2013年4月9日火曜日

シュガー・ラッシュ(101分)

監督:リッチ・ムーア
原題:Wreck-It Ralph
ゴールドメダルとは、立ち位置ゼロのことである

「完璧なピクサーが戻ってきた!」と思ったら、ピクサー看板ではなくディズニー看板のみの映画でした。“ピクサー”“ディズニー”2枚看板でなくても、これほどまでに隙がなく面白い映画を作ってしまうとはすごいなぁ、こわいなぁ。 

この映画で一番感心したのは、映画の舞台となるゲームセンターのゲーム内世界のルールが説明的ではなく物語がすすむことによって徐々に紐解かれるところ。
唯一、「自分の所属するゲーム以外で死ぬと蘇れない」というルールはソニックザヘッドによって公共広告的に説明されるのですが、それ以外のことは物語で楽しく語られていく。ターボやサイ・バグ、ゲームキャラの死とゲーム機の撤去の関係性、オープン時間までにゲームのキャラクターが戻らなかった時の表現、ゲームの中から外の人間世界がどう見えるかなど、複雑な設定をここまで楽しく物語らせるのはすごいと思いました。 
「ヒーローになれるのは各ゲーム1人だけ…だけど残りの人が自分の立ち位置で精一杯役割を果たすことでそのチームが輝く」ともとれるストーリーラインに、今年のAKBドキュメンタリー「DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」のセンター論を思い出しました。
みんながセンターを目指すが、センターに立てるのはたった1人だけ。ゲームの世界ではプログラムに逆らえないけど、現実世界ではあらかじめ決められたプログラムなどない。だから、センターと自分の差を埋めるために、ラルフのように大勢が必死にもがく。だけど、センターにならずとも高橋みなみや篠田麻里子のようにチームの中で重要な役割を果たし続けることでセンター以上にかけがえのない存在になることもある。自分の役割を見つけ、それを全力で果たし続けることとは、とても尊い行為だなと両作品で感じました。
と思ってたら、エンディングテーマをAKB担当しててちょっとビックリ。
あ、短編「紙ひこうき」は、「お前、ちゃんと働け!」と思っちゃって、私にはダメなヤツでした。つーか、書類を紙ひこうきで使い切っても、次のをまた詰めばOKなあの仕事なんだろ。