監督:大林宣彦
死んだヤツほどよくしゃべる
今回も枠にとらわれない、そして新しい表現にチャレンジしていく大林宣彦監督の世界を楽しめましたが、正直前作「この空の花 長岡花火物語」で感じたような「見たことないものをみた驚き」や「映画館に異世界の扉が開いたような衝撃」を感じることはできませんでした。
「この空の花 長岡花火物語」では映画を半分くらいみたところから、意味もわからない涙が流れっぱなしだったのですが、残念ながら「野のなななのか」ではそういうわけのわからない情動に揺り動かされる衝撃はなかったです。だからこそ、「この空の花 長岡花火物語」はすごかったんだなとあらためて思いました。
「野のなななのか」では冒頭15分で死んでしまう品川徹が、死んだ後にしゃべくりたおします。なななのか(49日)が終わるまで、ずっとしゃべってる死人のおかげで死と生のはざまが曖昧になってくる。しまいにゃ、実はもともと死んでた人まで出現する。死んだヤツほど、よくしゃべるっていうのがなんとも新発想で面白かったです。
映画のポスターを飾る常盤貴子と安達祐実どちらも16歳の少女を演じるのですが、どちらも違和感なく美しくてびっくりしました。特に安達祐実の妖艶な美少女オーラがすごかった。外見が成長しないことにより女優としての幅が狭まっているかのように思える安達祐実ですが、逆に学生役を演じさせるととんでもない存在感を醸し出すんだなぁと思いました。そーゆー、あだちもっとみたいぜ!