2016年4月30日土曜日

ヤクザと憲法


安全圏で扉を開ける贅沢
監督:ひじ方宏史
上映時間:96分
パンフレット:600円★★☆☆☆(監督が語るドキュメンタリーの神様の話がおもしろい)

もう1ヶ月以上前に見たんですが、感想を書かずじまいだったので少しだけ書いておきます。モーニング娘。鈴木香音さんのラジオの公開収録に当選し、その参加のために半休を取った日にちょっと時間にゆとりがあったので時間的にちょうどよかったこの映画をみました。アイドルを見る前にヤクザを見るっていうのが、シチュエーション的にワクワク感ありました。
絶対に自分では足を踏み入れないだろう世界を画面越しではあるものの間際で見せてくれるのがドキュメンタリー映画のすごいところだな~とあらためて感じさせてくれました。この映画とか近年見た中だと「アクト・オブ・キリング」とか「アルマジロ」とか、自分では絶対直接触れ合わない世界を安全圏で見れることにすごい贅沢を感じます。私はテレビではドキュメンタリーものをあんまり見ないのですが、テレビでも真剣にみればこれくらいのジリジリを感じることが出来るのかな。この作品は東海テレビ制作ですが東海テレビのドキュメンタリーは評判がいいので、テレビでも見てみたいな~って思いました。
映画の中で特に印象に残っているのは、山口組の顧問弁護士の山之内さんが自身が起訴され判決を聞きに行く際に事務員のおばちゃんがネット上で先生の「今日の運勢」を見て「占いはいいみたいだから!」と先生に明るく発破をかけていたところ。法と占いっていう組み合わせがなんか新鮮で面白かったし、おばちゃんの明るさに先生救われてるんだろうなって感じました。

2016年4月9日土曜日

ヘイトフル・エイト


ほとんど乙武くんの謎
監督:クエンティン・タランティーノ
上映時間:168分
原題:The Hateful Eight
パンフレット:880円(★★★★★タランティーノのえりぬき西部劇ランキングや過去作の説明などなど超充実してる!劇中では鮮明にはうつされないリンカーンの手紙がのってて読むと感動する)

最近、前ほど映画見ていないとはいえ「前作「ジャンゴ」が超面白かったし、タランティーノの映画は映画館で見たいよな~」と思い見に行きました。終盤に分かりやすいカタルシスがある前作「ジャンゴ」のほうが好みでしたが、「ヘイトフル・エイト」も「贅沢な映画を見たな~」という満足感でいっぱいになる映画でした。
すべての人が何かしらの偏見の気持ちを持ち、偏見を受ける側の人は自分を守るために相手を攻撃をしたり技術を使ったりするというのがよく見てとれる映画でした。一番動きがあって好きなシーンは、マーキス・ウォーレン少佐(サミュエルLジャクソン)が、老将軍に「お前の息子はオレのナニをしゃぶって死んだんだ」と侮辱し相手の怒りに火をつけて、銃を握った相手に一発ぶっこむシーン。相手を殺すことを正当防衛とするために、相手の自分に対する偏見の気持ちを逆手に取って怒らせわざと攻撃させるところが鮮やかでした。
ちなみに、この映画を鑑賞済みの友人たちと飲んだ時、友人の一人が「「ヘイトフル・エイト」は、ほとんど乙武くんだから!」と言っていて、「意味がわからないけど、すげ~ひっかかる」とその日からその解釈をずっと考えていました。私的には「隠しもっていた偏見の気持ちがある出来事を機に表出する」ことを言っているのかなぁ(最近の乙武くん不倫騒動において、それを機にネット上で一時乙武くん大喜利が起きていた)と思って、後日その友達にあった時に伝えたんですが・・・友人に「え、そんなこと言ったの!?おぼえてない!」って返された。「ずっとその意味を考えていた、私なんだったんだ!」と思うとともに、酔っぱらって記憶のないうちに意味ありげな面白いことを言える友人が羨ましくなりました。