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2015年5月6日水曜日

海にかかる霧

積荷であっても、女は乗せるな

監督:シム・ソンボ
原題:海霧 Haemoo
上映時間:111分
パンフレット:1000円★★★☆☆(600円の通常版でもよかったんだけど、豪華版しか在庫がなくこちらを購入。役者陣が方言の習得に努力したことがよく分かった)

ポン・ジュノ監督作品と思ってたんですが、鑑賞後パンフレット読んだらポン・ジュノは製作・脚本で、監督は「殺人の追憶」で脚本を担当したシム・ソンボだということ知り、すっかり勘違いしていたことに気が付きました。ポン・ジュノ監督作品だったとすると「スノー・ピアサー」がいまいちだったので「今回は本国で撮ってるしどうかな」とちょっとその出来に興味があったんですが・・・ポン・ジュノ、次は韓国で監督するのかなぁ。
「海にかかる霧」は、実話ベース×閉じた空間物と、自分にとってはかなり好みな要素が揃っていて、実際好みの映画でした。ただ、前半は描写がドライなのに対して、後半にメロドラマっぽいぺっとりした演出でそれが自分的には好みではなくちょっと残念でした。
前半の漁のシーンの、たんたんとしつつも働く喜びと船員のつながりを見せるところとか、陸に戻った後に分かる生活の困窮っぷりとか、ついつい説明的に描きがちな人物描写をさらっと距離をもった感じで描く感じはかなり好きでした。船長のキム・ユンスクが、自宅(兼居酒屋?)に帰宅したら、嫁がお金を取って男とSEXしているのに居合わせ、「すげ~怒るのかな?」とドキドキしてみてたら、たいして声もあらげず、嫁のほうが「あいつのSEXのが、あんたよりマシ!」とか声を荒げて天井から吊ってあるトイレットペーパーで股を拭き拭きするシーンは、中でもかなり好きですね。いろんなことをあきらめちゃってるキム・ユンスクの心情が伝わってきました。あとあと様々な事件が起きる中でも、他のことはどうでもいいけど船だけはあきらめられないんだなと、彼のことを理解出来たような気になれました。
船長のキム・ユンスクが「女を船に乗せるな!縁起が悪い」って数度にわたって言っているのですが、観客だけには機関室に女をいれたことによることがきっかけで不用意にそこにあるレバーが引かれたことが見せられていて、魚倉庫の移民が全員死んでしまったのもやっぱり女を船に乗せたからともいえるんじゃないかなと思わせられました。海の男のそういう験担ぎ、馬鹿に出来ないなと感じさせられました。
あと、船長に機関長が殺されたのを息を殺してみていた、パク・ユチョンとハン・イェリがその後SEXしたのも、「人間も生物として、生存の危機が訪れると子孫を残そうと自然と繁殖行為にむかうのかな」と思ったり。そういう通説みたいなのも、やっぱりその状態になると意外とあるものなのかなとやけにそのSEXを納得して見てしまったりしました。

2015年2月7日土曜日

薄氷の殺人

馬に、スイカに、わけわかんないけど好きでいっぱい

監督:ディアオ・イーナン
原題:白日烟火 Black Coal, Thin Ice
上映時間:106分
パンフレット:★★★☆☆(700円/出資者の要望でフィルムノワールものにしたものの、カット数とか撮影季節とかの出資者要望はことごとくはねのけているイーナン監督インタビューに漢気を感じた)

好きなシーンがいっぱいで、ずっと見ていたくなる映画でした。好きだけど、うまく言葉で説明できないたぐいの好きで、ディアオ・イーナン監督、この名前はおぼえておかなきゃなと思いました。
のちのちのなんの伏線にもなっていない唐突な絵(代表例:突如あらわれるアパートの1階で住人が飼っている馬)が、ぎりぎりあざとさを感じないレベルのくすぐり演出で、目や心に気持ちよかったです。特に好きなのは、序盤の殺人で、なぜか警察がスイカを食べながら捜査会議をしているシーン。捜査に使っている地図とかに、スイカの汁がおちまくってて、「え、なんでスイカ食べてる!?スイカ邪魔じゃ・・・」って気になるけど、いっさいその説明はない。そんな「なんで」を説明しないところが、なんだか気持ちよかったです。
ラストで打ち上がる白昼の花火、その花火を見上げるヒロインのウーの泣き顔とも笑顔ともつかない表情に、去年の「そこのみにて光り輝く」のラストシーンの池脇千鶴の表情を思い出しました。どちらのヒロインも状況だけみたら救われたとは言い難く映画のはじまりよりもどん底に落ちているように見える。でも、彼女たちの心はこのストーリーの中でどこか救われていることを感じさせらる。この花火のシーンはカメラがぐーっとせりあがって、花火を見る人の顔と花火がワンカットで撮られているのも美しかった。悲惨さも美しさも救済も転落もひとつの世界にあるという、すべてが映っているという感じがしました。
ちなみに、終盤で主人公ジャンが社交ダンスの練習場でラテンの曲をかけて踊り狂うシーンがありますが、社交ダンス経験10年の私から見ても、そのバックでタンゴの団体レッスンをしてる方々のダンスはけっこううまかったです。立ち姿もホールド(男性と女性の手の組手)もすっとしてて、ステップもピッとしてました。ジャンの踊りは型破りでしたが。だが、その対比がまたよかった。あと、サウナや氷で人の足元がすべるシーンがやたら多いのも好きだったな。

2014年12月5日金曜日

西遊記 はじまりのはじまり(110分)

監督:チャウ・シンチー
原題:西遊 降魔篇
おとうちゃん、冒頭がクライマックスです

チャウシンチー監督作品、そういえば今回はじめてみました。楽しくみられるけど、そんなに好きではなかったです。
なんとなくの所感なのですが、私が3年前ちょっとだけ期待して見に行った映画「怪物くん」に求めていたのはこういう感じだったのかもしれません。あっさりした残酷描写と、主人公の鈍感さと強引さで無理やり出来事が解決する感じ。
あと、ヒロインが急に三蔵法師に恋に落ちる姿にトムハンクス監督「幸せの教室」でジュリアロバーツとトムハンクスが急に恋に落ちていたことを思い出しました。「西遊記 はじまりのはじまり」では、ヒロインがあとあと「彼のどこが好きで~」と女弟子に説明するシーンがあるからまだこちらの理解も助けられるけど、「幸せの教室」は本当に意味がわからなかったなぁ。最後、スクーターから手を振るジュリアロバーツとトムハンクスも、わけわかんなかんなかったこと思い出しました。トムハンクス、元気してるかな。(余計なお世話)
「西遊記 はじまりのはじまり」は、序盤の川辺の村が沙悟浄に襲われるシーンが一番残酷でかつ、その沙悟浄に村人総出でで立ち向かうところが一番盛り上がる展開で、「これは容赦ない感じでおもしろそう!」と期待しました。しかし、その後、妖怪、猪八戒・孫悟空との戦いは絵面がパワーダウンしてしまい、がっかりでした。
冒頭で、川にはいりふざけて娘をあやす父親が途中妖怪に襲われそのまま妖怪に食べられてしまうのを、「父親がふざけている」と勘違いし笑いながら血に染まる川辺を見ている少女。そして、それから10分あまりのうちにその少女もその母親も妖怪に食べられてしまう展開は、「日本、妖怪ウォッチでうかれている場合じゃない!妖怪、こわい!」ってブルっとくる感じがよかったんですけどねぇ。妖怪ハンターがでてこないほうが、人殺されまくりで好みの話だった気がします。話がすすむにつれて、子供向きに思える笑いの要素が増えるのも、あんまり好みじゃなかった。正直笑いのポイントで、あんまり笑えなかったっす。

2014年6月13日金曜日

ポリス・ストーリー レジェンド(108分)


監督:ディン・シェン
原題:警察故事2013 Police Story 2013
60歳にして、三又

タマフルのスペシャルウィーク企画:ムービーウォッチメンズにて、中川翔子さんが課題作に扱うということで急遽見に行ってきました。過去のポリスストーリー見たことなかったのですが、今作は続きモノという趣きではなかったので話はわかりやすかったです。
ポスタービジュアルにも使われている自ら拳銃で頭を撃ち抜こうとする涙目のジャッキーのドアップのシーンから映画本編もスタートしますが、実は時系列逆転でど頭にもってこられたこのシーン、本当の時系列で終盤出てきた時にそんなに衝撃がないというか、「そこが見せ場という解釈なんだな~」という肩透かしのような感覚が味わいました。
還暦になるジャッキーがアクションを実際にやっているというのはすごいと思うんですが、なんかいまいち物足りなさを感じました。シュワルツネッガーの「ラストスタンド」には萌えれれたのに不思議なもんです。ジャッキーのほうが全然身体動いてるのに。少々老いを感じさせるほうが、むしろ萌えるのかもしれません。ちなみに一番痛そうに感じたのは、椅子に縛り付けられたジャッキーが腕にまかれた針金を力づくではずすシーン。エンドロールでも出てくるけど、あれは針金が手首にめりこんでて痛そうだった。
あと、「ベストキット」ぶりにひさびさにジャッキーじっくりみたら、ジャッキーが三又又三にそっくりでおどろきました。特に金網に顔を押し付けられているシーンの顔が、三又又三に似てた。今まで感じたことがなかったので、「ほかにもそう思ってる人いるのかな?」と思って「三又又三 ジャッキー」でググっても意外とぴったりした検索に当たらなかったので、これ思ってるの私だけなのかな。

2014年4月19日土曜日

アクト・オブ・キリング(121分)

監督:ジョシュア・オッペンハイマー
原題:The Act of Killing

演じなければ、気付くことない罪もある

1960年代にインドネシア国内で行われていた100万人規模の大虐殺。その事件自体まったく知らなかったので、その事件自体の内容とそして現在その加害者たちが優雅に暮らしている様子にとてもおどろきました。自分たちが過去に行った虐殺を嬉々として演じる男たち。自分の今まで知らなかった事実を、見たことのない視点で見せてくれる、、、映画という媒体が持つ素晴らしさをあらためて感じました。
映画がこの形式で作られた経緯「人権団体の依頼で虐殺の被害者を取材していたが、当局から被害者への接触を禁止され、対象を加害者に変更。彼らが嬉々として過去の行為を再現して見せたのをきっかけに、「では、あなたたち自身で、カメラの前で演じてみませんか」と持ちかけてみた。まるで映画スター気取りで、身振り手振りで殺人の様子を詳細に演じてみせる男たち」にまずびっくり。被害者にとってはいまでもおおっぴらに話すことがはばかられることなのに、加害者にとっては歴史の1ページに自分が登場したかのような英雄譚。エンドロールで並ぶ「ANONYMOUS」というアルファベットに「インドネシアって、同じ名前の人多いなー」ととぼけたことを考えていたのですが、鑑賞後調べると「ANONYMOUS=匿名」という意味でインドネシアではこの映画に協力をしたことがばれると命の危険がともなうための措置ということでした。つまり、大虐殺が行われた要因はまだインドネシアの中にあるということです。とはいえ、日本におきかえて考えて、関東大震災の際にあった在日朝鮮人虐殺や現在もある在日差別を考えると、決してこの要因に含まれる心理は人ごとではない。大きな事件があると、それに便乗して脈絡のない理由にて誰かを脅かすことで、立場を得ようとする人がいる。そんなひどいことはありえないと思っていても、起こりうる問題で、意識してそれを排除しようとしないと自分が加害者になる恐れも被害者になる恐れもある気がして怖くなりました。
大虐殺を演じる中で各加害者ごとに心情の違いが出てきますが、とはいえ、程度の違いはあれみな一様にどこか楽しそうに演じている。
自分が被害者役を演じる中で、主人公のアンワル・コンゴは「自分のしてきたことは罪」であることに気づいてしまい、過去の殺人現場に行き嘔吐を繰り返しますが、彼に生まれた罪の意識に「希望」「絶望」のどちらも感じました。視点をかえてみることで自らの罪に気づかせることができるという「希望」。根っからの悪人ではない彼のような人が歴史という大義名分の中では、自らを英雄にして罪のない人への大虐殺を行えてしまう「絶望」。しかし、なんで彼は孫に自分の被害者シーンを見せたがったのだろうか。かわいい孫の前では、強い男ではなく、やさしい男を見せたいのだろうか。

2014年1月25日土曜日

ドラッグ・ウォー 毒戦(106分)

監督:ジョニー・トー
原題:毒戦 Drug War
大切なことなので<逆にして>2回言います

ジョニートー監督作品はここ最近の「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」「MAD探偵 7人の容疑者」「奪命金」は見てるのですが、この「ドラッグ・ウォー」を見て「やっぱりジョニートー監督の銃撃シーンは、まちがいない!」と確信しました。今回は、銃撃シーン2回きりなのですが、どっちもものすごくよかったです。
クライマックスの幼稚園前の銃撃シーンも面白かったですが、個人的には聾唖の兄弟の銃撃シーンのほうが好きでした。TVを見てくつろぐ兄貴とトイレで用を足す弟、その生活感あふれる場面から警察に襲撃されての銃撃シーン。2人とも聾唖であるため、襲撃に気が付くのが遅く、特に弟は防弾チョッキに当たった弾痕を見て気が付く。気が付くのが遅いしコレは即死だろうなと思いきや、家に隠し持ったマシンガンを身じろぎもせずパジャマ姿で警察にぶっ放すクールさ。「先生には世話になったから!」と大量の紙幣を燃やす兄弟の姿はキュートだったし、あの2人の兄弟には最後まで生き残ってほしかったなぁ。
主人公役のルイス・クーが常に半泣き顔なのでこいつには何か裏があるのかなと思いきや、最初から最後まで「自分だけは生き残りたい」というものすごくシンプルな動機しかなかったのもよかったです。麻薬捜査官のスン・ホンレイが敏腕すぎて、ラスト彼が死んでも全然悲しい気持ちにならなかったのもなんか新鮮でした。
あと、7人の黒幕がドラッグ売買の儲け話に乗るか乗らないかの相談をするシーンでは、声を出して笑ってしまいました。7人の中のブレーンとされているファットが儲け話に乗るべきか乗らないべきかの意見を聞かれ、「ハイリスク、ハイリターン」と返答。それに続けて何か重要なことを言うのかと思いきや。。。「ハイリターン、ハイリスク」と同じ事を逆にして2回言ってのける。しかも、なぜかそれに納得してしまう他の6人。「なんやソレ!」と笑ってしまいまいた。でも、大切なことを<逆にして>2回言うのは真似してみたくなりました。「ごはん、おかわり!」「おかわり、ごはん!」とか。

2013年9月12日木曜日

きっと、うまくいく(170分)

監督:ラージクマール・ヒラーニ
原題:3 Idiots
All is well ?


スカイプ英会話でお世話になっているフィリピンの先生何人かにおすすめされたのと、まわりの人の評判がいいので見に行ったんですが、私には合わなくてすごい疲れてしまいました。 
疲れの理由は170分という尺の長さもあるのですが、人が自殺したり自殺未遂をしたり婚約破棄やら結婚式脱走など、結構ハードな内容があるのに“All is well~!”とすすんでいく物語になんだか置いてけぼりになった気持ちになりました。
「失踪したまま10年連絡なかったんだったら、そこまでの関係でもなかったのでは?」「いくら学長憎しといえど、友達が口説こうとしている彼女の家におしっこかけるかな。。。」等々、そういう細かいエピソードも合点がいかず気になってしまい話に乗れませんでした。
また、映画と笑いのツボが全然あわなかったのも、つらかった。素直に笑えたのが瀕死のおじいちゃんをラブラブな2人がスクーターで運んでいくミュージカルシーンくらいでした。他のお客さんは結構笑っていたので、きっとこれは相性ってヤツでしょうが。尺が尺だけにつらかったです。 
インドの「男はエンジニア、女は医者」という教育事情や貧富の差の激しさを、映画の中で知れたのは興味深かったです。記憶力アップサプリ愛用のためスカシっペをかます敵対役のあだ名「サイレンサー」っていうのもよかった。センスのイイネーミングです。
あと、学園のヒーロー役:ランチョーがカイルマクラクランの若い頃にそっくりでした。ひさしぶりにツインピークス見たくなりました。

2013年8月4日日曜日

ベルリンファイル(120分)

監督:リュ・スンワン
原題:Bereurlin
他人の国でシバラマ祭
金正日没後の北朝鮮といった最近の政治ネタを織り込んだサスペンスアクションとそれが韓国本土で700万人を動員したという事実から、「さすが「アジョシ」が興行成績年間1位とった国、韓国!」と、またまた韓国の民度の高さを思い知らされました。
ただ、韓国・北朝鮮・アラブ・アメリカと様々な国による政治サスペンスを見て、国際政治モノにあんまり興味がもてない自分に気がついてしまいました。現実世界でどの国がどういう立場か疎いため、私には事実を映画に取り込んだビビットな面白さがあまり理解できていない気がします。
投げ飛ばしたところに必ず背中を打つ鉄や石があったり、ワイヤーに絡まりまくりながら飛び降りる痛そうなアクションシーンは純粋に楽しめました。悪役のリュ・スンボムの下品な面構えもよかったな。
映画の舞台となるドイツ・ベルリンと人の国で、北朝鮮と韓国が入り乱れて「シバラマ!シバラマ!」とののしりあうところが、愉快でした。いままで見た韓国映画でつかわれた様々な「シバラマ」を聞いてきたおかげで、海外ロケでも遠慮なくやってる感が伝わってきました。あんなにシバラマれたらドイツ人もたまったもんじゃないでしょう。

2013年7月6日土曜日

嘆きのピエタ(104分)

鶏片手に ボーイ・ミーツ・マザー 
監督:キム・ギドク
原題:Pieta
見終わった後、「おかーさーーーん!」と叫びたなる映画。
母を名乗る女に懐疑心を持って接していた男が、彼女に心を許し、甘え、彼女なしでは生きられない赤子のようになっていく。天蓋孤独で親の愛を知らずに生きてきた男が、30過ぎて母の愛を知るとどうなるのか、怖いくらい伝わってきました。
鶏・うなぎ・うさぎ等の家畜をワンルームの自宅に持ち帰り・さばくという主人公の食生活にはビックリ。それに関連して特に印象的だったのは、男が逃がしてしまった鶏を女が手渡す出会いのシーン。あんな出会い方、今まで見たことない!そこから命を賭したやりとりをしていくことになる2人の出会いとして、とても象徴的でいいなあと思いました。
ただ、終盤、女が誰も聞き手がいないところで独白を重ねるのには、ちょっと白みました。「でも、アイツもかわいそう!」ってそんなの台詞にしなくてもよかった。そこらへんはこっちに汲み取らせてほしかったな。冷蔵庫の中身も、いったいどうやって川辺まで運んだんだろう。車椅子を使ったのかな。。。それにしても、冷蔵庫が空になった後の女に疲労感がみられなかったような。あと、セーターのサイズも、結局アイツにピッタリだったし。
ラストのキリストを思い起こさせる「市中引き回し」の解釈よりも、終盤はなんかそういうほころびのほうが気になってしまいました。

2013年5月11日土曜日

セデック・バレ(1部:144分 2部:132分)

監督:ウェイ・ダーション
原題:Warriors of the Rainbow I : Sun Flag
Warriors of the Rainbow II: Rainbow Bridge
アジア・近代版 スリーハンドレッド

1部2部ぶっ続けで4時間36分みてきました。
ついこないだ社員旅行で台湾に行ったばかりなのですが、日本と台湾の間にこんな歴史があったとは知らなかった。戦争の中で死んでいく日本人はこれまで映画の中でたくさん見てきましたが、侵略者としての日本人がこんなに大勢殺される映画は初めて見ました。
日本は第二次世界大戦敗戦で締めくくっていることもあり、私自身戦争加害者としての意識が薄かったりしますが、ちゃんと自分の国の歴史は知っておかないといけないなとちょっと反省しました。 

虹を信仰するセデック族に圧倒されました。
つい100年前台湾にこういう原住民族がいたなんてビックリです。出草という生首狩りでテリトリー争いし、大人と認められると顔に刺青をいれるセデック族。
彼らがたった300人で日本軍に立ち向かう姿は、アジア・近代版スリーハンドレッドと言っていいでしょう。日本軍が使う飛行機やミサイルに勝てるはずないのに、彼らが銃を持って森を駆け回る姿には無敵感がビンビン漂っていました。ことあるごとに見せる踊りや杯を2人一緒に交わす酒の飲みっぷりもよかったです。

映画終盤に露社頭目モーナ・ルダオが妻に会った際、「顔をちゃんと拭け!」と言ったのに失礼ながら笑ってしまいました。だって、妻の顔には青ヒゲと見違えるばかりの立派な刺青が…「え、いまさらそんなこと言うの!?」って思っちゃいました。けど、あれは儀式的なヤツだったんですね。その土地の文化を知らないと失礼やらかしちゃうから気をつけなければ。郷にいらずんば、郷に従え。

2013年3月24日日曜日

奪命金(106分)

監督:ジョニー・トー
原題:Life Without Principle
ジョニー・ト-版 現金に体を張れ

「ジョニー・トーがお金の話!?」と気になって見に行きました。意外とコミカルな仕上がりでビックリ。つーか、「お金でお金を稼ぐのを舐めたらアカン!」っていうもっと凝った仕掛けでみせるのかなと思いきや、意外とざっくりとした金融知識で話を作っているゆるい感じにちょっと拍子抜けでした。
まぁ、アベノミクスで沸き立ち始めた日本の金融にヘンに踊らされないために、投資初心者は今見とくといいかも。これを見たら”一攫千金”みたいなへんな金融商品に、「了解しました」とは怖くて言えなくなるはず。映画の中で「投資は未来を予想するゲーム」と謳われますが、未来なんてわかんないですからね。
あ、余談ですが…私がよく参加している映画サークル:シネマテーブルの主宰に、この映画のラウ・チンワンが似すぎていて笑いました。こんど、アロハシャツにジャケットという奪命金コスプレしてみてほしいな。
こうやって映画を思い出してると、RHYMESTER「続・現金に体を張れ」が聞きたくなってきました。香港に移民してきて、数々の仕事に失敗して、殺人未遂を犯して、ガス立て篭もりするおっちゃんのくだりとか、宇多丸さんの最後のリリックにかなりかぶってる。エンドロールで「続・現金に体を張れ」かかったら、私泣いちゃってたかも。

Y,E,N (Money) 日本銀行券 (Cash Money)
Y,E,N それが無きゃ 始まらねぇのは百も承知
達してみたい 成り金の境地
金バラ撒いて 飽きるまで放蕩し
まだ余るなら 社会に御奉仕
なのにオレのオヤジは 失業し
片や隣のダンナさんは 過労死
これじゃ希望失って 子供は自暴自棄
見逃せるなら オマエらは非常識
こんな時代やさかい 減らしてえな 諍い
だが一部は失くす見境 おお バブルの夢よ
もう2、3回 ってなオヤジの遺産 日本の残骸
まるでもう 切るシッポもねぇ トカゲ
それでも生きてんのは 誰のおかげ?
ありゃあ言ってみりゃ おカネの影
道理でカタギは 儲かんねぇ だから
Y,E,N (Money) 日本銀行券 (Cash Money)
Y,E,N それが無きゃ 始まらねぇ

2012年11月25日日曜日

高地戦(133分)

監督:チャン・フン
英題:THE FRONT LINE
見せすぎ予告編に SAY NO!


シネマハスラーをきっかけに、ここ3年でそれなりに映画を見るようになった私にとって、「高地戦」はこの戦争ジャンルの中でいままでで一番面白い映画でした。
ただ、それだけに劇場でうたれている宣伝が許せない。「1953年7月27日午前10時、朝鮮戦争の停戦協定が成立した。しかし協定の実効は その日の午後10時からだった!最前線の兵士たちに新たな戦闘命令が下る。歴史から 消された、最後の12時間の戦いが始まるー―。」って、コレ序盤の展開ならまだ許せるけど、クライマックス・ラスト30分の展開をネタばれすんなよ!
コレを知った状態で見てしまったため、希望からさらなる絶望へ突き落される「わーい、停戦!生き延びた!」から「え、あと12時間戦えって!?」の展開を俯瞰して見てしまい、あれだけうまくストーリーテリングされていたのに登場人物にあまり感情移入できなかったです。展開を知らずに鑑賞出来てたら、どれだけ心が揺り動かされたことだろうと…本当に残念でならない。見せすぎ予告編にSAY NO!映画会社のみなさん、キャッチーな文句で客を呼びたいのは分かりますが、実際に見にいった人が楽しみを損なうような宣伝はどうかやめてください。
主要登場人物が大勢いるのですが、どの人物も非常に魅力的に描かれていました。特に、モルヒネ打ちまくりの韓国の若大尉の存在感がすごかった。再度戦場に向かう前の演説「オレたちはワニだ!オレたちはワニだ!」の連呼には、絶望を感じながらも血沸き肉おどりました。
あと、”2秒”という異名を持つ北朝鮮の少女スナイパー。いやー、このあだ名マジでクール。イイあだ名が出てくる物語にはずれなしな気がします。


2012年9月3日月曜日

トガニ 幼き瞳の告発(125分)

原題:Do-ga-ni
監督:ファン・ドンヒョク
悪人がちゃんと成敗されるのは
エンドロール後こちらの世界

予告編の時点で「韓国映画でテーマがコレって、、、面白そうだけど、すげーしんどくなりそうだから見るのやめよ…」と思ってたんですが、シネマハスラーに背中を押されて見てきました。 
純粋に、映画として面白かったことにまずビックリ。
聴覚障害者学校で実際に起きた性虐待事件の映画化なんて、そりゃしんどい話になるに決まってるじゃないですか。でも、コレ、話は重いですけど単純に“映画”としてもしっかり面白いんです。
双子の学園の校長と行政所長が“おいでおいで”するところや、子供をおいかけ襲うシーンにホラー映画的不気味さがあったり、裁判シーンの駆け引きに法廷サスペンス的ハラハラもあったり、<実話にもとづいた>という括弧書きを抜いても単純に映画として面白い。
クライマックス、機動隊の放水を受けながらも遺影を抱え叫ぶ主人公の姿は、絵的にもグッときました。エンドロール後のテロップで、実話として「スッキリ」させられてしまうところもすごい。こういう意味でスッキリしてしまっていいのだろうかと、少し戸惑いましたが、映画として面白いからこそ、多くの人の目に触れ心を動かし、エンドロール後の現実世界が動いたんでしょうね。
職員室で生徒をロッカーに叩きつけて暴力を振るっているのを見ても、何もしない先生たちが直接的な加害者ではないけどすごい怖かった。ここまで悲惨な事件につながらなくても、こういう「見ざる・言わざる・聞かざる」ってある。自分も日常的にやってると思う。先回タマフルにゲストで来られた大林宣彦監督の「ぼくたちはね、戦争中のこどもはね、“正義”ってものを信じてないんです。自分の正義を主張すると、必ず敵を作るんです。ぼくたちはね、何を信じるかっていうと、“正気”なんですよ。アートとは、正気を問うことなのよ。」という言葉が映画中思い出されました。正気を失わず行動に出ること。やっぱり、これが自分以外の誰かを踏みにじらない大切な方法なのだとあらためて感じました。

2012年6月9日土曜日

サニー 永遠の仲間たち(124分)

原題:Sunny
監督:カン・ヒョンチョル
会いにきて会いにこないで会いにきて
親友たちに大きく手を振る

私は、現在も仲良くしている小中高の友達がほぼゼロでして、、、そのこともあり、この映画は予告編で見た時から、とてもアコガレの気持ちがありました。で、評判もとてもよかったので、見てきました。
回収されていないエピソードやつっこみどころがちょこちょこありながらも、それに目をつぶってしまう気持ちのイイ胸のざわめきをくれる映画。クライマックス葬儀場でのダンスシーンで、「オレたちのサニー、最高!」って叫び出したい気分に。


少女時代のエピソード・現在のエピソード、どちらともキラキラ輝いてて、よかった!少女時代のエピソードで一番好きなのは、ナミとスジが酒を飲んで「美人でごめん!」「前の学校では私が一番だったのに!あんたの顔は最高だ!」っていいながらハグするところ。もー、めちゃくちゃかわいい!
現在のエピソードは、娘をいじめたコたちを制服を着て復讐しにいくところ。なぜか警察にすぐ釈放されてて、「韓国の警察って、ぬる~い」なところも韓国映画アルアルが味わえて好き。
小中高の友達ゼロ問題を抱える私としては、「会いに行きたい人はいるか?」「会いにきてほしい人はいるか?」という問いが頭をもたげました。
そして、今のところ、誰にも会いたくないし・会いにきてほしくない自分に気が付きまして「こんなんだから、Face Bookとか気乗りしないんだよなぁ」と自省。なんで、こんなに昔の友達に会うのがおっくうなのか。。。自分の中になにか問題を感じてしまう。
いや、でも、「サニー」よろしく、私にもあんな再会があったら、「あなたのおかげで人生の主役の戻れた」と思わずつぶやいてしまうかも。あーーー、私もサニーにはいりたい!