2014年3月31日月曜日

2014年3月に見たいくつかの映画

今月はブログに感想書いた映画5本、プラス3本。合計8本鑑賞しました。

軽く楽しめそうと思って気軽に見に行った「ドン・ジョン」がすごい面白くて、ブログに感想書きたいなーと思ってたけど、結局書く前に月末をむかえてしまいました。監督・主演としてこれが撮れるジョセフ・ゴードン=レビットはそうとうモテるんじゃなかろうか。ええ、やさ男や。(この映画、男の人の感想もきいてみたいので、だれか見たら教えてください)

あと、めっちゃ期待して見に行った「パズル」がぜんぜんピンとこなくて、残念でした。同監督の「先生を流産させる会」はすごい好きなんだけどなぁ。



 ダラス・バイヤーズ・クラブ

やせても太っても、イイモノはイイ

監督:ジャン=マルク・バレ
原題:Dallas Buyers Club



ドン・ジョン

「SHAME」と続けて見てみたい

監督:ジョセフ・ゴードン=レビット
原題:Don Jon



パズル

ピースはまらず、どっかんピンとこず

監督:内藤瑛亮

2014年3月29日土曜日

アナと雪の女王(102分)

監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
原題:Frozen

出会って1日で婚約するスキル

字幕・3Dで鑑賞しました。途中までは定番のおとぎ話的ストーリーテリングを裏切ったとんがった話かなと思ったのですが、終盤色々都合良くうまくいきすぎてなんだかまるくおさまった印象を持ちました。
「これは普通のおとぎ話とは違うのかな」と思ったのは、まず姉エルサの力が「何者か」によってもたらされたモノではなく生まれつきの才能であったこと。特別な才能がとらえようによっては呪いにもなるということがひしひしと伝わってきました。そして、それまでその能力をおさえようと努力してきたエルザが「let it go」の歌とともに力を解き放つシーンには、才能を思うがままに発現させる行為自体に内包される喜びを感じました。
また、アナと婚約する王子の裏切りも、「これは普通のおとぎ話ではないよ」という意地悪さを感じてよかったです。王子に怪しさを感じつつも、凍る心臓を溶かすためキスを求めるアナに「恋する相手が他にいないとはかわいそうだね」とキスを断るのは、序盤の出会いの歌唱シーンから考えると「まさか!」という感じでした。「シンデレラ」や「白雪姫」などのおとぎ話に異を唱えているようにも見える「出会って1日しかたってない相手との結婚は危険」という帰結は、現代的に感じました。ただ、王子は「愛に飢えていたキミをおとすのは簡単だった」っていうけど、あまりにも長く愛に飢えてると愛にうたぐり深くなってさすがに出会って1日では落とせない気もします。アナはまだ若いから、人を信じやすいんだね。
アナの呪いが異性愛ではなく姉妹愛によって解かれるのはボーイミーツガールよりも重要な関係性を感じてよかったのですが、エルサがこれまでコントロール出来てなかった雪の力を「そうよ、愛よ!」といいながら自由自在に操れるようになるのは「急にうまくいきすぎ」てしらけてしまいました。
雪だるま:オラフの夏に憧れる歌唱シーンには、ディズニー映画「プリンセスと魔法とキス」のホタルの哀しくも美しい最期を思い出し「願いが叶ったら、死ぬヤツや!」とうっすら期待してたのですが、万能化したエルサの手によって憧れの夏になっても都合よく彼にだけ雪雲が。。。最後うまくいきすぎで、なんだか物足りない気分になってしまいました。
短編映画「ミッキーのミニー救出大作戦」は、3Dである必然性があって楽しかったのですが、映画というよりディズニーランドのアトラクションみたいで「まぁ、コレは別に映画館で見なくてもいいか」と思ってしまいました。「トイストーリー3」についていた短編「DAY&NIGHT」のようなうまい3Dの使いと映画的感動がある短編をまた是非みたいし、期待してます!

2014年3月21日金曜日

ロボコップ(117分)

監督:ジョゼ・パジーリャ
原題:RoboCop
ああいう絵が飾ってある会社を信用してはいけない

元祖「ロボコップ」はテレビ放送を子供のころ見たおぼえがありますが、「瀕死の警官が改造されてロボット警官になる」というやんわりとしたストーリーしか覚えていません。ただ、ものすごく面白い映画だった記憶があります。オリジナルをあんまり覚えていないのですが、今回の新作「ロボコップ」はよくもわるくも普通の映画でした。ストレスなく見ていられるのですが、「あのロボコップの新作!」という看板の期待値に遠くおよんでいないように感じました。

鑑賞後ふりかえると、主要登場人物のキャラクターが薄くて「あいつ、よかったな!」ってのがキャスター役のサミュエルLジャクソンくらいしか思いあたらなくて残念でした。また、場面場面で登場人物の意思決定基準がズレているような気がし、感情移入がしずらかった。
科学的に考えるとありえないロボコップのプログラムを乗り越えるくだりも、わりとあっさり「そーゆーこともあるのねぇ」という描写で「その問題を乗り越えた意味の大きさ」が把握しずらかったです。
総合的な映画の出来が普通といっても、すごく好きなところもありました。
まず、オープニングがかっこいい。オープニングMGMのライオンのロゴをバックに、サミュエルLジャクソンの唇をふるわす音が聞こえきて、そのまま彼がキャスターを務める報道番組が始まる。「なにか面白いことがはじまる!」という期待感が高まるすごい良いオープニングでした。
また、これはとても重要なことだと思うのですが、ロボコップのルックがとてもかっこよかった。研究所の中でプラグみたいなのにつながれてる姿も、バイクでデトロイトをかっとばす姿も見た目がかっこいい。中国の工場・田んぼを疾走するロボコップもよかったです。赤く光るヘッドのライン、好きです。そのクールな見た目に、もどかしさを感じる「うぃーん、うぃーん」という動作音が組み合わさるのも楽しかった。
あと、オムニコープ社に飾られている意味のわからない現代美術絵が「この会社の胡散臭さ」をよくあらわしててよかった。会議室にあんな絵を飾ってる会社はダメだ!

2014年3月15日土曜日

それでも夜は明ける(134分)

監督:スティーブ・マックイーン
原題:12 Years a Slave
生きるため繰り返す、見て見ぬふり

スティーブ・マックイーン監督は前作SHAMEから2作目の鑑賞でした。
原題が“12 Years a Slave”だと知っていたし、劇場予告も見ていたので「奴隷生活を描いた映画なんだろうな」と重いテーマでありながら自分自身とは遠い話だととらえていました。しかし、実際は映画で描かれている出来事は「自分にはふりかかったことのない遠いこと」でありながら、場面場面の登場人物たちの心情は身に覚えのあるものだと感じました。 
特に身に覚えのある感情を感じたのは、主人公:ソロモン・ノーサップが初めに奴隷として仕えたフォード家の大工に逆らったことによりうけたリンチのエピソード。首を木にくくられ、あわや死ぬ寸前だったところを監督官が大工たちを追い払いソロモンは命を取り留めます。しかし、ソロモンはギリギリ足がつくところでそのまま木に首をくくられたまま放置され、周りにいる白人の使用人も黒人の奴隷もソロモンを見て見ぬふりして「自分の仕事」をします。引きの絵で長尺で撮られるこのシーンに、自分のサラリーマン生活を重ねてみてしました。人事異動や解雇も、自分にふりかからなければ「自分の仕事」をするだけ。「我関せず」が、その場では一番生きやすい。奴隷もサラリーマンも、生きるためにする選択はとても似ていると感じました。 
今回の映画「それでも夜は明ける」で、製作者に名を連ね出資に大きく協力したブラッド・ピットが超好感度のあがる役を演じたことに、ついつい「おい、お前!ズルイ!」って思ってしまいました。
同じく黒人奴隷を描いた映画「ジャンゴ」で超下衆野郎を演じたディカプリオが、今年また「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(こちらも下衆野郎を好演)でオスカーを逃したことも思い浮かび、「それでも、下衆野郎(を演じる)ディカプリオが好きだ!」とディカプリオ愛が映画終盤に突如盛り上がりました。レオ様、らぶ。

2014年3月7日金曜日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(115分)

監督:アレクサンダー・ペイン
原題:Nebraska
親孝行はつらいよ、でもやるんだよ。

映画内での「100万ドル当選しました!」という懸賞詐欺の手紙を信じてなにがなんでもワシントンに行こうとする父と「父ちゃんの気がすむなら・・・」と経営するオーディオショップを休んで父に付き添う息子の姿に、最近の自分と母親がかぶってしまいました。
というのも、私つい2週間前に会社からもらったリフレッシュ休暇を利用し「この機会に親孝行でも」と母とスペイン旅行に行ったのです。いや~、親孝行とはいいつつ、海外に浮かれまくる母が手にあまり、めちゃくちゃイライラしてしまいました。
ガウディ建築:カサ・ミラ邸内で「日本人いませんか~!」と突然呼びかけたり、他の日本人観光客も休憩しているお土産店のソファへ「よっこい庄一!」の掛け声とともに腰掛けて失笑を買ったり、外国人ガイドの日本語の訛りを本人の前で真似して笑いをとろうとしたりと、天真爛漫(?)な母。そんなお母さんを「恥ずかしい」と思う自分の心の狭さも嫌気がさし、親孝行の難しさを知りました。
しかし、この映画を見たら、程度の違いはあれど、どこの家族も老いた親が手にあまるのは同じなんだなと安心しました。映画の中で見られる「私の話聞いてた?」というやりとりの繰り返し、「入れ歯」など妙な忘れ物をする親に感じる老い、「やれない」ことを「やれる」と言い張る親の意地、身に覚えのあることばかりでした。
そして、“Prize Winner”の帽子をかぶり「トラック」と「空気圧縮機」を手に入れたブルース・ダーンのなんともいえない喜びの表情を見たら、手にあまるとはいえ親を喜ばせようとその願いを叶えようとすることは悪いことじゃないんだなと思いました。母が望むのであれば、私も母に“Prize Winner”の帽子をかぶせて故郷をドライブさせてあげよう。次の旅行があれば、そういう寛容さを持って母を見守れますように。

2014年3月1日土曜日

エージェント:ライアン(106分)


 

監督:ケネス・ブラナー
原題:Jack Ryan: Shadow Recruit
ディナーは割り勘で

予告編を見て新たな捜査官モノかと思っていたのですが、鑑賞後映画の情報を見て過去にもエージェント:ライアンシリーズがあったことを知りました。過去作タイトルのうち「レッドオクトーバーを追え!」は見たことあるような気がしますが、潜水艦を追いかけるということ以外何も記憶にありません。この「エージェント・ライアン」は凄腕捜査官誕生前日談だったのでシリーズの知識がなくても見易かったですが、残念ながら映画全般あまり惹きつけられる場面がありませんでした。


あまりノレなかったのは、大きく3つ理由からかと思います。
まず、1つ目はライアンが海軍&CIAに所属することになる動機。「強い愛国心」がその動機になるのかと思うのですが、映画の彼はそんな愛国心の強い人間に見えなかったです。留学先ロンドンにて911事件のニュース映像を見るシーンだけでは、そこまで「強い愛国心」を持っていると思い図ることが出来ませんでした。
2つ目は、ロシア側の攻防のさじ加減のバランスが悪さ。監査しにきたライアンをホテルまで案内したボディガードが殺そうとしていたくせに、翌日にはライアンを会社に招きいれていたし。ナイフ一突きで邪魔者を躊躇なく殺してきたチェレバンの息子が、バイクで追いかけてきたライアンにとどめをさそうとしなかったのも、肝心な時に爪が甘すぎると思いました。
そして、3つ目。これがなによりも大きい理由なのですが、ヒロイン役キーラ・ナイトレイになんだかイライラしてしまったこと。ロシアまで追し掛けきてホテルでライアンを詰問するとことか、私ならグーで殴ってしまいかねない憎憎しさでした。「危険なメソッド」のような精神を病んだヒロイン役はキーラ・ナイトレイにとても合うと思うのですが、この作品では「ライアン・・・なんで、こいつに恋をした」と疑問に感じてしまいました。このキャストで続編が作られたとしても、クリス・バインとキーラ・ナイトレイのカップリングはもう見たくないなぁ。