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2016年5月3日火曜日

マジカル・ガール


魔女をカモにするもんじゃない
監督:カルロス・ベルムト
原題:Magical Girl上映時間:127分
パンフレット:700円(★★★★☆:カルロス・ベルムト監督と園子温監督の対談が和やかな雰囲気で愉快)

「マドまぎ」っぽい?現実版魔法少女?みたいな噂を聞いて気になっていたので見に行きました。
「日本ヲタク外国人の新たな才能あらわる!」っていう感じで、異国から憧れられる日本が見られて日本人としてはありがたい作品でした。パンフレットを読むとカルロス・ベルムト監督は、日本大好きで年に4ヶ月は東京に住んでいるとのこと。とはいえ、日本が扱われてるから面白いのではなく、直接描写は避けているのに残虐さや暴力性が溢れているところも好きでした。車椅子の超Sセレブがどんなことをバルバラにしたかまったく見せないのに、その傷の加減でこっちに想像させる手法とか。2回目の傷の具合とかイグアナみたいになってたもんな~。
個人的には、一昨年見たリドリー・スコット監督の「悪の法則」とすごい似た印象を受けました。「悪の法則」のカウンセラーと同じくこの「マジカル・ガール」の父親も、うまく儲け話を回せているつもりがいつのまにか止めようにも止まらない運命の轍にはまってしまっている、その運命に逆らえない感とかスペイン語とか「マジカルガール」の娼婦斡旋(?)しているっぽい女性の邸宅が「悪の法則」のハビエルバルデムの邸宅とか、私的には似てるところがたくさんに感じました。と、「悪の法則」のこと書いていたら、ずっと見たいと思って見れてない「悪の法則」ディレクターズカット版がまた見たくなってきました。
「マジカルガール」のラスト近く、バルバラ関連のアレコレで長い懲役食らっていたおじいちゃん・ダミアンが、魔法少女に憧れる娘の父親ルイスから「ルイスはバルバラを襲ったんではなく、ルイスとの浮気をネタに強請っていただけ」という真相を知らされて、当初はルイスを殺す気がなかったのに、突然気がかわって殺してしまったのがちょっと謎でした。ルイスを殺したのは、バルバラを守るためだったというよりは、「バルバラに嘘をつかれた」怒りと「こんなおっさんがバルバラを抱いた」という嫉妬だったように感じました。こうやって、色々解釈の余地があるのもこの映画の面白いところ。しかし、ダミアンもルイスも2人とも街歩きに半ズボン履いたな~。スペイン人のおじさんの半ズボン姿はなんかかわいくて似合うな~って思いました。

2016年4月9日土曜日

ヘイトフル・エイト


ほとんど乙武くんの謎
監督:クエンティン・タランティーノ
上映時間:168分
原題:The Hateful Eight
パンフレット:880円(★★★★★タランティーノのえりぬき西部劇ランキングや過去作の説明などなど超充実してる!劇中では鮮明にはうつされないリンカーンの手紙がのってて読むと感動する)

最近、前ほど映画見ていないとはいえ「前作「ジャンゴ」が超面白かったし、タランティーノの映画は映画館で見たいよな~」と思い見に行きました。終盤に分かりやすいカタルシスがある前作「ジャンゴ」のほうが好みでしたが、「ヘイトフル・エイト」も「贅沢な映画を見たな~」という満足感でいっぱいになる映画でした。
すべての人が何かしらの偏見の気持ちを持ち、偏見を受ける側の人は自分を守るために相手を攻撃をしたり技術を使ったりするというのがよく見てとれる映画でした。一番動きがあって好きなシーンは、マーキス・ウォーレン少佐(サミュエルLジャクソン)が、老将軍に「お前の息子はオレのナニをしゃぶって死んだんだ」と侮辱し相手の怒りに火をつけて、銃を握った相手に一発ぶっこむシーン。相手を殺すことを正当防衛とするために、相手の自分に対する偏見の気持ちを逆手に取って怒らせわざと攻撃させるところが鮮やかでした。
ちなみに、この映画を鑑賞済みの友人たちと飲んだ時、友人の一人が「「ヘイトフル・エイト」は、ほとんど乙武くんだから!」と言っていて、「意味がわからないけど、すげ~ひっかかる」とその日からその解釈をずっと考えていました。私的には「隠しもっていた偏見の気持ちがある出来事を機に表出する」ことを言っているのかなぁ(最近の乙武くん不倫騒動において、それを機にネット上で一時乙武くん大喜利が起きていた)と思って、後日その友達にあった時に伝えたんですが・・・友人に「え、そんなこと言ったの!?おぼえてない!」って返された。「ずっとその意味を考えていた、私なんだったんだ!」と思うとともに、酔っぱらって記憶のないうちに意味ありげな面白いことを言える友人が羨ましくなりました。

2016年3月15日火曜日

キャロル


鏡の中にうつる自分以上に見たい貴方

監督:トッド・ヘインズ
上映時間:118分
原題:Carol
パンフレット:800円(★★★☆☆:内側に折ってある表紙をめくるとキャロルとテレーズの視線を感じることができる、映画の雰囲気を感じられる作りです)

自分のTwitterのタイムライン上でこの映画のネタバレツイートをたくさんみかけた時期があり、そのツイートをなるべく見ないようにしてるうちに「もう、こんなんだったらこの映画見ちゃお」と思って見に行きました。ちなみに、私は自分が見るかもしれない映画でまだ未見の映画のネタバレツイートを見たら細目にしてタイムラインをじっくり読まずに流すようにしてます。
恋愛における視線の効用を「これでもか!」と感じさせてくれる映画でした。キャロルとテレーズが視線を向けたり交わしあうシーンの数々に、「目と目があったらミラクル~♪」(牧瀬里穂)と歌いだしたくなりました。ただ映像だと、2人のどちらの目も見た状態で2人の目があっていることを1カットで確認するのは難しかったりします。そんななか、2人が肉体関係になる寸前の鏡を介して見つめ合うシーンに、「これなら観客にも、お互いの目を見た上で視線の交わしあいが分かる!」とものすごい発見したような気分になりました。いや、でも、映画じゃなくても、鏡を介して見つめ合うのって、ものすごいロマンチックな気がします。鏡の中に自分以上に見たいものがうつることってそんなにないからな~
この映画、主観がテレーズからキャロルに途中から入れ替わるんですが、2人とも女性で自分と性別が同じこともあり2人ともに感情移入しやすく感じたのが興味深かったです。それこそ、キャロルにもテレーズにも見つめられてるような気分が味わえました。私は、日ごろ人をじっと見つめるのってアイドルのステージを見る時くらいだったりするんですが、人を見つめたり見つめられたりしてドキドキする暮らしっていいなぁと憧れました。

2016年2月17日水曜日

オデッセイ


なんとかするポジティブマインド

監督:リドリー・スコット
上映時間:142分
原題:The Martian
パンフレット:720円(★★☆☆☆:脚本を務め監督もする予定だったドリュー・ゴダードが他作品の監督をやることになり、ちょうど予定が空いていたリドリー・スコットが監督をすることになったミラクルな経緯が分かる)

映画館でマッド・デイモンが宇宙服を着て「宇宙で独りぼっち」的なポスターを初めて見てから、わりと最近までずっと「インターステラー」で一人惑星に取り残されていたマン博士の前日談が続編公開されるだと思い込んでました。今年になってから、映画に詳しい友達に「「インターステラー」の続編、評判いいみたいだね」と言ったら、「は?」と返され「オデッセイ」は「インターステラー」の続編ではないことに気が付きました。わりとずっと「インターステラー」の続編として楽しみにしてたので、続編でないのはは正直ちょっと残念でした。でも、この勘違いのおかげで「オデッセイ」見たい欲が高まっていたので、映画館に足を運びました。「オデッセイ」の主人公のマークは、「インターステラー」のマン博士のような陰湿な性格の悪さはありませんでしたが、けっして性格がいいとは言い切れない人物で「一人で生きていくには、性格の悪さも必要だな!」と思いました。
この映画、開始10分足らずで主人公マークが火星にひとりぼっち状態になるんですが、気絶状態から目を覚まして「こりゃ、やべ~な」って感情はあらわすものの、全く絶望に暮れず序盤からトライ&エラーで色々試すところがマジですごいなと思いました。絶望的状況をユーモアセンスでもってポジティブに捉えれる面を探し、そこからやれることを徹底的にひとつひとつつぶしていく主人公のマーク。頭がよかったり体力があったりもそうですが、こういう精神力の強い人じゃないと宇宙飛行士にはなれないんだなと納得感がありました。うんこで育てたじゃがいもが芽吹いたシーンには、私にもなにかやれるはずと勇気付けられました!「まぁ、なんとかなるだろ」と捉えてなにもしない無責任なポジティブマインドじゃなくて、行動を取るための障害をなくすようなポジティブマインドを、私も持ちたいものだなぁと憧れました。主人公以外もボヤボヤしている登場人物が一人もいなくて、「NASAの人材の質、まじすげ~!」ってなりました。
あと、偶然か世の中の流行なのか、「オデッセイ」の宇宙服のオレンジ色を基調にしたデザインが「スターウォーズ」のBB-8に似ていたのが気になりました。ちょうど今、私はモーニング娘。'16でメンバーカラーがオレンジ色の工藤遥さんを推しているので「今年はオレンジがキテルな!」と思いました。

2016年2月12日金曜日

イット・フォローズ

逃げるには徒歩より自動車

監督:デビッド・ロバート・ミッチェル
上映時間:100分
原題:It Follows
パンフレット:720円(★★☆☆☆:監督が子供時代に見た、形を変えるモンスターがずっとついてくる夢を着想にしたことが分かります)

今年になってムービーウォッチメンの投稿をやめてから嘘みたいに映画を見なくなってしまったんですが、ネット上に流れてくる『イット・フォローズ』の「セックス、ホラー、ついてくる」というような評判が気になって、ひさびさに映画館に行きました。ホラー映画にセックスはつきもの(セックスを興じている者がいの一番に殺されるなど)ですが、セックスが恐怖の源と関わっているというのはありそうで意外とないような。恐怖の原因もセックス、恐怖から逃れる手段もセックスというのが面白かったです。そして、必ず徒歩でつきまとってくるソレの不気味さがよかった!あと、私はペーパードライバーで毎年毎年「今年こそ運転できるようになる」と目標をかがげては挫折してるのですが、この映画は「運転出来なきゃ命が危ない」と思わせてくれたので、見てよかったです。今年こそ運転の練習をしよう・・・
ずっとヒロインのジェイに思いを寄せている童貞の幼馴染ポールが、クライマックスでジェイのためにソレと戦ってから、ジェイとついにセックスした後の描写がなんともいえない味がありました。セックス後、「どうともない?」「どうともないよ」と確認しあう2人。ずっと好きだった人とセックスした後の感想を聞かれて「どうともない」と答えるの新鮮だなと思いました。
この映画を見た感想を知人に伝えるのに「愛知県美術館に所蔵されているデルヴォーの『こだま』っていう絵を連想した」と言ったら、たいそう感心されました。「映画の感想を絵で表現すると、すげ~知的な人と見られる」という知恵がつきました。いや、でも、実際、『こだま』で描かれる女性みたいに表情を変えずに一直線に向かってくる感じが、この映画のソレと印象が似ているので、この映画を見た方が愛知県美術館に行くことがあれば是非見てみてほしいです。

2016年1月16日土曜日

ストレイト・アウタ・コンプトン

それがしたくなるジャンル映画って、最the高

監督:F・ゲイリー・グレイ
原題:Straight Outta Compton
上映時間:147分
パンフレット:720円(★★★★☆:丸屋九兵衛さんによるNWAに関する20項目とか豆知識が充実してます)

2016年に映画はじめ何にするのか悩んでいたんですが、私もいちおうラッパーのはしくれ(一昨年に京都精華大学でRHYMESTER ヒップホップ講座を受講してから、オリジナルラップのリリックを数個作成)なので、偉大な先輩の映画を見ておこうと思い「ストレイト・アウタ・コンプトン」を一本目に見ました。(正確には家でhuluで見た「40歳の童貞男」が1本目ですが、映画館で見た中ではこれが1本目)私はギャングスタラップを全然聴いたことがないし、一部の日本語ラップしか聴かないという偏ったヒップホップリスナーなんですが、この映画はレコーディングシーンやライブシーンがすごい楽しくてめっちゃアガりました!見ていて、私も猛烈にラップしたくなりました。拳銃持って相手を威嚇しながら、ラップしたいという謎の欲が生まれた。汚い言葉を散弾銃のように撃ち込むのって、悪魔的魅力があるなぁと思いました。
一番好きなのはイージーEがレコーディングブースではじめてラップするシーン。出資者として参加するだけで、ラップをする気がなかったイージーEが、ラップする予定のアーティストが駄目になってしまい「じゃあ、お前がやれ!」的な展開になって、嫌々ラップをやらされる。みんなに「下手くそ!」って笑われたのに怒り、ドレー以外をブースから出して1対1でラップし、だんだんとサマになっていく様子が、ラップそのものが持つその人のモノになる魅力が出ていて楽しかった!ラップって、もちろん上手い下手もあるけどその人の個性がめっちゃ出るからすごい面白いんだよな~って、自分が受けた講座のことを思い出しました。
終盤、イージーEの病気が発覚してからは、めっちゃ号泣メーンしました。再結成する望みを叶えることが出来ず、この世を去ったイージーE。その叶わなかった夢が、こうやって映画化されたことで形を変えて叶えられたように感じて、エンドロールではさらに号泣メーンでした。そして「何かを再結成させる」という謎の欲求が私の中に産まれました。(再結成のためには、まず何かを結成して解散させなければいけないというハードルの高さに気が付きました)

2015年12月19日土曜日

スター・ウォーズ/フォースの覚醒


「あんた誰?」と思った時、「お前誰だよ!」と思われてる

監督:J・J・エイブラムス
原題:Star Wars: The Force Awakens
上映時間:136分
パンフレット:1,000円(★★★★☆:ノーマル版。およそ14ページにわたり写真付きで映画のあらすじが書いてあり、内容を振り返りやすい。旧シリーズのあらすじと当時の観客の反応も書いてあってためになる)

スターウォーズに関しては、3年前に3D化して再上映された「STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス」とジョージ・ルーカス監督とスターウォーズファンを描いた「ピープルVSジョージ・ルーカス」しか見てませんでした。が、ムービーウォッチメンの課題作品になったので公開初日に見てきました。いまさら中途半端に予習するよりも、持ってる知識だけで見たほうがいいかなと思って、ノーガード戦法で鑑賞してきました。最速上映の1時間10分後の19時40分からの2D字幕版で鑑賞したんですが、映画館は満席で外国人の方も多く、お祭りの空気感が味わえて楽しかったです。自分が予習不十分なので楽しみきれませんでしたが、旧シリーズを見たくなる程度には楽しかったです。往年のファンにとっては感涙ものなんだろうなと思いました。上映後には拍手も起きていました。
映画館で一番沸いたのは「Chewie....We're Home.」という台詞とともにハン・ソロ演じるハリソン・フォードが登場するシーン。感嘆をもらすだけでなく、拍手するお客さんもいました。エピソード6の30年後の世界を描いている今作では、ハリソン・フォードのように旧シリーズのキャストがそのまま続投されていて、その登場シーンにお客さんが「おぉ!」ってなってたんですが、私はエピソード4~6は全く見ていないので「おばあちゃん?」「おじいちゃん?」「あんた誰?」という言葉が頭をよぎりました。(つーか、私、途中までハリソン・フォードのことルーク・スカイウォーカーだと勘違いしてました)しかし、スターウォーズの世界にとっては、私こそ「お前こそ誰だよ!」っていう感じなんだろうな。結婚して初めて相手家族の親戚の集まりに行った時とか、こういう気分になるんだろうな。相手に覚えがない時には自分が知られていないと思ったほうがいいなと謎の反省をしました。
ヒロインのレイは無名の人からキャスティングしたということですが、勇敢さと繊細さを兼ね備えた面持ちでよくもこんなイイコを探せるもんだな~とプロのお仕事に関心しました。フィンに手を握られて本気で嫌がってたレイが、だんだんと彼に心を許していくのが、ベタな演出だけど見てて楽しかったです。フィンは殺すのが嫌でストームトルーパーを脱走したのかと思いきや、脱走後は元仲間のストームトルーパーをがんがん殺すところが「そこに葛藤はないのか!」とちょっとつっこみたくなりました。あと、BB-8の丸だけで構成されるフォルムがめっちゃかわいかった。人間的なわけではないのに、あたたかみがあるロボットデザインが魅力的だな~と思いました。

2015年12月11日金曜日

007 スペクター

当惑のおもてなし

監督:サム・メンデス
原題:Spectre
上映時間:148分
パンフレット:720円(★★★☆☆:ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドや歴代スペクターの説明が掲載されていてためになります)

007シリーズは、前作「スカイフォール」を含めて合計2本しか見たことがなく、今回が3本目でした。冒頭のメキシコの「死者の日」のフェスティバルをバックにしたアクションからローマ・オーストラリア・モロッコ、そして彼のお膝元イギリスへとトムフォードを身にまとい世界を股にかけて活躍するジェームズ・ボンド。上唇は薄いのに下唇は厚いダニエル・グレイグの色気を感じつつ、楽しんで鑑賞することができました。でも、前作「スカイフォール」のほうが格段に面白かったな。「老い」と「死」を描いていた点において「スカイフォール」は特別に好きでした。今回の「スペクター」は、クリストフ・ヴァルツにはとどめをささず娘くらいの年に見えるレア・セドゥと手をつないで去るエンディングに、「若さ」とか「生」に惹かれるボンドを見た感じがします。
今回の映画で好きなシーンは、ローマでボンドが潜入したスペクターの集会の場面。椅子に座ってさまざまな決議を通していく幹部メンバーたちを2階から見守る構成員たち。目線の動きで「彼」が来たことが分かる感じとその「彼」がそのシーンでは後光で誰かが分からない気持ち悪さがデビィット・リンチみたいで好きでした。その後、死者の後釜選びのために、デイヴ・バウティスタが突然別ン後釜候補の目潰しするのもリンチっぽさを感じました。
あと、モロッコのスペクターの本拠地で、ボンドとマドレーヌが通された隔離された部屋に隕石が飾ってあり、それを見て2人がどう反応したらいいかわからず「感心しろってこと???」とこぼしたところが、あとからじわじわくる面白さだった。こういう、どう反応したらいいかわからないおもてなしってありますよね~

2015年12月4日金曜日

ガールズ&パンツァー 劇場版


戦車で自宅を破壊される幸福

監督:水島努
上映時間:119分
パンフレット:864円★★★★☆(登場する戦車や学校や登場人物の紹介がしっかり乗っていて、とても初見では消化しきれない情報量の多さ)

「ガールズ&パンツァー」、ムービーウォッチメンで課題映画に選ばれるまでは、作品の名前も知りませんでした。リスナー推薦の「和製マッド・マックス」という煽り文句とポスターイメージからなんとなく「「エンジェル・ウォーズ」みたいな話なのかな?」と思ってましたが、女子だけで戦うという意味では「エンジェル・ウォーズ」と似ていましたが、「エンジェル・ウォーズ」よりはもっと健康的に明るく狂ってる作品でした。女子高生たちが乗り込む戦車での人の死なない戦車による武道。とても明るい世界観で戦車という世界を楽しむことが出来るこの作品は、個人的にはとても新鮮で「日本のアニメ、やべぇ!」ってなりました。
冒頭3分間作品の簡単な紹介で「戦車道」に関する知識はある程度理解出来たのですが、テレビシリーズを一切みていないので、各登場人物のキャラクターや物語性はまったく分かりませんでした。でも、戦車道の世界がきっちり完成されているせいか、すごい楽しんで見ることができました。このよく分からないけど楽しいっていうのが、今年1月にチケットが余ったため急遽ハロプロのコンサートを連番することになった友達がライブが終わった後、メンバーの顔も名前も分からないのに「楽しい!最高!楽しい!最高!」ってその世界に圧倒されて一瞬のうちにファンになっていたことを思い出しました。この友人はこの感動を残すために、ブログ(激ヤバ鬼マスト帳)を開設までしてくれました。この「ガールズ&パンツァー」で、未知の世界に圧倒されるのってある種快感だなぁと再確認できました。
作中の戦車道、戦い始めは森林や野原みたいな所を中心に行われるんですが、後半になると街に繰り出して市街戦になっていくのが新鮮な絵で興奮しました。しかも、街を壊さないように戦うのではなく、バンバン破壊する景気のよさ!戦闘をライブビューイング的に観戦しているおじいちゃんが、自分の経営している旅館が破壊されて「やったーーー!」と喜んでいる様を見て、「あ~、楽しそうな世界!」って幸せな気持ちになりました。他のおじいちゃんたちも「お前ばっかり、せこい!」とすごいうらやましそうにしてたのもよかったです。

2015年11月27日金曜日

ラスト・ナイツ


最近年末は、欧米の忠臣蔵

監督:紀里谷和明
原題:Last Knights
上映時間:115分
パンフレット:820円★★☆☆☆(見開きに「今、日本の心が世界に羽ばたく。」と大きく載っているのにちょっとクスリとくる)

紀里谷監督作品、今回はじめて見ました。過去の作品であまり良い評判を聞いたことがなかったので心配だったんですが、良くも悪くも普通でした。なんとなくもっとアクの強い作風の監督のイメージをもってましたが、同じく忠臣蔵をテーマにした昨年の「47 RONIN」にくらべると、独特の味みたいなのがなくてわざわざ忠臣蔵を海外キャストでやる必要も感じられず、珍作の「47 RONIN」のほうが個人的には好きでした。
領土没収から1年、主人公のライデン(クライヴ・オーウェン)がダメ人間になったフリをしつつ、敵を油断させ虎視眈々と復讐の機会を狙っているんですが、せっかく敵を油断させることに成功し仲間の騎士団と合流出来たのに、敵となるギザ・モットの城に侵入したらわりと早い段階で敵に見つかってしまっていたのがもったいなかったです。1年間かけて相手をあざむいた甲斐が感じられず、あんまり溜飲を下げることが出来なかったです。
あと、複雑な話でもないのに、なんか分かりにくいところがあるのが不思議でした。特に、最後、結局ライデンは死んだのか、それとも処刑されずに奥さんのところに帰れたのかが、私にはよく分からなかったです。わざと時系列逆に撮っているようにも見えるし、奥さんのところに行ってから処刑されに行ったようにも見える。話的には処刑されてなかったら興ざめなんですが、なんか分かりにくいんだよなぁ。

2015年11月7日土曜日

ヴィジット


孫のためなら、えんやこら

監督:M・ナイト・シャマラン
原題:The Visit
上映時間:94分
パンフレット:700円(映画論客3人のシャマラン復活を喜ぶ座談会が面白い)

シャマラン監督作品は、「シックス・センス」「ヴィレッジ」と一昨年の「アフター・アース」を鑑賞していました。「最後にどんでん返しのお土産」をくれる監督というイメージだったのが、一昨年の「アフター・アース」を見て「あれれ?お土産ないのーーー!?」ってちょっと残念に思ってました。そして、この「ヴィジット」。ちゃんとお土産がある上に、めちゃくちゃ怖くて、そして面白い!「シャマラン監督なんて、どーぜ最後のどんでん返しネタ一発がウリなんでしょ」とかちょっと思ってて、ごめんなさい!これ1本でまだ未見のシャマラン映画が見たくなりました。
この映画振り返って考えると、怖い&仕掛けにビックリするだけでなく、映画内で姉弟が撮り続けるドキュメンタリー映画としてちゃんと成り立っているし、姉弟の成長物語としてもしっかりしていて、あらためてすごいと思います。何かを創作することで癒せる物事があるということが、姉制作の映画や弟のラップからよく伝わってきます。エンドロールの弟のラップは笑えるというよりも、あの訪問がこのコのトラウマになってなくてよかったな~って安心出来ました。姉弟が自分たちの父親が家を出て行ったことがきっかけで身についてしまった心の癖みたいなものが、この恐怖体験で強引に乗り越えられたというのもサッと描かれているけど救いがあるとともに子供の心の強さへの信頼があっていいなぁと思いました。
ちょっと悲しかったのは、最終日のボードゲームが流れ解散(?)になって、てんわやんわした際に祖父母ともに姉弟に「お前のことなんて嫌いだ!」って言い放つところ。祖父母の属性や心理状態はどうあれ、個人的には姉弟のことは真面目に愛していた可能性を残す含みを持たせてほしかったなぁ。この7日間が「孫がいる人生を体験してみたい」というそういうモチベーションだけで保たれていたとすると、ちょっと虚しく思えます。でも、まあそういう愛の含みがないからこそ姉弟の二人が祖父母に歯向かえたということかもしれないですね。ちょっと愛を感じてたら、冷蔵庫のドアあんなにパカンパカンできないと思うもん。

2015年10月30日金曜日

ジョン・ウィック


殺し屋たるもの、充電は切らさない

監督:チャド・スタエルスキ
原題:John Wick
上映時間:103分
パンフレット:720円★★★☆☆(ガンフーや銃器やマッスルカーの解説など、映画の見どころポイント豆知識がまとめてあって興味深い)

「ついに、あの男が帰ってきた!」感をあおる予告編に、「いやいや、キアヌ、去年「47RONIN」にも出てたし!天狗に育てられてたしっ!」と”キアヌ is back.”なアジテーションに乗れず本作あまり期待していませんでした。が、「犬を殺された男が復讐で、マフィア皆殺し」という信じられないようなプロットを説得力をもって演じ切るキアヌの、スマートでかっこいいのに何故かちょっと抜けみえる感じに新たな魅力発見出来ました。見た目は切れ者の殺し屋にはとても見えない。でも、何かの異常者には見える感じ。
殺し屋がつかの間の休息を求めるために泊まる謎のコインが流通するホテル、コンチネンタル・ホテルが面白かったです。このホテルに滞在している間は、殺し屋は「仕事」をしてはいけない。キアヌが戦闘から血だらけになって帰ってきて、フロント係に「クリーニングを頼む」と伝えても、「その汚れは落ちないと思いますが」と真顔でジョークをかましてくる動じない感じが素晴らしい。傷だらけの殺し屋にバーボンをすすめたり、死体処理の隠語が「ディナーをご用意します」というのもなんだかリアルさを感じます。こういうしっかりとしたホテルの掟を破る女殺し屋に、きっちりとした制裁がもたらされるのもよいです。あそこ一般客も泊まれるのかなぁ。泊まってみたいな~。
あと、この映画、キアヌが亡き嫁との思い出の動画をたびたび見て、それにより自分の戦意や生きる意欲を吹き返させるのですが、最後の戦闘が終わった後、車からよたよたと落ちたキアヌが再び例の動画を再生したシーンに「おい、まだそのスマホ、充電残ってとったんかい!」って思った。映画の中でスマホを充電するシーンとかなかったけど、見たいものをいつでも見れるようにするためにちゃんと充電を怠っていなかったキアヌ、かわゆい。やっぱりスマートフォンの充電は切らせてはいけないなって、当たり前のことを再認識させてくれるシーンでした。そして、ラストの動物病院で殺された犬・ビーグルとは全然違う種類の犬を家に連れてかえる、「犬ならなんでもよかったんかい!」と突っ込みたくなるわりとこだわりのないキアヌもかわゆい。

2015年10月17日土曜日

アントマン


持つべきものは友達と車

監督:ペイトン・リード
原題:Ant-Man
上映時間:117分
パンフレット:720円★★★★★(マーベルシリーズにおけるアントマンの立ち位置(「アイアマン3」から始まったフェーズ2の最後が本作。次のフェーズ3は「キャプテン・アメリカ/シビルウォー」からはじまる)が解説されてて興味深い。前作「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」もそうだったけど、マーベルのパンフレットは内容が充実してて買って損なし。)

予告編の「列車にひかれた!」と思いきやひきで見るとおもちゃのレールセットのトーマスがカタリと落ちるだけの絵が、リアルさがあるゆえなんとも言えないクスリ感があって「面白そうだな~」と思っていましたが、この「アントマン」本編はもっと面白かったです!
今、予告編を見直したんですが、大きな見せ場のアリをコントロールするシーンが予告編で一切使われてないのはすごいと思いました。予告編であつかわれてなかったので、「アントマン」の最も楽しい部分といっても過言ではないアリを駆使しての潜入や戦闘シーンを予備知識ゼロで存分に楽しむことが出来ました!本国版の予告編も確認してみたけどそっちはめっちゃアリでてくるから、あれだけ美味しい特殊能力を本編のお楽しみを残してくれた日本版予告編制作スタッフに感謝です!もしかしたら、「(アリの大群を見て)グロい映画かな?」ととらえられてしまう恐れがあるからアリの映像使わなかったのかもしれないけど、ヒーローの特殊能力に本編を見てから知るお楽しみがあるのはうれしいものです。
マーベルシリーズの直近の前作「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」で、弓がうまいことを除いては普通のおじさんに過ぎないフォークアイにスポットがあてられたのも新鮮でしたが、今回の「アントマン」では盗みを働き懲役くらい釈放後も養育費が払えないため娘に会えない負け犬といってよいおじさんが主人公だというさらなる新鮮さがありました。また、主人公スコットを取り囲む友達たちのどうしようもなさも最高。スコットが釈放されるのを車で迎えにくるルイスのエピソード語りに無駄がありまくる感じが愉快です。あの語りの再現シーンは巻き戻してもう1回みたいです。あと、映画冒頭、そのルイスが「俺は嫁も失ったし、全部失った!」「けど、この車がある!ガハハ!」と能天気に笑っていたんですが、その唯一手元にある車がこの映画を通してどんどん改造されいろんな任務に役立つ姿が見れるのが思い返すとけっこうジーンときます。ルイスはすげ~馬鹿だと思うけど、なくしたものを悔やむより、手元にあるものに感謝する姿にはかっこよさすら感じます。こんな下衆くて良い友達がいるのもアントマンの魅力です!