監督:ティム・バートン
原題:Big Eyes
上映時間:106分
パンフレット:★★★★☆(720円/美術スタッフの手で2ヶ月の間に絵300枚、スケッチ数百枚用意されたというエピソードに驚く。全部マーガレット本人が書いた絵かと思ってたよ・・・)
ティムバートンの監督映画は有名どころを何作か見たことがあるのですが、なんか自分と趣味があわないなぁという印象を持っていた(特に主演がジョニー・デップの映画に中のギャグにいや~な鳥肌が立つ)ので、この新作「ビッグ・アイズ」も私には合わないんだろうなと勝手に思っていました。が、いやこれが寒気がするところはぜんぜんなく普通に面白かった。夫婦物としても、現代芸術物としても、コメディとしても、面白かったです。今回「ビッグ・アイズ」は、ティムバートンの映画の中では低予算だということなのですが、これくらいの規模の映画のほうが、ティムバートン印っぽい個性が薄くて個人的には楽しめるのかもしれません。
この映画はなんといっても、ウォルター・キーン演じるクリストフ・ヴァルツが最低で最高でした!ヒロインであり、ビッグ・アイズの描き手であるマーガレット・キーン(エイミー・アダムス)に、ウォルター・キーンが「オレが絵を描いてることにしたほうが売れるから!」と言いくるめるのですが、かなりひどいことしてるのに最後まで憎めないんですよね。法廷での「被告人、オレ!弁護人、オレ!証人、オレ!」の大茶番とかあまりにも往生際が悪くて逆にかわいく思えてきました。パンフレットのプロダクションノートに、「彼女(マーガレット)は今でもウォルターを信頼していて、「彼がいなかったら私の作品は誰にも発見してもらえなかったはず」と言ってるんだ」と書いてあって、やっぱり実際のウォルター・キーンも口八丁でどうしようもない男ですが、騙されたと分かっても憎みきれない男だったのかなと思いました。劇中でも、はじめからマーガレットを騙そうとしていたというよりも、その場しのぎの嘘がどんどん大きくなっていったように見えました。