監督:高橋栄樹
私は女性アイドルが好きです。
「まじスカ」や「BUBKA」で興味を持ち、関連グループ含め劇場公演・LIVE・握手会等々に何度か参加しているので、AKB自体も結構好きといっていいと思います。
そんな私が、「今回のAKBの映画、イイよ!」と言っても、「どうせ、お前はアイドルヲタだからな!」とあまり取り合ってもらえないでしょうが・・・この映画、本当におもしろいです!
前作の「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」 は、「売れてるグループって、各メンバーにクローズし深みをもたせられるからいいわね」というくらいの感想でしたが、、、
今回の映画は、AKBが嫌いな人でも楽しめる素晴らしい映画だと思います。
「AKB・SKEはアイドルっていうより群像っていうジャンル」というコンバットRECさんの耳から鱗な言葉があるのですが、各メンバーを切り取るという側面が強かった前作と違い、今作では日頃のAKB以上に群像としてのカオスな部分が見れて、それがどうしようもなくおもしろい。
特に、西部ドーム2日目のバックステージの様子が壮絶。舞台裏での様子は、皆わけがわかってやっているとはとてもみえない。そして、過呼吸や熱中症で次々と倒れるメンバー。まるで、臨戦状態の兵隊キャンプのようです。わけもわからず瀕死の状態なのに、みんなどんどん出陣していく。。。
直前までステージ上でも過呼吸状態だった前田敦子が、「フライングゲット」でスポットライトがあたった瞬間、信じられないほど輝く姿はがとても美しくてとても怖い。「ブラックスワン」ナタリーポートマンの「It was perfect 」という台詞が聞こえてきそうでした。
また、前田敦子や大島優子とはまた違う意味でAKBを背負っている高橋みなみの存在の大きさにも気が付かされました。よく聞く「AKB48とは、高橋みなみのことである(秋元康)」という言葉を、今までは「なんのこっちゃい!」と思っていましたが、たしかにこのリーダーならそう言ってもいい。これからは、理想の上司欄に高橋みなみと書こう。
ただ、この映画鑑賞後に「…で、だからAKBって最高でしょ!」とはなりません。いや、そこがまた素晴らしい。
正直、アイドルという「存在」の持つ素晴らしいさをその外部の人にこれ以上に伝える映画は、今までなかったと感じます。
しかし、アイドルとしての「人生」に対する疑問符はより大きくなりました。
主要メンバーの舞台裏でみせる吹っ切れた凛凛しい表情と違い、まだうすぼんやりとした表情のチーム4のリーダーや311で被災した研究生を見ると、彼女達が「夢を追っている」とは思えないのです。正直、「自らに呪いをかけている」という言葉のほうがしっくりきてしまいます。
これは、決してAKBの販促映画ではなく、「彼女たちの人生はこれからどうなっていくんだろう?」そういう疑問をありのままに映し、こちらの地平までも揺るがす映画なのです。
それにしても、AKBは素材をオープン化して、外部の人に料理させるところが素晴らしい。
これからもアイドル発のこういうモノをみたいので、AKBにはもっともっと上へいってほしい!
これからもアイドル発のこういうモノをみたいので、AKBにはもっともっと上へいってほしい!