2015年8月15日土曜日

インサイド・ヘッド

どの感情も、なかったら困る

監督:ピート・ドクター/ロニー・デル・カルメン
原題:Inside Out
上映時間:94分
パンフレット:720円(★★☆☆☆:ピクサー作品年表に世界興収も併記してあって便利。ナンバー1は、「トイ・ストーリー3」の10.6億ドル)

2009年の「カールじいさんの空飛ぶ家」以降は、ピクサー製作作品は抜けなく全部劇場鑑賞しているのですが、今回はピクサー長編アニメーション20周年記念だけあって完成度が高いというか非のつけどころがない作品でした。非のつけどころがなさすぎて、逆にちょっとキュートじゃないよね・・・っていうことが非かなっていう感じ。「カーズ2」「メリダとおそろしの森」「モンスターズ・ユニバーシティ」と直近3作のピクサー作品は水準は高いものの完璧っていう感じではなかったんですが、これは「トイ・ストーリー3」ぶりひさびさにきたピクサーの完璧作品だと思います。ただ「カールじいさんの空飛ぶ家」や「トイ・ストーリー3」にはあった訳ありの悪役がいない分、この2作品に比べると「悪役側にも一理あるんだけどねぇ」っていう振り幅が減っていて映画としての魅力がかけている気はします。
「インサイド・ヘッド」、頭の中でヨロコビ・ムカムカ・イカリ・ビビリ・カナシミという感情の素が人格を持っていて彼らが協議した上で宿主の成長を見守るっていうのが見てて楽しかったし、映画が終わったあとも自分の心の中で起こっていることを映画の映像に置き換えて考えることが出来て、子供の心身の健康に役立ちそうな映画だなぁって思いました。学校の教材にしたいくらい。他にも、特別な思い出で性格の島が出来て宿主の性格を決めるとか、記憶が失われる仕組みとか、夢製作の裏側とか、こわい物の取り扱いとか、心でおこっていることがビジュアルとして分かりやすかった。アルツハイマーの人の心の中ではどういうことが起きているのかとかも見たいな~。この映画のイメージで置き換えれたら、前向きな意味合いでアルツハイマーについて考えることが出来そう。あと、私はとても面倒くさがり屋なので、ナマケっていう感情も作ってほしかったな。単純に自分のために見たかった。
作品そのものの質とは関係ないけど、ドリカムが歌うオープニングの日本版オリジナルテーマソング「愛しのライリー」をバックに映しだされる一般人が本当にきつかったですね。なにかのキャンペーンか公募をしたんだろうけど、映画館のスクリーンで一般人の技術で撮影した一般人の姿をうつしちゃダメ、ほんと。「なぜこの企画を通した?」「なぜキミたちの姿がうつってる?」と見知らぬ誰かへの嫌悪感で、ちょっとムカムカがとまんないやつでした。そのムカムカをおさめるのに、今回はディズニーやピクサーお約束の本編とは関係ない短編アニメーションが本当にありがたかった!「南の島のラブソング」はそんなに面白くなかったけど、あれのおかげで少し心を落ち着け集中力をとりもどして「インサイド・ヘッド」本編に臨むことが出来ました。(あ、これ、もしかして、「短い時間に様々な、心の動きを感じ取って!」というメッセージだったのかな)