図的に入れ替えられたということが判明するんのですが、その回想シーンが挿入されるまでは戸田恵梨香が普通に拳銃持ってたのかのように見えて、そのネタばらしを見ても、「この脚本うまい!」とは感じられず、「そんなこと知らねーよ、ズルいよ」という感じでしらけます。
あと、温かい視線なしで無神経にマイノリティを笑いにする箇所は、対人恐怖症・SEX依存症・ゲイ・SEXワーカーの女性など、、、「きっとこうなんでしょうね~」っていう軽い感じで作中に取り入れ、「普通の人は笑ってくださいね~」って感じで描いてるのがムカムカします。私はアイドルオタクなので、「キサラギ」時のオタク描写もムカついたんですが、この人アイドルオタクだけじゃなくてどのマイノリティも記号的な認識しかしてないんだなと感じました。
唯一よかったところは、戸田恵梨香の出産シーンが彼女の演技力で真に迫ってみえたところ。あんまり認識なかったんですが、戸田恵梨香って演技うまいんですねぇ。あ、あと奈々緒の「うそピョーン」には、クールな外見とのギャップと手足の長さからくるダイナミックさがあってよかったです。壁紙にしたくなる絵柄。
あ、あとこれも大切なことなので書いとこっと。SEX依存症の松坂桃季と1回だけSEXした戸田恵梨香が妊娠するというエピソードがあるのですが、男側も女側ももし自分にSEX依存症という自覚があるならちゃんと避妊しろといいたい。なんなら、岡田斗司夫を見習ってパイプカットすべき!

2015年4月9日木曜日

劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!

腕と腕をつないで、ひとつになる特訓

監督:坂本浩一
上映時間:63分
パンフレット:620円(★★★★★/ストーリーを解説するために写真が効果的に活用されてて面白い。坂本監督の笑顔が素敵)

ウルトラマンを見るのは、シネマハスラーで扱った「ウルトラマンサーガ」以来で3年ぶりでした。相変わらずウルトラマンが何者なのか、ウルトラマンIQ低いままで鑑賞しました。(どこかの星の宇宙人が人間に憑依しているという理解でいいのかな...)
63分という短い尺の中に、色々な試練とアクションが詰め込まれていて楽しかったです。余分な人間ドラマがなくて、アクションが続くのが疾走感あって気持ちよかった!
ウルトラマンのアクションシーンも特撮の積み重ねてきた歴史を感じられるモノで楽しかったです。あきらかに人間がはいっていることが分かるフォルムのものが真剣に戦っている姿には胸を打たれます。
人間を演じる男性キャラクターはわりとシュッとした細面で見た目の印象が似ている感じがしたのですが、女性キャラクターはバラエティに富むカワイイが詰まっていてよかったなぁ。鏡の女戦士を演じるアレーナのアジアンチックな脇だけ見える衣装、妙にエロくてよかった。その姿でのアクションシーンは眼福でした。ごちそうさまです。でんぱ組最上もがさんのアンドロイド役も演技には見えないはまりっぷりでした。テレビシリーズも見たくなりました。
あと、やっぱり映画の中での特訓シーンって面白いなと再確認しました。ヒカルとショウがフュージョンしてウルトラマンビクトリーになるための、腕輪で繋がれた状態でランニングとか腹筋とか岩登りとかする特訓の絵面の素晴らしさ!腐女子ならずとも、これは萌える...萌える特訓でした。ラッパーとかもこういう特訓を2MCでやったら息があっていいのかな。どうでしょうか?成果のほどはともかくとして、宇多丸さんとDさんが腕をつながれて、ラップしていたらやっぱり萌えますね!

2015年4月4日土曜日

ジュピター

ナプキンの粘着面を傷口にぎゅっ

監督:アンディ・ウォシャウスキー/ラナ・ウォシャウスキー
原題:Jupiter Ascending
上映時間:127分
パンフレット:★☆☆☆☆(720円/パンフレットの出来としては普通なのだけど、映画が糞つまらないため読んでるうちに腹が立ってくる)

予告編を見かけた時「これは面白くなさそうだ」と悪寒がしたのですが、実際見てみたら予想以上につまらなくてビックリ。マトリックスから16年の間、ウォシャンスキー姉弟は何を見て過ごしていたのか。こんなの映像革命でもなんでもないし、つまらない。
パンフレットを読むと、リブートでもシリーズでも原作物でもないオリジナル脚本がこの映画の売りみたいですが、ぜんぜんオリジナリティを感じませんでした。そういうオリジナリティを自慢するのは、「ベイマックス」とか「レゴムービー」レベルにまで洗練されていないと失敗をチャレンジ精神でごまかした言い訳っぽくてかっこ悪いと感じました。(あと、つまらない映画のパンフレットを読むと、いかにもこの映画が面白いという態で記事が書かれているので、すごいイライラしてくるという発見があった。イライラエンタメを感じたい人にはオススメ)
つーか、オリジナルティを感じないからといって見やすい話というわけでもないし、とんがったところがあって見難いというわけでもなくて、脚本も映像もとっちらかっちゃってるせいで2時間がしんどくて、途中で映画館出たくなるレベルでした。映画終わった後に友達に会ったのですが「今日見た映画、つまらなかった」と伝えたら、逆に興味をもたれたので「目がつぶれるから、見るな!」と嘘を付いてまでとめてしまいました。
予告編見て面白そうだなと思った「収穫(ハーベスト)」の現象を見せなかったのが本当にダメだと思う。がらんどうになった星を見せて、「痛みはないそうよ」「残酷だね」なんて言ってるのを見せるだけって、映画にする意味あるのかコレ。「これなら、ガッチャマンのが面白いな」って思うくらいつまんなかった。「レンタネコ」よりは許せる。
話が見ているうちから頭から抜け落ちてしまい、あまり覚えていないのですが、まあ印象的だったのは、ストーリーを少し脱線したコメディっぽいところ。チャニングテイタムの傷をミラクニスが生理用ナプキンで止血したとことか。しかも、テープ部分を傷に貼り付けてたから、取り外す時すごい痛そうだった。テープ面が傷口側だと、血を吸収しないような気がするんだけど、どうなんでしょう。
あと、特に恋愛感情あるように見えなかったのに、王位後継者だという事実の判明した後、ミラクニスがチャニングテイタムに欲情しはじめたのが、権力を持ったゆえのパワハラ&セクハラっぽくて恐ろしかった。あ、これミラクニスではなくもっとお年寄りの設定だったら面白かったかも。ジュリアン・ムーアとか。