監督: 高橋栄樹
あっちゃん、AKBやめるってよ
「お前に優子の何が分かる!」と喧嘩していたアイドルファンがバルト9にいたという前作の逸話がとても好きで、それを疑似体験したく自ら企画して人を集め総勢18名で一緒に映画に行きました。残念ながら、映画館で喧嘩は起きませんでしたが…映画の後の飲み会は大変盛り上がりました!
311を背景に「大きな絶望の中でも大勢の人に希望を与えうる存在」としてアイドルの可能性をみせた前作に対して、今回はあまりに内側の話でビックリしました。
「あっちゃん、AKBやめるってよ」「恋愛に制裁を」と大きく2つの切り口で語られる今作。それはそれで非常に興味深くおもしろかったんですが、前作では「こんなに面白いなら、近づいて楽しもう」と思わされたのですが、今作では「はまりすぎると怖いから、1歩2歩引いた距離で楽しもう」と思ってしまいました。
映画中繰り返されるメンバーの恋愛スキャンダル発覚とその処罰。映画より現在2013年2月には、恋愛スキャンダルへの反省の意を峯岸みなみが坊主にすることで表したというさらにエスカレートした現実。社会的にどうなのうんぬんはおいといて、超マクロなヌルアイドルヲタ視点として「こんなもんに本気はまったら、私生活に支障がでるわ!」とかなり怖じ気づきました。自分の推しにあんなことがおこったら、仕事とかちゃんといける自信ないですよ、私。
ただ、東京ドーム初日1曲目「パーティが始まるよ」直前の初期メンバーだけの円陣を見たら、他の初期メンバーに比べるとまだ爪痕が薄い峯岸みなみが「まっさきに思ったことはAKBを辞めたくない」と、AKBにしがみついた気持ちもちょっと分かる気がしました。
また、今作では恋愛スキャンダル以外に暗雲があまりなく、恋愛スキャンダルさえおこさなければ、AKBでは「夢と希望にあふれたアイドル生活」がおくれるとミスリードしかねない構成なのも怖かった。いや、総選挙退場時に運営推し度合いとファン人気のアンマッチに悩んでか、光宗薫さんが舞台裏で倒れこんだのも充分恋愛スキャンダル以外の明暗ではありましたが。ただ“賢明”なことに彼女はすぐにAKBを辞めてしまったので、その明暗が味わいつくせず“残念”に思ってしまいました。
あと、私、松井珠理奈さんのことがかなり好きでして。今回は彼女の出番が多くてうれしかったのですが、彼女が「恋愛なんて、いつでも出来るじゃないですか!AKBは今しかできないですよ!」とあっけらかんと言いはなったのは、清清さが超越しすぎてて正直萎えました。それに対して、麻里子様が「いいなという人があらわれても、その人は運命じゃない人って思うようにしています」っていうのは、人間的な感情があふれた諦め方で素敵で、総選挙のスピーチに続きまた尊敬の念が増しました。いや、でも珠理奈はまだ15歳だからしょうがないか・・・