2012年12月2日日曜日

みんなで一緒に暮らしたら(96分)


監督:ステファン・ロブラン
原題:Et si on vivait tous ensemble?
人生の終末を友達と

今年、我が家にはひとつ屋根の下に住むメンバーが2人も増えました。「人生の終わりをどのように過ごすかを考えはじめた5人の男女が共同生活をはじめる」というこの映画は、私に超タイムリーだと思い見てきました。
参考になる部分も多少あったけど、映画の中で共同生活&人生の終盤におけるお金の悩みがあまりにもなくてちょっと期待はずれでした。毎日ワインで食卓を囲み、孫を遊びに来させるために庭にプールを作ったり、牛の部位を100キロ単位で買ったりと、その裕福な暮らしっぷりに驚きました。嫁2人は元・心理学者と人類学者で、男衆も人権運動をしてたからインテリ高齢者の集まりでお金に余裕もあるのでしょうが、他人同士が共同生活する上でお金に関する話し合いがまったくないのは不自然。映画のような「自由主義」でうまくいくはずがない。うちの家も、ちゃんと水道光熱費の支払いとか食費の分担とか相談してますよ! 
共同生活者として参考になったのは、各エピソードが伝える「一緒に暮らすということは、他人も自分もありがままの状態で受け入れあう」というメッセージ。
この映画では、1人アルツハイマーの男性が出てくるのですが、その彼と一緒に暮らすことでそれまでの友人関係以上の受け入れあいが必要になってくることがわかります。家中を水浸しにしたり、言ってはいけないことを言ったり、そういう彼を親切でくるむのではなくそのままの状態で受け入れているのがよかったです。
また、40年前に独り者の男性が各夫婦それぞれの嫁と浮気をしていたことが判明するエピソードで、夫の1人が怒り狂う壮絶な修羅場があり、「これで、人間関係が破綻してしまうかな」と思いきやそのあと男だけでハグし合い許し合ってより絆を結びつけるのもよかった。誰かと一緒に住むのって、「なにがあっても“基本”受け入れる」っていう覚悟が大事だなと感じました。