2015年9月19日土曜日

カリフォルニア・ダウン


大災害発生、その時、即職場放棄する勇気

監督:ブラッド・ペイトン
原題:San Andreas
上映時間:114分
パンフレット:720円★★☆☆☆(写真はけっこうイイのが使われてる。サンアンドレアス断層が実際に起こした地震データがのっているが興味深い)

あまり前情報はもたず「カリフォルニア、どのくらいダウンするのかな?」くらいの気持ちで映画館に行きました。大地震により想像以上にカリフォルニアがダウンして絵的なスケール感はありましたが、パニック映画の醍醐味のひとつ「人間の本質があらわれる」という部分がいまいちで物足りなかったです。昨年の「イントゥザストーム」や、一昨年の「アフターショック」は、「災害より、実は人間がこわい!」「災害で気づいた、人間の絆!」みたいなのがうまくて切羽詰まった時の人間の行動に引き込まれたのですが、この「カリフォルニア・ダウン」では人間の切羽詰まり汁的なものがあまり感じられませんでした。
あと、主人公のドウェイン・ジョンソンは迷いなくかっこいいしマッチョなので、妻と子供を失った男の哀しみがあまり伝わってこず、この話にはミスキャストだなと感じました。実際、劇中ドウェイン・ジョンソンが妻のピンチを救ったあと、過去の事件に対する思いを語り彼女に心を開いたら、速攻で妻の心のお股もかぱーって開いてチュッチュしてましたし。はじめっから、妻の心はドウェインのさじ加減次第でべつに危機的状況でなくてもうまくやれたんじゃんっていう気すらしました。そうやって考えると、96時間シリーズを筆頭にいつも家族に拝信されるお父さんを演じるリーアム・ニーソンの役者的説得力はすごいなと感じました。この「カリフォルニア・ダウン」もリーアムが主人公だったら、もっと説得力ましたはず。(というか、妻の死なない「96時間 レクイエム」になってた気がする)
この映画、地震発生直後から速攻でダムが崩れたりビルが折れたり、建造物があまりにもろくて、「私が知ってる地震と違う!」いろいろ地震描写に違和感があったのですが、一番それはどうかと思ったのは「ドウェイン・ジョンソン、すぐに職場放棄し過ぎ!」ってこと。群発地震のため公のレスキュー隊員として出動要請されたのに、一般市民はほぼ助けず家族しか救っていないという。。。その間にヘリは墜落させるは、小型ジェットは墜落させるわ、好き勝手しすぎ!しかも、その小型ジェットを手に入れるために、ぶつぶつ交換した車、、、老夫婦とアイコンタクトで「お互い良いトレードしましたな」みたいな空気だしてたけど、それさっきショッピングモールで強奪した盗難車だから!ほんと、やりたい放題しすぎ!
映画終盤、家族は救出されたものの、地震や津波のためひっちゃかめっちゃかになったサンフランシスコの街を見て、「尺もないしこの後この映画どうなる!?」って思ったら、突然星条旗がたなびいて「ゴッドブレスアメリカ」的愛国精神を感じさせ、ドウェイン・ジョンソンが荒廃した街を見つつ「また作ればいいさ」って言って終わりという。。。「アメリカンスナイパー」もそうだったけど、アメリカ映画には星条旗エンディングっていうエンディングタイプがあるんだなと今回で思い知らされました。どっちらけになった話も星条旗だしとけば成立!