2012年10月8日月曜日

鍵泥棒のメソッド(128分)

監督:内田けんじ

きみがきみをなくしちゃってもこの部屋と
ノートの中身をみればわかる

シネマテーブル、10月の課題作品なので見てきました。
予告編を見たときは「オレがオマエで、オマエがオレで」的な人格入れ替わりモノだと思っていたんですが、ちょっと想像してたのとは違っていました。
前半の丁寧な背景描写による人物説明にはすごいワクワクしたんですが、ラストがどうにものれなくて。映画鑑賞後、なんだかモヤっとした気分になってしまいました。
この映画、特に部屋とノートが素晴らしかったです。
まず、部屋。きれいに片付けられた香川照之の部屋に対して、湿気っぽく散らかった堺雅人の部屋。これを見ただけで、お互いの性格&暮らしぶりがよく分かる。
部屋がお互いが入れ替わることで、きれいに片付いていた部屋が散らかり、散らかった部屋が整理整頓されていく。それが見てて、すげー気持ちよかったです。
あと、香川照之と広末涼子のノートの中身が楽しかったです。
記憶喪失になり所持金約1000円の香川照之が病院の売店で買ったものが、なんと大学ノートとシャーペンという衝撃。そして、自分を取り戻すために、ノートに好物や自分の性格などさまざまなことを丁寧に描いていく姿には胸を打たれる。めざましテレビに取材されていたタマフル放送作家:古川耕さんよろしく、ノートクレバー男子にときめきました。広末涼子のノートも書き込みが多いものの、はんこを押したりシールを貼ったりと女子的なかわいさがあってよかったです。

で、のれなかったシーンですが。それは、ラストに香川照之が広末涼子のところに駆けつけるのに、車を電信柱にぶつけてアラーム「キューンキューン」って鳴らすところ。

この映画、前半の丁寧な描写で伏線を積み上げて、それらを後半にどんどん回収されていくところに、ある種の爽快感を感じる作りだと思うんです。が、どうしても几帳面な香川照之がなにもない道路で物損事故をするキャラクターに思えない。「30超えると、胸がキュンキュンならなくなるの」(広末涼子姉役)っていう、劇中の台詞をすくい上げるためにこのシーンをとりたくて、起こさせた事故な気がしてしまいました。はー、あんな几帳面なキャラクターが事故を起こすんなら、車の運転なんて怖くて一生できないわ!(ペーパードライバー歴10)