2011年10月27日木曜日

スマグラー -お前の未来を運べ-(114分)

原作の漫画を直前に読んで、映画館へ。
ほぼ原作どおりの映画化にもかかわらず、原作のよさがなくなってしまっているように思えました。

その一番大きな要因は、背骨と内臓の絵的な説得力の薄さ
原作では、この2人に怪物的な不気味さがあるからこそ、
その背骨が死を恐れ・ささいなことに礼を言うことに得体の知れない哀しさを感じたのですが、、、
映画では、この2人が職業的に殺し屋をやっているだけで普通の人間に見えてしまって、
金貸し(松雪泰子)が背骨に言う「どんな修羅場くぐったら、あんな目つきになるんだよ」っていう台詞が、ただ説明しているだけに感じてしまいました。
映画版オリジナルの内臓の男色家設定も別にいらないし。
そんなもんいれるんだったら、漫画版であった背骨と内臓のトレーニングシーンをいれてほしかったなー。


あと、映画版でたされたギャグが、ことごとくすべっていたのもいただけなかった。
タバコ嫌いの組長・かえるを食わされた男・ブスからのプレゼント、コレら全てのエピソードが、観客を笑わせようとしたのかも謎に感じるレベルに笑えなかったです。

原作と映画を比較すると、砧の拷問シーンだけ異様に長くなっていて、もしかして映画化でコレをやりたかったのかも・・・と思って調べたら、作品後半、砧をいじめ抜く衝撃的なシーンでは、高嶋自らコスチュームや演出方法などを提案したという情報が出てきました。
ガチかどうかはわかんないけど、ファンタジーがひろがりました。
高嶋政宏さん、良いエピソードをありがとう!

2011年10月22日土曜日

バウンティハンター(110分)

シネマハスラーのフライトシネマハスラーのために、GEOでレンタルして、「バウンティハンター」。(2011年2月19日の出来事)

「バウンティハンター」という職業になじみがないので、「ハンター」の元夫と指名手配の元妻という組み合わせにハートボイルドなやくざ者映画を想像していたんですが、ただのラブコメで拍子抜け。

「バウンティハンター」って名前の響きはかっこいいですけど、すげーみみっちい仕事ですね。。。

そして、元妻が指名手配になっている原因もとってもみみっちい。



ストーリーの大元がみみっちいのもガッカリでしたが、登場人物の動機付けにまったく説得力がないの嫌でした。
ジェニファーアニストンは、出廷をドタキャンして取材に走るほど仕事に情熱を燃やしているような女にみえないし、
ジェラルド・バトラーはギャンブルで借金作ったといってもそこまでギャンブルにはまっている

ようにもみえない。
友達が黒幕かどうかでもめてるけど、その友達とそこまで仲がよいようにもみえないし、そもそも主人公2人がどういういきさつで離婚したのかがいまいち不透明なので、話に興味が持てないまま終わってしまいました。



この映画を飛行機の中で見たら、絶対寝てしまいますね、、、

2011年10月18日火曜日

猿の惑星:創世記(ジェネシス)(106分)

完璧な映画!
上映時間106分の中に、計算しつくされたシーンが凝縮されている!無駄なシーン、ゼロといっていい。
完璧すぎて、言うことないですよ、、、コレ!

ストーリーもさることながら、映像もすばらしい。
猿たちが動物園の猿よりもリアル。
CGくささもないし、どうやったらこんなことできるんだろう。個々の猿たちの描きわけまでもできてるし。

主人公の猿・シーザーの子供時代のキュートさに、「カニと修三」理論が早々に発動。家で動きまわるシーザーのかわいいこと・かわいいこと!
しかし、既存のシリーズとつながっていくことを考えると、シーザーの幸せな日々が続かないのは明白で。。。序盤は、「「猿の惑星」シリーズとつながらなくてもいいから、シーザーに幸福を!」と願うばかりでした。

そして、アルツハイマーの父親を守る勇ましいシーザー!ハグのシーンに胸がつぶされそうでした。私、あんなやさしさをもったことがあるだろうか。。。

終盤の逃走劇の中でも、シーザーは“基本”人間を殺さないし・仲間にも人間を殺させない。そこに、やさしさを感じるとともに、人間に育てられた猿の哀しさを感じました。
そして、猿集団が少し足並みが揃ってないところに、この差がどう先々つながっていくのかと旧作にも興味が沸きました。(ちなみに私は過去作・パート1のみを大昔にTVで鑑賞)

あと、エンドロールもすばらしい!その意味をみつけた瞬間超ぞくぞくしましたよ。
あれを見ずに帰ったお客さんがたくさんいて、「No!」と地団駄踏みました。
なんで約2時間楽しんだモノの最後の5分をケチるのかしらん。

2011年10月16日日曜日

モテキ(2回目)(118分)

基本、映画の劇場鑑賞おかわりはしない主義なんですが…

大根監督が名古屋にいらっしゃるということで、初回から3週間後2杯目いきました!

1杯目は、「好きだったあの味でてんじゃん!それに、単品でも成立してんじゃん!」とファン涙の味わいでしたが、
2杯目いくと、やっぱり味の好みがはっきりするっていうか、
「もーーー、コノ素材はのぞいといてよっ!」っていうのが2つ(多分、自分自身の何かにひっかかって胸焼けするのだと思いますが・・・)と、「こんなデザート(エンディング)あったらいいな」ってのがありましたので追記します。

まず嫌なとこ1個目。
るみ子が牛丼喰って「私は元気です!」風の演出が嫌。
麻生くみ子がガツガツ牛丼食べる姿を見たい男の気持ちは分かるけど、あの種の女が大衆食の一気食いで救われるとは思えない。
私が希望するるみ子エンディングは、ホテル出た後すぐ電話して「今日、飲まない?」とすぐ次の男をセッティングするというモノ。そんで、「腹減ったー」って喰いしんぼうっぷりを見せてほしかった。
大根監督自身「墨さんは、るみ子から誘ったんですよ。寿司と都ホテルで約10万使って、好きでもない女抱いて慰めて、傷ついてるのは墨さんですよ!」と言ってましたし、るみ子は「もっと他の男ともセックスしたほうがいいよー」という墨さんの言葉よろしく、どんどんヤッて元気になればいいと思うよ!

そして、嫌なとこ2個目。最後の「走れ!」のくだり。ラストの泥落シーンはいいんですけど、、、
仕事を放置して女を追いかけるっていうのが嫌。今までの幸世ならコレでもいいんですけど、その直前、最悪の事件の後最強のライバルのインタビュー記事を書き上げるというシリーズ史上最大の成長をみせた幸世の描写が帳消しになったように感じてしまって。
(久保ミツロウ先生がツィッター上で「仕事中っつーか、挨拶中ってだけだったんだけど」って書いてたけど、2回目注意してみてもインタビュー仕事を放置したようにしか見えなかった。)仕事を全部終えた後のプライベートの幸世が、みゆき&ダイスケをみかけてダッシュっていう描写でよかったんだけどなぁ。

あと、あのエンディングはあれで好きなんですけど、 
個人的に好みのエンディングに出来るのであれば、ダイスケがキスする幸世にドロップキックを食らわして、その勢いで場面は棺桶のUターン。「え、これ全部死に際の夢だったの!ねぇ!教えて!ねぇーーーー!モテキ is BACK!!!」で「夜明けのBEAT」でオープニング以上のもっと過剰な女神輿でエンドロールって夢落ちパターン。
夢落ちって、最低で最高じゃないですか!
そのデザートを心で勝手に付け足したら、映画「モテキ」がより好きになりました。
あぁ、ひょっとして、これが「誰かのモテキにつづけ!」ってことか!? 

2011年10月13日木曜日

ワイルド・スピード MEGA MAX(130分)

前作1つも見ず、完全なるワイルドスピード・バージン状態で映画館へ。

映画開始30分くらい車を横取り強奪したところで、ようやく「あ、犯罪集団なんだ!」と気づき、そこからどんどん「え、こいつら馬鹿なの?」「え、え、やっぱ馬鹿?」「え、え、え、まぎれもない馬鹿!」という展開。クールさのない、泥臭い犯罪手法がなかなか癖になります。

アクション映画にしては上映時間が130分と長くて、ちょっとつかれたのが残念。
「監視カメラに映らないように、誰が早く走れるか勝負だぜっ!」っていうくだりがけっこう長かった上に、のちのち全く用なしの作戦になってしまったし、「あいつらに探知機付けて、安心して作戦に集中しようぜ!」っていうくだりも、結局逆探知されてるからいらないっちゃーいらない展開だったし。そこらへん、ちょっとスッキリさせてもらったほうが個人的には好みですね。

ただ、それまでの作戦をどっちらけにしてしまったものの、「金庫丸ごと強奪」はよかった!街をどんどん破壊していく金庫!金庫に逃げ惑う人々が、斬新!金庫が主役のディザスタームービーといっていい絵!


あと、ハゲ(ビン・ディーゼル)とハゲ(ザ・ロック)の描かれ方にグッときます!
ハゲとハゲが殴りあうシーンでお互いがチビクロサンボよろしくバターのようにまじりあうとこや、ハゲとハゲの心の交感のシーンで他のアクションシーンではほとんど使用されないスローモーションが使われるあたり、ハゲ男子愛を感じましたぜ!

2011年10月6日木曜日

モテキ(118分)

ドラマ「モテキ」をリアルタイムで見、DVDBOXでオーディオコメンタリー含め4廻し、そのリリースにともなう大根監督トークイベント参加、ドラマの後に漫画を読了し「モテキ読書会」に参加と、あまり意識していなかったのですが振り返って見ると私はけっこうな「モテキ」ファンでした。
今回も、自ら「「モテキ」公開初日にみて、恋に攻められよう会」を企画し、仲間9人で映画館へ。
(ちなみにその3週間後、2回目を見ました。その時の感想こちら。)

映画化を聞いた時には「わー!また見れる」という期待半分、「つまらなかったら、今までのまるごと嫌いになっちゃうかも」という不安半分でしたが・・・
期待の斜め上をいってました!
ドラマも漫画も読んでいない友達も「おもしろいじゃん!」と楽しんでたし、ファン冥利につきる映画化!
日本でもこういう非モテ男子のラブコメディ大作が作れることが証明され、映画的にも意味ある一本だと感じました。こういうのまた映画館でみたいから、じゃんじゃんせっそうなく「モテキ2」とか「モテキ3D」とかやってほしい!

ストーリー的には完全にるみ子に感情移入。恋愛ゾンビ化するシーンで笑ってる観客尻目に、「笑えねぇ~」とゾーーーッときました。
「どこが悪いか言って!勉強するから!」とか自分もやってそうで怖くなり、「おのれがめんどくさくなるから、もう恋なんてしない!」と謎の悟りを開くことができました。

私は「モテキ」の中でも特にドラマ版が好きなので、ドラマを踏襲したシーンにたまらなくくすぐられました。
モノローグの恋愛名言集、「格好悪いふられ方」での逃走、「Baby Cruising Love」でのダンス、「失格」での臨死、自転車での疾走。構造が同じながらも、本人登場したり、ヤリすぎたりと、パワーアップしてる!
そして、何より好きなのは泥に落ちるシーン!
ドラマ版は第一話・回想シーンのフェスで泥に落ちるのに対して、今回はラストにヒロインみゆきと泥まみれになるという幸世の成長っぷり。同じ構造でありながら、そこにある変化に「うまい!」とうなってしまいました。

ただ、せっかく映画になったのだからもっと絵で魅せてほしかったなぁという気持ちもあります。
Perfumeと共演するミュージカルシーンが、本人と踊ることで逆にその場で場面が停滞してしまい前進感がうすれてしまったのが残念。(もしかすると、久保ミツロウ氏が希望していた「セラミックガール」のほうが絵的にはよかったかも)
また、ラストのミラーボールの森を駆けるシーンももっと印象的なシーンになりそうなのになにか物足りない。絵だけでヌケルくらいのイイ場面になりそうなんですが、何が足りないんだろう…


 
あと、大根監督の「モテ記」も読んだんですが、ライムスターも出演候補にあがってたんですね。ぎりぎりの決定稿で「幸世の取材するミュージシャン(ライムスター)出演シーンをカット」となってて、笑いました。もし、実現してたら、「シネマハスラーへの敬遠的なキャスティング?」と噂されてたでしょう。それはそれでみたかったw
森山未来・長澤まさみの「タイタニック」→「レボリューショナリ-ロード」的キャスティング肩透かしにも、ニヤニヤしてしまいました。
こうやって、作り手の意図を異常なほどに読み取りたくなるのも、「モテキ」の魅力のひとつかも。

2011年10月1日土曜日

セカンドバージン(105分)

テレビドラマはおろか、映画予告編もみたことない完全なる「セカンドバージン処女」の状態で見に行きましたが、処女をささげるには酷過ぎる作品。
NHKドラマの映画化ということである程度のクオリティを期待していったのですが、ドラマの映画化として最低の出来といっていいのでは???

ドラマの映画化でありがちな「海外ロケ」と「ドラマをみていない層への説明」、そのどちらもが成功してなくてツライ。

まず、海外ロケでのサスペンスパートがとにかくひどい。
5年前、消えた恋人がマレーシアに?」「中国マフィア?」「え、他人?」「なーんだ、本人か!」って、どーでもイイ設定が無駄に長い&つまらない!
あとで、TVドラマのあらすじを確認したら海外設定ありきだったみたいですが、、、
でも言わせて!
話を面白く出来ないなら、国内設定の身の丈にあった脚本でやっとけよ!

そして、「ドラマをみていない層への説明」用と思われる時系列のいじくり。現在と7年前と5年前が交錯するわけですが、それが映画の面白さに全然つながってこない上に見づらい。
映画をつまんなくするくらいなら、ドラマ見てない層を放置したほうがましです。
私のこと放置してでもいいから、映画をおもしろくしてっ!

つーか、観客の期待に答えることを考えたら、鈴木京香のSEXシーンをばんばんみせるべきでしょ!おっぱいもみせずに、「あのころの僕達は身体でしか会話してなかった」って、説得力なさすぎ。(まぁ、こんなクソ作品のために脱ぐのはもったいない話ですが…)

個々の台詞まわしはけっこう気が利いたので、きっとドラマは面白かったんだろうなぁと想像できるだけに残念。
「ひんしゅくは勝手でもしろ!」「石橋は叩きわってから渡れ」とか、真似して言ってみたいし。
ずっと看病してきた鈴木京香への、「ひとりで死にたい」っていう、ひどい駄目だしにも笑った。

あと、深田恭子が鈴木京香を罵倒する「こうくんとのエッチがほしかったんでしょ。あなたに足りないのそれだけだもん。」にしびれたーーー。恭子様、ちょうだい!もっと!!!

映画つまんなかったけど、ドラマみてみよっかな…