2015年10月10日土曜日

心が叫びたがってるんだ。


奇跡を引き寄せるなら、ミュージカルできまり
監督:長井龍雪
上映時間:119分
パンフレット:900円(製作者・キャストインタビューともに充実しています。声優の女性の写真、みんなかわいくてびっくりする。)

映画館で予告編を見た記憶もなく、タイトルとアニメ作品だということを知ってるくらいで、特になんの予備知識もなく見に行きました。作画が美しくて、登場キャラクターが多いのにすごい分かりやすい作品で面白かったです。ちょうど今、自分がハロープロジェクトのメンバーで上演される演劇女子部ミュージカルにはまっているので、映画の中のイベント「地域ふれあい交流会」で登場人物の高校生たちが「めんどくさい」「はずかしい」と初めは拒否反応を示しながらも、一生懸命なクラスメイトの姿に引っ張られてオリジナルミュージカルを熱中して準備し演じる様子が個人的にタイムリーで面白かったです。
「古今東西ミュージカルってのは、たいてい奇跡が起きるもんなんだよ」という作中の担任である音楽教師の台詞がありますが、これはよく分かるな~と思いました。私も昔は作中で突然登場人物たちが歌い始めるミュージカルを馬鹿にした気持ちでみていたんですが、いまは歌の力で強引に話が吸引されるのをとても気持ちよく感じるし、そこにおける奇跡は全然受け入れられたりします。歌と踊りで話が展開するのって快感だし、そこで奇跡が起きてもなんの不思議もないなという感じがします。
ただ、この「心が叫びたがってるんだ。」、あまり納得がいかないエピソードがストーリーの根幹のところにあって、全体としては面白いと思うけどちょっとノレなかったです。
私が納得いかなかったエピソードは、主人公の順が幼少期に離婚する父親が家を出ていく際に順に対し「全部、お前のせいじゃないか」と言われるところ。その前段の、順が本物の城だと勘違いしていたラブホテルから父親が母親以外の女性と出てくるのを目撃し、それを喜々として母親にしゃべるところまでは、「子供が知らないコトがあることが原因で、こういうことが起こるのは面白いな~」と思ったし、それがきっかけで離婚に至るのも理解出来るんですが、それをうけての父親の反応があまりにもひどすぎる。子供のおしゃべりが原因で離婚したんじゃなくて、自分の不倫と性格の悪さが原因で離婚したにすぎないと思う。ああいう大人の八つ当たりでしゃべれなくなるほどのトラウマを子供がおってしまうことが理不尽で、話が終盤にさしかかってもあの父親のことを思い出して腹がたった。っていうか、ああいう物事の原因を弱者のせいにするような男とは、別れて正解だと思う!
あと、冒頭のエピソードは「順ってそんなにおしゃべりかな?」とか「夜食弁当を用意する仕事ってなんだったんだろう?」とか個人的に色々気になった。昼間に不倫相手とラブホテルに行っておいて(おそらく仕事だと偽って)、妻が用意した夜食を食べて仕事をスーツでやる仕事ってなんだろう???テレホンオペレーターのスーパーバイザーとかかな。