2013年4月20日土曜日

ヒッチコック(99分)

監督:サーシャ・ガバシ
原題:Hitchcock
「私を誰の妻だと思ってるの!」自分の夫にキレれる幸せ

ヒッチコックの映画は、「鳥」しか見ておらず、知識不足で彼自身を描いた伝記映画は楽しめないかもと不安に思っていましたが、案外普通に楽しめました。
ただ「映画界最重要人物の1人ヒッチコックを扱った映画が、こんな普通の人間ドラマじゃもったいなくないかな・・・」という宝の持ち腐れ的な印象は受けましたが。
ヒッチコックの作品や彼の生涯に明るくない私としては、「愛・アムール」や「ハーブ&ドロシー」等のような老夫婦モノとして楽しみました。
お互いインテリジェンスに富み、それぞれの立場を尊重し合ってきた夫婦が、いまだにヤキモチをやきあっているのがなんとも微笑ましいかったです。
“仕事のため”という大義名分があるとはいえ、ブロンド美女に目を奪われるヒッチコックに、二枚目脚本家と週末海辺の別荘で執筆活動にいそしむ妻アルマ。特に、執筆が海辺の別荘で行われていると知ったヒッチコックが妻アルマをなじった時の、アルマのキレっぷりがよかった。「口出ししないでちょうだい!」「私は偉大なる監督ヒッチコックの妻なのよ!」とキレながらも、相手を持ち上げる技。
最近見た映画「ザ・マスター」牢獄シーンでの、「キミは誰に好かれている?私以外に。」「キミのことを好きなのはボクだけだ!」というなじりに見せかけた愛の告白も素晴らしかったですが、身内間の喧嘩はこういう殺し文句をもって行いたいものですね。